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日本代表最多出場の遠藤保仁から学ぶ「仕事の“先読み能力”の鍛え方」

日本代表最多出場の遠藤保仁から学ぶ「仕事の“先読み能力”の鍛え方」

日本のサッカーファンやメディアも、ワールドカップ出場に慣れてきた。

良くも悪くも、最近のサッカー報道を見ているとそう感じる。解任されたバヒド・ハリルホジッチ元監督の緊急会見というサプライズはあったが、肝心のロシアW杯をどう戦うのか具体的な話はほとんど出てこない。なにせ開幕を1カ月半後に控え、誰を中心に本戦を戦うのかすら決めかねているようにすら見える。

98年フランス大会は初出場でわけの分からない高揚感があり、三浦知良の代表落ちは社会的ニュースになったし、自国開催の2002年日韓大会は4月からすでに異様な盛り上がりで中田英寿や小野伸二は国民的ヒーローだった。06年W杯も日本代表バブルは継続中で、出場国の紹介DVDジャケットデザイン等を担当していた自分も尋常じゃない作業量で終電には間に合わず、毎晩レッドブルを一気飲みしてタクシーで這うように帰っていた記憶がある。

いわば、サッカーワールドカップは“祭り”だったのだ。開催数カ月前から、街のいたるところではサッカーの話を聞いた気がする。打ち合わせ中の会議室では当たり前の風景としてジーコジャパンの試合が流れていた。それが、最近はどうだろう? 落ち着いたというか、W杯?まあ出て当然でしょみたいな雰囲気すらある。いや昔は出るだけであれだけ熱狂してたのに……。
祭りは遠くから冷めて見るよりも、一緒に神輿を担いだ方が楽しいに決まっている。いざロシアW杯へ。と言うわけで、今回は日本代表の中心メンバーとして3大会に出場し、日本代表国際Aマッチ出場数最多記録保持者でもあるガンバ大阪の遠藤保仁の著書『「一瞬で決断できる」シンプル思考』(KADOKAWA)を紹介しよう。
日本代表最多出場の遠藤保仁から学ぶ「仕事の“先読み能力”の鍛え方」
画像出典:Amazon.co.jp『「一瞬で決断できる」シンプル思考


買い物も“先読み能力”を鍛える機会に


遠藤と言えば、ピッチ全体を俯瞰したような無駄のない動きと正確なパスを武器にしたボランチというイメージが強い。このフィジカル全盛のサッカー界で、特別デカいわけでも体幹が強いわけでもなければ、ヘディングの弱さと足の遅さは若手時代から指摘されてきた。だが、実は2010年の南アフリカW杯で遠藤は日本代表チームで試合中に最も長い距離を走っていた。

ゆっくりしたプレーの印象が強い遠藤だが、「運動量が少なく見えるのは、ダッシュをする回数が少ないからだ」と自己分析している。なぜなら、ダッシュをするとボールをコントロールするのが難しくなるから。そこで求められるのが、状況の“先読み”の能力だ。先読みして早めに足を踏み出せば闇雲にダッシュする必要もない。

瞬時に予測と判断を繰り返し、目の前のプレーとして表現する。遠藤は、日常生活でもそんな先読み能力を鍛えようとする。仲間とのトランプゲームにさえ心理戦のヒントを探すのだ。車の運転をする時は、どの車線を走れば前がつまることなく走れるか、前方と後方を確認したうえで判断。家族と一緒にスーパーに買い物へ行った時は、レジを打つ店員の熟練度を真剣に見極め並ぶ列を決める。
ほとんど変態だ……じゃなくて、プロ野球の捕手も街中で歩く人を見て、次はどの方向に曲がるか予測することで人間観察力や洞察力を鍛える逸話が有名だ。遠藤は言う。「日常生活での小さな予測を意識して何度も繰り返していくと、精度も高くなり、判断スピードも上がる」と。先読みのバリエーションを多く持つ選手こそ、ピッチで輝くことができるのである。


遠藤から見た若手選手の問題点


冒頭の章を紹介したが、この本は遠藤のサッカー観にして仕事術が40数本の章立てで並ぶ完全なビジネス書といった感じの内容に仕上がっている。もしこれをきっかけにサッカー選手・遠藤保仁のキャリアを知りたいと思った人には、同じくヤットさん本『信頼する力 ジャパン躍進の真実と課題』(角川書店)がオススメだ。若手時代の2000年シドニー五輪では予備登録メンバー止まりで出場できず、06年のドイツW杯では代表入りもフィールドプレーヤーで唯一出場機会なし。当時のジーコ監督に「スタメンで起用してもらうには、どうしたらいいんですか?」と直接聞きに行くほど、指揮官の海外組重視は露骨だった。何の仕事でも最初から評価が決まっていて、待遇にも差をつけられたらモチベーションは下がる。これらの屈辱をバネに遠藤は「必ずレギュラーなってみせる」と強い意志を持ち、日本代表で確固たる地位を築き上げていくのである。
日本代表最多出場の遠藤保仁から学ぶ「仕事の“先読み能力”の鍛え方」

いつも飄々とプレーして、少し前に話題になったコロコロPKなど掴みどころのない選手。そんなイメージのある男だが、最近の日本の若手選手について非常に興味深いことを書き記している。
今の若い選手は確かに技術力は高い。でも、ここぞという時に力を発揮できていない。その一因として「部活とクラブユース」を挙げるのだ。Jリーグのクラブユースでは、サッカー以外の煩わしさは排除され、サッカーに集中できる環境だ。だが、そこに“ハングリーさ”はないと遠藤は言う。高校の部活では理不尽な縦社会で揉まれて、100人近くいる部員で根性論丸出しの古臭い練習を課せられることもある。練習最後のダッシュでは、自分が遅れたら全員罰走が待ってるので吐きそうになりながらもやり遂げる。毎日が戦場だ。

勘違いしないでほしいが、根性論を称賛したいわけじゃない。だが、その環境で生き延びることである種のタフさは身につけることができるだろう。実際、クラブユース上がりの選手は、トップチームに昇格しても、なにがなんでもレギュラーを奪ってやるという姿勢を見せる選手が少ないという。

「若い選手はもっと、自分を表現すべきだと思う」「クールに黙々とプレーするだけが格好いいとは、まったく思わない」そんな遠藤の言葉を読みながら、2010年南アフリカW杯を思い出した。あの時、チームは直前で中村俊輔から本田圭佑を中心としたサッカーへと方向転換した。結果的に新エースの大活躍もあり日本代表はベスト16進出を果たすわけだが、6歳上の遠藤はそんな後輩を上手くコントロールし共存していた印象がある。グループリーグ第3戦のデンマーク戦ではともに直接フリーキックで得点を記録。そう言えば、本田もガンバユースへの昇格がかなわず星稜高校のサッカー部でプレーした過去を持つ。当時の遠藤は本田について「前を向くと力を出す選手。そうさせてあげるのが僕の役目」とコメントを残している。

あれから8年。今度は6月に32歳になる本田圭佑が、あの時の遠藤保仁の役割をできるかが、ロシアW杯の日本代表の命運を握っているだろう。
(死亡遊戯)

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