12年前、主人公の中村慶介(亀梨和也)は、ワイドショー「ザ・プレミアワイド」の情報操作によって、保育園の園長を務めていた母親の早川恭子(裕木奈江)を女児殺害事件の犯人扱いされて失ってしまう。
終始もったいない山崎育三郎
とにかく要素の多い最終回だった。ジェットコースターのようなめまぐるしい展開ともいえるが、そのせいでちょっとよくわからない部分も目立ってしまった。
若葉(橋本環奈)の自作自演により逮捕されてしまった慶介は、罪が晴れるとその状況を利用したあるトリックを思いつく。このトリックは、このドラマ最大の目玉のような部分なのであえてネタバレはしないが、過去の伏線をいくつも利用する見事なものだった。しかし、その効果が不自然なほどに絶大過ぎた。
12年前の事件の犯人が捕まったと思い込んだ小河原祥太は、数年ぶりにシアトルから余裕の帰国。
ここで満を持して慶介が登場する。真犯人との初対面だ。任意での事情聴取を求めるが、「ザ・プレミアワイド」スタッフが現れると、あんなにキメキメで堂々としていた慶介が突然あたふたしだす。
このあと、「ザ・プレミアワイド」の働きから慶介は祥太と対談をすることになる。慶介は、犯人しか知りえない情報を聞き出すことで、祥太の犯行を証した。2人の役者がぶつかり合い、それを百々瀬(藤木直人)が見守るという形で大変見ごたえがあるシーンだ。しかし、やはり祥太が自分が犯人なのに全国ネットで顔をさらして無実を証明しようとした理由がよくわからない。
対祥太、対百々瀬、亀梨和也の演じ分け
そしていよいよ「ザ・プレミアワイド」のボス、百々瀬との直接対決へ。やっと、やっと本題だ。真の犯人とか、12年前の事件の真相とか、そう聞くとメインは祥太のように思えるが、母を自殺に追い込んだのはこの百々瀬だ。ここを倒さないと復讐が果たされたことにはならない。
祥太への尋問で、慶介はいくつもの罠を仕掛けていた。だが百々瀬には、盗撮も盗聴も得意のファイナルカットも何も仕掛けず、ただただメディアの在り方について思いのたけをぶつける。
対する百々瀬は百々瀬で、自分の置かれた立場、やるべきことからの葛藤を明かし、自身のメディア論を展開する。まさに言いたいことをお互い言っただけ。
それでも慕われる百々瀬
最後においしいところを全部かっさらった小池(林遣都)はもちろんだが、百々瀬が怖くて言うことを聞いているだけかと思われた井出プロデューサー(杉本哲太)が、百々瀬を守るために局長に謀反したのは良かった。なんだかんだ言って、百々瀬は慕われていたのだ。
(沢野奈津夫)