稲葉 まだ脚本になっていない、プロットの状態のときですよね。
武内 そう、プロットの状態で。
───その段階で、もう手ごたえ、確信を得ていたんですね。
武内 読み返すたびに何度も泣いていましたからね。「これでお客さんを泣かせられなかったら、俺はもう監督失格だな」と思いましたよ(笑)。
───ポスターなどのビジュアルを見るとロマンチックな恋愛映画で女性向けなのかなという印象もありましたが、試写会では泣いている男性も多かったです。
稲葉 それは嬉しいですね! 入口はファンタジーですが、普遍的な愛の物語であるので。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、後半のたたみかける展開は男性にも年配の方にもグッとくるものがあると思います。
武内 感動して泣いた方は、ぜひ恥ずかしがらずに言ってほしいです。僕たち、褒められて伸びるタイプなので(笑)。
武内監督、稲葉プロデューサーが伝えたい「映画の魅力」

───映画に思い入れのあるお2人ですが、最後に、今作の製作を経て改めて感じた「映画の魅力」を教えていただけますか。
武内 『今夜、ロマンス劇場で』は、究極の純愛ラブストーリーです。この世界観にひとたび入り込むと、激しく感情を揺さぶられる。だからこれは、テレビドラマではできない作品だと思いました。CMとか自宅のインテリアとか、現実的なものが入り込んでくるテレビではなく、暗い劇場で、スクリーンで見てもらうことで、映画の魔法の世界に引きずり込まれることができる。そういう没入感を得られるのは、やはり映画ならではだと思います。