新体制の超特急がツアー最終日で見せた、輝く涙と笑顔、8号車との深い絆/レポート
撮影/米山三郎、深野輝美

■超特急/【超特急ファンクラブイベント 2018 ~僕らの挑戦を見届けてツアー legend for days~ 】ライブレポート
2018.04.04(WED) at 東京・Zepp Diver city (TOKYO)
(※画像13点)

オリコン週間チャート1位を記録し、アリーナツアーも行えるまでに成長した超特急。今年1月に突如メンバーの脱退という衝撃の展開を見せた中で開催された『ファンクラブイベント2018~僕らの挑戦を見届けてツアー legend for days~』。
ファイナルで6人が魅せたステージは、想像をはるかに超えるものだった。

リョウガの巧みな場内アナウンスで8号車(超特急ファンの愛称)の笑顔が溢れる中、緞帳垂れるステージにユースケが登壇。「この日を楽しみにしてたよ! みんなは声、どれくらい出せるかな? 聞かせて! みんな頼むぞ! では、『僕らの挑戦を見届けてツアー legend for days』スタート」と、高らかに開幕を宣言。
新体制の超特急がツアー最終日で見せた、輝く涙と笑顔、8号車との深い絆/レポート
撮影/米山三郎、深野輝美

ユースケのGOサインと共に幕が開き、そこにはバンドスタイルの超特急が! 意表を突かれた観客は、一瞬息を飲んだ。ユーキが「最高の1日にしようぜ」と叫べば、リョウガは「伝説の1日にしよう」と呼びかける。新体制ツアーの大切な1曲目「Clap Our Hands!」で、アコースティックギターを奏でるのはタカシ、エレキギターはカイが弾き、リョーガはベース、ユーキはドラム、キーボードはタクヤが担当した。
驚いたことに、短いながらも各メンバーがソロも披露したではないか。ボーカルのユースケは元気いっぱいに、8号車へ歌いかけていた。

「もう1曲いってみよう!」とユースケが叫び、ゴールデンボンバーの「女々しくて」に突入。今度は、メンバーが横一列に並び、リョーガはドラ、ユーキは民族打楽器のコンガを叩き、カイはオカリナを吹き、タカシはウクレレを抱えて弾き、タクヤはトライアングルを鳴らした。曲の前半で演奏しつつ、後半では急に楽器からポンポンに持ち替えてチアリーディングを披露。おなじみの振り付けを会場全員で楽しんだ。
まったくもってカッコつけないグループだ。そこがむしろカッコいいのだが。
新体制の超特急がツアー最終日で見せた、輝く涙と笑顔、8号車との深い絆/レポート
撮影/米山三郎、深野輝美

「さあ始まりました。楽しんでますか! このツアータイトルはユースケが考えました」とリョウガ。「これまで回ってきた3日間も伝説になってるんじゃない?」とユースケはちょっぴり得意気。すると、カイが「この衣装は僕がデザインしました。
『あったらいいな、こんな学校』がテーマです」と8号車に猛アピール。

ここからは8号車が楽しめるようなゲームコーナーのようだ。「ファンクラブツアーならではの企画を毎日(日替わりで)考えました。最終日は、ジャーン。運動会です。負けたメンバーには罰ゲームを用意しました」と嬉しそうに話すユースケ。


1種目めは「椅子取りゲーム」。カイがポツリと「運動会に椅子取りゲームってあるのかな?」と、まっとうな指摘をしたものの黙殺され、ゲームはスタート。壮絶な(というよりドロドロでグダグダ?)争奪戦の末、わずか1つの椅子に座ったのはタクヤだった。ボックスからタクヤが選んだ罰ゲームは「変顔」。いつもクールなカイも、お茶目なユーキも、キュートなタクヤも全力で変顔に挑戦。超特急の変顔マスターであるリョウガとユースケは、いつも以上に力一杯の変顔をし、8号車から笑いと絶叫、拍手を贈られていた。

