ドラマの題材としても扱われるSPですが、われわれ庶民が彼らに警護されながら歩く、なんてことはまずありえません。でも、一生に一度くらいはSPに守られたい! そんな夢がかなうサービスが登場しました。それが「SP風タクシー」です。
運行するのは、「心霊スポット巡礼ツアー」や「鏑流馬タクシー」「裏ヨコハマ探索ツアー」など、一風変わった企画を連発するタクシー会社・三和交通。いったいなぜ、こんな企画を考えたのか、またどんな人が利用するのか。
耳にはイヤホン、懐には拳銃も?
さっそく登場したSP風タクシーのドライバー。日中はサングラスをかけています。(※夜間の利用の場合、運転中は外すこともあるそうです)
危険を察知し、懐から拳銃を取り出す? と思ったら中身は水鉄砲でした。ちなみに、耳に掛けているイヤホンはどこにも繋がっていないとのこと。
SPは守秘義務があり、基本しゃべらない(という設定)とのことでしたが、取材のため特別に許可をいただき、話を聞くことができました。
――この「SP風タクシー」、どんな方が利用されているのでしょうか?
「最初のお客様は宴会の余興として予約をしていただきました。
あとはカップルですね。彼氏から『大切な彼女を護衛してください』という依頼があり、彼女の自宅までお送りしました。当日、彼氏から『もし彼女が暴漢に襲われたら、守ってくれますか?』と聞かれたので、『僕は逃げます』と答えました。あくまで“SP風”で、水鉄砲しか持っていないので。
筆者もSPに警護されながらタクシーを降りましたが、まさに初めての体験。SPに守られているときにどんな顔をしていいのか分からず、微妙な表情になってしまいました。
「黒子のタクシー」が海外で話題に
広報担当の眞壁広貴さんにもお話を伺いました。
――そもそも、なぜこのような企画を?
「クルマの自動運転が注目を浴びる中、既存のタクシーで何かできないかと考えたときに『黒子のタクシー』というアイデアが生まれました。『黒子』は普段は見えないものとして扱われるので、黒子が運転するタクシー=自動運転と言ってもいいだろう、と。そうしたら、海外のメディアで取り上げていただいたんです」
――SPの前に「黒子のタクシー」があったんですね
「はい。そこから派生して、『SP風タクシー』と『忍者でタクシー』が生まれました。
先ほどのインタビューでも話が出てきた「忍者でタクシー」というサービスもあるとのこと。こちらも気になったので、お願いして呼んでみました。
外国人観光客にウケそうな「忍者タクシー」
忍者の格好で現れたドライバー。(中身は先ほどのSPと同じ人です)
忍者にも軽くインタビューしてみました。
――忍者は、しゃべってもOK(という設定)なんですか?
「話せるでござる。大事な巻物も懐に入れているでござる」
――運転中、刀はどうするんですか?
「さすがに危ないので、助手席に置いておくでござる」
――その格好、暑くないですか?
「暑いでござる」
「忍者でタクシー」は、ドイツや中国のメディアから問い合わせが来ているそう。たしかに、海外の方にウケそうなサービスですね。実際、すでに羽田空港・国際線ターミナルへ送迎する予約が入っているとのこと。予約したのは夫が外国人という奥様。ぶっちゃけて言えば忍者の格好をした「コスプレタクシー」ですが、旦那さんの喜ぶ姿が目に浮かびますね。
SPに警護されるスター気分を味わえる「SP風タクシー」と、忍者の格好をしたドライバーが案内してくれる「忍者でタクシー」。いずれも通常の乗車運賃+1,000円で利用できます。
SP風タクシー
https://www.sanwakoutsu.co.jp/special/vol_012.html
忍者でタクシー
https://www.sanwakoutsu.co.jp/special/vol_011.html
取材協力 : 三和交通株式会社
https://www.sanwakoutsu.co.jp/
(村中貴士/イベニア)