葵-168-  文句も言わずついてきてくれたファンあってこその自分/インタビュー後編

――【葵-168-】インタビュー前編より

――『ニュークラシック』の中で特にチャレンジした曲は?

葵:今回、曲を提供してくれているのが自分の音楽人生の中で一緒にやってきている人たち(和矛、涼平、夢人、渡辺拓也)で、どの曲も僕の過去の時代の匂いがどこかにすると思うんですよ。なので真新しいチャレンジはないんですが、あえていうと細かい言葉遊びをしていたり、言葉の選び方もギリギリのラインで表現している箇所があったりするのでぜひ歌詞を見ながら聴いてほしいですね。
それと「CANDY」や「アザレア」は恋愛ものに見えて、違うメッセージを込めていたり。

――ぜひ、そのあたりも教えてください。

葵:「アザレア」に関してはわかりやすく例えると『昼顔』みたいな世界観なんですが、実際は何を言いたいかというと、今の世の中って何が正しくて何が間違っているのかわからなくなってきている気がするんですよね。でも、自分が正解だと思うものを突き通すべきなんじゃないかなって。それは自分が葛藤していた時代の答えの一つでもあるんです。

――自分の心に忠実に生きるっていうことですか?

葵:はい。
今はSNSで誰でも発信できる時代で、世の中的に過敏になっていることもたくさんあるかもしれないけれど、自分の中に正解を持っていたら何にも躍らされないんじゃないかなっていうのをわかりにくく織り込んだ歌詞になっています。「CANDY」では僕のファンではなく、たまたまイベントなどで僕を見た人、いわゆるほかのアーティストのファンのことを歌っていますね。この曲も“薬指を さあ 外して”っていう歌詞が出てきたり、不倫の要素が見え隠れするんですけど、結婚するぐらいに思っている自分が好きなバンドのことを1回とっぱらってみて“僕のことも見てみたらどう?”っていう。

――なるほど。

葵:そういう裏テーマもあるよっていうぐらいな感じですけどね。いろいろ解釈していただけるような曖昧な部分を入れてみたり。


葵-168-  文句も言わずついてきてくれたファンあってこその自分/インタビュー後編

――愛するがゆえに人を殺めてしまったのかな? という想像ができる美しいメロディの曲「水葬」はどうですか?

葵:「水葬」はこの作品の中で独立している立ち位置です。僕はもともと非現実世界が好きでヴィジュアル系に興味を持ったんです。にも関わらずリアリティを追求している時期が長かったので、1曲だけ現実離れしている曲を作ってみたいなって。どこかにありそうで、なさそうな……。歌詞は好きな女性がほかの男性を好きになってしまって、関係を持っているのに気づいて“こんなに思っているのになんでそういうことするの?”って女性を殺してしまう内容です。その女性が埋葬される葬儀の最中に遺体を奪い去って、海に沈むっていうお話なんですが、やがて記憶は色あせるから火葬や埋葬だとすぐにキレイな思い出になってしまうと思うんですよ。
“水葬”ってダブルミーニングなんですけど、“水槽”の意味も含んでいて、“囲われた逃げ場がないところでずーっと見続けるからね”っていう怖い話ですね。この世界は演技をしなかったら出てこなかったかもしれないですね。ライブではスイッチが入りすぎちゃって“怖い”って言われてましたね。

――よく聴くとゾクッとする曲ですものね。

葵:キャンペーンで「どの曲、かけますか?」ってよく聞かれるんですが、テレビやラジオだと初めて聴く人にも聴いてもらえるから「CANDY」や「ニュークラシック」みたいな聴き心地のいい曲を選ぶんですけど、今回はあえて「水葬」をかけてるんです。“それぐらい濃い世界観の作品だよ”っていうのを伝えたくて。


――葵さんの“闇”の部分も出ているミニアルバムだから?

葵:そうですね。根本的に闇深いので(笑)。それを輝かせるために歌っているようなものだと思うんですけど、闇のまま言葉に起こした6曲ですね。

――それはわかりやすいですね。

葵:「魔が刺す」という曲が特にそうですね。音楽業界に対する不平不満しか歌ってなくて“ゴメン! 魔が刺してこんなこと書いちゃった”っていう歌なので。


――「魔が刺す」はMASKの和矛さんとの共作曲ですが、当時はこういうことを歌っていたんですか?

葵:MASKは20代前半にやっていたバンドなんですが、世の中に対する不平不満しか歌ってなかったですね(笑)。タイトルが「ためらい自殺信号」とか。

――それこそ闇が爆発していたんですね。

葵:爆発してました。それこそ何も包み隠さなくていいと思っていたので。ちなみに和矛くんが「魔が刺す」をお母様に聴いてもらったら、「MASK、何10年ぶりに新曲出したの?」って言われたらしいです(笑)。
それぐらい当時の香りがする曲ですね。

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――「MUSIC」は約2年前に生まれた曲だとおっしゃってましたが、夢人さんと共作している「ニュークラシック」はいつ頃生まれたんですか?

葵:1年弱ぐらい前ですね。

――「ニュークラシック」は視界が開けたというか、悩んだ末に答えを掴んだみたいな開放感がある曲ですが、どんなやりとりがありました?

葵:今、おっしゃってもらった通りで「MUSIC」が葛藤した始まりの曲で「ニュークラシック」では音楽と自分に対する答えを歌っていますね。夢人くんと一緒にやっている彩冷えるは再始動して続いてはいるんですけど、僕の音楽人生のターニングポイントとなった出会いは涼平くんと夢人くんなので、ぜひ書いてほしいと思って。

――「ニュークラシック」を作った頃には彩冷えるの再始動は決まっていたんですか?

葵:そうですね。ザックリそういう話はしていましたね。もともと夢人とは距離が近くて交流があったんですけど、お願いしたら、すぐに書いてくれました。最後に「君の 正解は いつだって 僕だから」と歌っている曲でそれが全てなんですけど、つねに葵を好きでいることが正しいと思ってもらえるアーティストでいないとダメだなって。だとすると今日より明日、明日より明後日ってつねに最高の状態を更新していかなきゃならない。自分に対するハードルを上げた曲であり、ファンに対する最大限のラブソングでもありますね。

――それは「MUSIC」から約1年たって掴んだ答えでもある?

葵:ええ。僕が声優さんをやったり、舞台に立ったりする時期もあって、それでも離れずについてきてくれたファンの人は僕がいちばん大切にしなければいけない人だと改めて思ったんですよね。ライブで新曲をどんどん披露してリリースもしないのに文句も言わずついてきてくれて振りも覚えてくれて。そういう人たちあってこその自分だなって。

――それに加えて心のままに音楽をやれている葵さんの今の状況も「ニュークラシック」に繋がったんでしょうかね。

葵:まさにその通りです。

――では東名阪ライブについて今、考えていることは?

葵:毎回、ツアーのたびに新曲を作ることを自分の中のテーマにしてきた結果、今回の『ニュークラシック』が完成したので、冬ツアーに向けて新曲を作ろうと思っているんですが、ちょっと不安です(笑)。それとツアータイトルの「三角形の解き方」の意味は“東名阪”を三角形と表現しているんですけど、何とか、この東名阪ツアーを成功させてさらに箇所を増やして、次に進みたいなっていう。“解き方をみんなで一緒に考えようね”っていう意味も込められています。あとはお客さんがCDを手にしてくれた上でのツアーなので、より一体感が増すんじゃないかなという楽しみもありますね。

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