新体制の超特急がツアー最終日で見せた、輝く涙と笑顔、8号車との深い絆/レポート
撮影/米山三郎、深野輝美

2種目めは運動会らしく「リフティング対決」。サッカー経験者が有利だとリョウガが不満を漏らすと、「カイとタクヤは経験者だよね」とユーキが相槌を打つ。すると、すかさず他のメンバーから「お前もだよ」と突っ込まれるなど、阿吽の呼吸でトークが繰り広げられていくのも心地よい。2人ずつ行われた対決の結果は、わずか6回のカイが優勝という惨憺たるもので、「これで優勝しても……」とカイは素直に喜べないようだった。ちなみに、最下位はユーキ。罰ゲームの即興ラップは、独自の語学センスが見事に生かされたもので場内から大いに笑いを取っていた。


ここまでカッコいいところを見せられなかった6人だが、最終種目の長縄跳びで“奇跡”を起こした。議論の結果、「8号車にかけて88回連続で飛ぶ」と決まったが、実現できるか誰もが不安な様子。しかし、飛び始めると8号車たちのカウントがパワーとなり、見事一発で成功! 彼らと8号車の絆を垣間見た気がした。ただ、リョーガは飛び終えた後へたり込み、再起不能状態だったが……(笑)。

ゲームコーナーでは、メンバーの私物がプレゼントで当たるビンゴ大会も行われた。リョウガ愛用のキーホルダーやユーキが普段から着ているという生誕祭記念のトレーナー、タカシが3年も愛用していたニット帽は、それぞれ幸運過ぎる8号車の元でこの先ずっと大事にされるだろう。
新体制の超特急がツアー最終日で見せた、輝く涙と笑顔、8号車との深い絆/レポート
撮影/米山三郎、深野輝美

このほか、事前に募集した質問に答えるコーナーも。「1日だけほかのメンバーになるとしたら」という質問では、タカシはリョウガになり、インドアで1日どう過ごすのか知りたいと答えたり、タクヤはユーキになりたいと答え、その理由が「どれだけドジするか体験したい」など、仲が良いからこそのちょっとしたディスり合いもコントを見ているようでなんとも楽しい。ビンゴの当選者にメンバー自ら呼びかけたり、小道具の運搬までも行うなど手作り感いっぱいで、彼らの通う学園祭に紛れ込んだような、不思議な楽しさとアットホームさもファンクラブ限定ツアーの魅力だろう。

ほのぼのとしたムードが流れていたが、ライブセクションでは一転、彼らのカッコよさが鮮明に。コントラストが大きいほど、それは彼らのふり幅の広さを証明している。ファイナルの当日は、6人体制で初となるシングル「a kind of love」のリリース日。そのカップリング曲で、超アゲアゲのナンバー「Party Maker」のミュージックビデオを会場のファンに一足早く見せてくれたのだが、その内容に度肝を抜かれた。男子のおバカなところをいっぱい詰め込みつつも、今までにないほどダイナミックでワイルドなダンスパフォーマンスに惹きこまれた人も多かっただろう。
新体制の超特急がツアー最終日で見せた、輝く涙と笑顔、8号車との深い絆/レポート
撮影/米山三郎、深野輝美

ライブの最初に彼らが選んだのは1stシングルから「No More Cry」だった。その選曲にもきっと、6人の思いが詰め込まれているのだろう。円陣が組まれ、その中にタカシが佇み、歌い始めるフォーメーションを見るだけでもなぜか胸が熱くなった。

ユースケの「みんな、アバンチュールしたいか?」のセリフからなだれ込んだ「超えてアバンチュール」では、激しいビートにも負けない力強いボーカルを響かせたタカシ。歌もダンスも戸惑いもあるだろうが、以前、「今目の前にあるやること、できることを精一杯にやりきるだけ」と語っていたように、それらが舞台で着実に成果として発揮されていたと断言できる。

ライブパートの衣装はピンク色のスーツで、タクヤがプロデュースしたもの。パンツの丈感やジャケットのゆったり度合いなど細部もこだわっており、超特急のオシャレ番長の面目躍如といったところ。「今の(桜の咲く)季節と8号車(のイメージカラー)にかけて作りました」と照れながらタクヤはその衣装の意味を教えてくれた。
新体制の超特急がツアー最終日で見せた、輝く涙と笑顔、8号車との深い絆/レポート
撮影/米山三郎、深野輝美

