矢代朋(波瑠)と鳴海理沙(鈴木京香)のバディが「文字」を手がかりに事件の謎を解いていく『未解決の女・警視庁文書捜査官』(テレビ朝日・木曜21:00〜)第6話。

今回の事件は、6年前に起こったダンサーの遠藤千鶴(板野友美)殺害事件。


鉄パイプで頭部をぶん殴って殺すというワイルドにもほどがある殺害方法。一応、指紋を残していなかったり、財布を盗んで強盗に見せかけたりと気は遣っているものの、例のごとく大して隠蔽する気もなさそうな大ざっぱな犯行だ。

『未解決の女』というタイトルだけに、未解決事件にならなければ話がはじまらないので仕方ないものの、毎度の事ながらどうして当時の警察はコレを解決できなかったのか!?
「未解決の女」浮気目的に複雑な暗号を使いこなすヤリチンなんてイヤだ6話
イラストと文/北村ヂン

「仲間のピンチにはみんな立ち上がるぜ!」パターン


実はこの遠藤千鶴は、矢代の高校時代の同級生。

矢代が出席した同窓会でも、当然その話題が持ち上がっており、久々に再会した同級生・磯野賢治(柳下大)から「遠藤が殺された事件、犯人が分かったかも知れない」と打ち明けられる。

SNSの同窓会グループのメンバーの中に犯人がいると考えているようなのだが、邪魔が入り詳細は聞けずじまい。

すると翌日、磯野は何者かに包丁でブッサリ刺されて殺されてしまったのだ。

高校時代の友人がふたりも殺害され、特に磯野に関しては「あの時ちゃんと話を聞いていれば事件を未然に防げたのでは……」と責任を感じ、落ち込む矢代。


メインキャストの知り合いが犯行に巻き込まれる。または知り合いが犯人で……という、長期シリーズの刑事ドラマで一度くらいは出てくる定番のエピソードだ。

普段は熱血バカ一直線な矢代に引っ張られる形で捜査に付き合っている鳴海も、草加慎司(遠藤憲一)にうながされ、落ち込む矢代のために捜査に乗り出す。

「普段は色々言ってても、仲間のピンチにはみんな立ち上がるぜ!」という熱い展開だ。

ヤリチンがこんな難しい暗号を使いこなしていたとは


事件の鍵は、高校時代から結婚後に至るまで、妻以外に12人の女性(遠藤千鶴を含む)と関係を持っていたというヤリチン・西島圭人(桐山漣)の使っていた暗号。

妻に隠れて連絡を取るため、SNS上のみんなに向けた書き込みと見せかけつつ、浮気相手にしか分からない暗号でメッセージをやり取りしていたのだ。

結局、西島の妻はこの暗号に気づいており、暗号でやり取りをしていた遠藤千鶴を殺害。
暗号に気づいた磯野が、暗号を使って犯人をおびき出そうとしたため、これまた殺したという顛末。

今回のメインの謎はこの「暗号」だったわけだが、文字フェチの鳴海はともかく、西島の妻も、磯野も、よくこんな『多湖輝の頭の体操』みたいな暗号をノーヒントで解けたなと。

そして何より、明らかにチャラくてバカそうなヤリチンが、こんなに面倒くさい暗号を使ってメッセージを送っていたなんて……何かショック! ヤリチンはバカであって欲しい。
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余談だが、ショックだったといえば、遠藤千鶴が殺害された時に「時代を感じさせる懐かしい楽曲」としてきゃりーぱみゅぱみゅの「ファッションモンスター」が流れていたのも、なかなかの衝撃だった。

ええーっ、最近の曲じゃん! と思ったけど、発売が2012年だもんな……。

鳴海と矢代の関係性を見守ろう


「何でこんなどうでもいい話、取り調べで聞かなくちゃならないんだ」

というセリフもあったが、いつも通り脳トレみたいな謎を解く程度で、あとは何てことのない事件。

そんな事件を通じて「人間が苦手」という鳴海と、熱血バカな矢代との距離が、じんわり縮まっていくのをドキドキしながら見守るというのがよい子の見方だろう。


前回、ものすごく思わせぶりな感じで予告されていた「鳴海が警察官になったわけ」も明かされた。

子どもの頃から協調性のなかった鳴海は、警察官だったという祖父から、

「将来警察官になって自分を変えろ。自分以外の誰かの為に生きろ。それが人生だ」

と言われていたのだという。……1週間引っ張ったわりには普通!

しかし、いざ警察官になったところ、悲惨な事件の被害者家族や、加害者の生の感情を目の当たりにして、人間嫌いになってしまったんだとか。

確かに第2話の回想では、娘を誘拐されて頭がおかしくなった被害者(高岡早紀)にメチャクチャクレームを入れられていた。
そりゃあ人間も苦手になるってもんだ。

「やっぱり人間自体は苦手。見栄ばっかり張る薄っぺらい男や、すぐに群れたがる女も」

と言っていたが、「薄っぺらい男」は古賀清成(沢村一樹)のことだろうが、「群れたがる女」とは、具体的に対象がいるのだろうか? 鳴海と矢代以外の女刑事はまったく出てこないけど……。

はやくも最終章!?


いよいよ次回から、最終章に突入とのこと。……もう!?

ここから3話くらい連続してひとつの事件の謎を描いていく、とかなんだろうか。

1話完結で、どこからでもサクッと見られるというのがテレ朝刑事ドラマ&医療ドラマの特徴。
この必殺パターンで高視聴率を保っているわけだが、それを崩すのか!?

確かに『未解決の女』に関しては、事件の謎を解くサスペンス的要素で視聴者の興味を引っ張るタイプというよりは、キャラクターの魅力で引っ張るドラマ。必ずしも1話完結にこだわらず、連続ドラマ的な手法でじっくり人間関係を描いてもらった方が向いていそうだ。

そして「さよなら、矢代朋!」というアオリも気になる。若干『踊る大捜査線 THE FINAL』の「さらば、青島。」っぽくはあるけど。
(イラストと文/北村ヂン)