NISA、つみたてNISA、iDeCoを比較 節税か投資かで変わる選び方
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昨年、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の対象者が拡大したことで、長期・分散・積立を活用し、なおかつ低コストの初心者向け投資に注目が集まるようになった。今年1月から始まっている「つみたてNISA」にも注目している人が多いだろう。


ここで迷うのは、何を、どう利用すると良いかということ。NISAを加えた3制度とも運用益(20.315%)が非課税なので、どれも良く見えるのも無理はない。そこで今回は違いを比較して、選ぶポイントをまとめたい。

NISA、つみたてNISA、iDeCoを比較 節税か投資かで変わる選び方

NISA


年間最大120万円の拠出が可能で、大きな金額を非課税で運用したい人向け。商品も株式やREIT(不動産投資信託)が含まれ、より「投資」したい人向けといえる。運用可能期間は5年間と短いが、5年後、次の非課税口座に移すことが出来る「ロールオーバー」という仕組みを使い、非課税運用を続けることができる。2018年からロールオーバー時は運用益を含めてしまうと年間の拠出限度額以上になってしまう場合でも、全額そのまま移すことができるようになった。


つみたてNISA


NISAと基本的に同じ仕組みだが、1年間の上限額が40万円と少なく、運用出来る商品も金融庁が指定したものに限られている。しかし、20年間と長期的な運用が可能で、信託報酬も安い商品が揃っており、初心者が始めるには良い制度だ。毎年40万円ずつ利用すると、20年後には800万円まで積み立てられる。その後、1年ごとに40万円ずつ引き出していくイメージだ。途中で引き出すこともできるので、自由資金として貯めていくことにも向いている。ロールオーバーの仕組みはない。若い世代の資産形成を目的にしているが、老後に向けて始めたいという人にも有用だ。
NISA口座との併用はできず、1年ごとに口座の選択ができ、NISAを利用した年は5年、つみたてNISAを利用した年はそこから20年、非課税運用できる。

iDeCo(イデコ)


原則的に60歳まで引き出すことができないため、老後資金作りには最適。企業型確定拠出年金の個人版であるため、条件によっては利用できない人もいるが、公務員や専業主婦も利用できるようになり、注目を浴びている。拠出時、運用時、受取時の3つのポイントで税優遇があることも魅力。ただし、口座管理手数料がかかる金融機関があったり、どの金融機関でも国民年金基金連合会と資産管理機関に合計167円の手数料がかかることがデメリットの一つだ。


結局どれがおすすめなの?


どれを利用するべきかは、目的により異なる。
が、節税効果を考えると、iDeCoが最強だろう。
掛金全額が所得控除ということは、年額27万6000円かけられる所得税率10%(復興所得税除く)のサラリーマンの場合、住民税率10%と合わせて20%分の約5万5200円を節税できる。運用益より随分大きな額となる。60歳まで引き出せない点がデメリットになりがちだが、お得なつみたて投資と老後資金作りを考えると、間違いないのはiDeCoだ。iDeCoは税金滞納には相殺されるが、たとえ債務整理をするような事になっても、老後資金として守ることができる資産になるという強みもある。運用益の非課税分は、受取時に精算する形になるが、ここでも税控除があるので、控除枠内の金額であれば損はない。

iDeCoを最大限使っても余裕資金があるとか、引き出せないつみたて投資は心配、というのなら、つみたてNISAを併用しよう。
また、専業主婦で節税効果が望めないとか、50歳以上で今からiDeCoを始めても、拠出できる期間が短いという場合も、つみたてNISAが良い。両者ともに、比較的リスクが小さく、信託報酬も少ない運用商品が多いので、長期、積立、低コストという初心者でも始めやすい投資の制度として話題となり、比較されることが多い。

それだけでは物足りない、もっと投資らしい投資をしたい、掛け金ももっと多くしたいと思う人は、今までのNISAを活用しよう。運用できる期間などは短いが、ロールオーバーなどを利用しながら、非課税投資を楽しんでも良いと思う。

これらから検討し、自分に合う投資の制度を選んで始めてみると良いだろうが、これらはリスクが少なくても投資。並走して、きちんと貯蓄をすることも忘れてはいけない。

(横山光昭)