「みんなに出会えたこと、この偶然は1番の奇跡だと思います」というタクヤの言葉に導かれるようにして「Billion Beats」を披露し、続く「Synchronism」では、タカシのアカペラに合わせて5人が踊り始めた。スケールの大きなナンバーを情感たっぷりに歌い上げると、8号車もペンライトを左右に揺らしてそれに応えていた。その光景はとてもハッピーで温かなものだった。

中盤のCMコーナーでは、「最終日だし、ツアーを振り返りましょう」とリョウガが提案。「初日はなんじゃもんじゃをやったよね」とユーキが言えば、「僕らの普段の楽屋みたいだったね」とカイが笑う。バンドの挑戦も、最初はタクヤが軽いノリで言ったのが始まりだったという。しかも、希望のパートを挙げたら、全員がボーカル志望というオチまでついている。パート分けのジャンケンの結果、ユースケがボーカルを勝ち取ったそうだ。「僕はボイトレとかやったんだけど、バンドはどうしてたの?」とユースケが問うと、「すげえ贅沢なレッスンを4~5日間した」(リョウガ)、「超一流の先生にマンツーマンで教えてもらった」(カイ)という。それもこれも、「8号車のみんなを、いい意味で驚かせたかったからなんです」とユーキ。「幕が開いたとき、『こっちの方向で行くの?』みたいな空気が面白かった(笑)」とリョウガが素直な感想を述べると、再び場内は笑いに包まれた。
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撮影/米山三郎、深野輝美

「ツアータイトルのように挑戦していこう、走っていこうという気持ちを表した曲です」とリョウガが語りかけ、「走れ!!!!超特急」からはラストスパート。ハードなビートが轟く「BREAK OFF」や、ユースケの絶叫が会場を突き抜けた「バッタマン」で熱量を最高潮に高めてライブは幕を閉じた。

熱いアンコールの声に応えて、6人は再びステージに帰ってきた。リョウガがリーダーらしく「本日、4月4日は、6人体制になって初めてのシングル『a kind of love』の発売日です!」と告げると、全員が「やったーーーー!」と喜びを爆発させた。キャッチーな王道のポップソングでセンターを務めるのもリョウガだ。新体制で初めてのシングルのセンターにはリーダーがふさわしいというのが起用の理由だという。愛溢れるナンバーをタカシが優しく甘く歌い、合間にメンバーがガヤを入れたり、ユースケは小芝居まで挟んできたが、そこがまた実に超特急らしい。他の楽曲でも、タカシの歌の合間に、今まで以上にダンサー5人がセリフやガヤを入れて、賑やかさを演出していたのが印象的だった。
新体制の超特急がツアー最終日で見せた、輝く涙と笑顔、8号車との深い絆/レポート
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アンコール2曲目に先駆けて、リョウガからはこんな呼びかけもあった。

「先ほど披露したラストの『バッタマン』では、新しいコールを(8号車に)やっていただきました。すでにご存知の方もいるでしょうが、知らない人のために改めて伝えます。このコールは6人で時間をかけて、ものすごく話し合いました。最後の『タカシやで』の『やで』を消したくないから、どうしたらいいだろうとか。でも、断腸の思いで『やで』を切り、超特急に変えるという決断をしました。僕らは『超特急』で、前を向いて進むしかない。だから、カイで始まって超特急で終わることにしました」

「言いたくない人もいると思います。心の整理がつかない人もいると思います。(その人は)言わなくたっていいです」とカイが、リョウガの発言をフォロー。メンバーもファンも、多かれ少なかれ複雑な気持ちを抱えてライブ会場に居るはず。その上で、これらの言葉を大切な8号車に直接告げる彼らの意思と8号車への思いの強さに胸を打たれた。
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「僕らの鼓膜がぶちやぶれるくらいに声を出して! 悩む気持ちもわかるけど、ライブは『今』しか楽しめない。悩むのは後からだってできるから、行きますよ!」とリョウガが叫び、「Burn!」へとなだれ込んだ。彼らの思いを受け止めた8号車たちも、必死に彼らの煽りに食らいついていた。

「アンコール、楽しんでますか! 昨日も少しコーイチについて話したんですが……」と、ユースケが意を決したように語り始めた。

「脱退発表の後、コーイチと2人で会う機会がありました。8号車さんに伝えたいこと、いっぱいある……。コーイチが言っていたのは『6人なら絶対にやれる。8号車と夢を叶えられるし、僕は超特急が大好きだよ』ということ。僕らは前向いて8号車さんと一緒に夢を叶えよう、頑張ろうって思いました」

一方、ユーキはこんな風に今の胸の内をさらけ出した。

「(脱退の発表があって)コーイチ、あいつは本当に馬鹿だなって。メンバーや8号車の気持ちを裏切って、本当にバカだなって……」。
新体制の超特急がツアー最終日で見せた、輝く涙と笑顔、8号車との深い絆/レポート
撮影/米山三郎、深野輝美

言葉ではユーキは責めているように聞こえるかもしれないが、決してそうではなかっただろう。悔しさと寂しさの入り混じった表情を浮かべながら、涙を流しながら語り続けた。

「だって、言ったんだよ。ボーカルとダンスで、お互いにてっぺん取ろうって……。だからこそ負けたくないし、夢を叶えたい。コーイチのことも応援したいし、ずっと愛のあるグループでこの先も突っ走りたい。これからも応援よろしくお願いします」

泣きじゃくりながら話すユーキと同じくらい、8号車もまた号泣しながら話を聞き、頷いていた。

しんみりとした空気を和らげたのは、リョウガだった。「みなさん、オフィシャルタオル持ってますか? できれば、公式タオルがいいですね。それで……涙を拭いてください」。この強心臓なコメントに、メンバーも多くの8号車も救われただろう。
新体制の超特急がツアー最終日で見せた、輝く涙と笑顔、8号車との深い絆/レポート
撮影/米山三郎、深野輝美

オールラストでパフォーマンスされたのは「Starlight」だった。<涙 隠せない日々も ひとりじゃない> <走り続けて叶えるまで>という歌詞は、まるで現在の超特急を映し出しているかのようだ。

「僕たち6人を信じていれば大丈夫! 信じてついてきてください」とカイが熱く呼びかけ、リョウガがライブを閉めようとした瞬間だった。タクヤがリョウガの腕を軽く叩き、発言の意志を示した。そして、8号車にまっすぐに向けられた眼差しで、「最後は笑顔で終わろう!」と呼びかけた。とても短いが、なんて愛に溢れた言葉だろう。

微笑みを取り戻した8号車の前から、順番にステージから去っていった超特急。最後の最後まで無言を通していたタカシが、「これからも僕たちは走り続けます。よろしくお願いします!」と深々と頭を下げた。まだこの先、手探りすることもあるかもしれないが、彼らならきっと乗り越えられるし、その姿を見届けていきたいと思わせてくれるライブだった。5月に兵庫、6月は東京で開催されるアリーナツアーが、今から待ち遠しくなる……そんな感動を与えてくれた夜だった。
(取材・文/橘川有子)
新体制の超特急がツアー最終日で見せた、輝く涙と笑顔、8号車との深い絆/レポート
撮影/米山三郎、深野輝美


≪セットリスト≫
1. Clap Our Hands!(バンド演奏)
2. 女々しくて(バンド演奏)
<ゲームコーナー>
3. Overture
4. No More Cry
5. DJ Dominator
6. 超えてアバンチュール
7. Billion Beats
8. Synchronism
8. 走れ!!!!超特急
9. BREAK OFF
10. バッタマン
<ENCORE>
1. a kind of love
2. Burn!
3. Starlight

≪ライブ情報≫
【BULLET TRAIN ARENA TOUR 2018 SPRING「Sweetest Battle Field」】
2018年5月26日(土)武蔵野の森総合スポーツプラザメインアリーナ
2018年5月27日(日)武蔵野の森総合スポーツプラザメインアリーナ
2018年6月9日(土)神戸ワールド記念ホール
2018年6月10日(日)神戸ワールド記念ホール



■超特急 オフィシャルサイト