いよいよ、最終回間近。
敵だと思ったら味方だった者たち
●花園由祐子
藤崎紗羅(松本まりか)と同一人物なのか追及するマスコミから亜梨沙を救ったのは、元マネージャーの花園由祐子(平岩紙)だった。亜梨沙を車に乗せ、花園は爆走した。この元マネージャーは、亜梨沙のことを紗羅と呼ぶ。「ねえ、紗羅」と声を掛け、「何ですか?」と亜梨沙が返したときの表情。その無言の間は「本当に紗羅なんだ……」と喜びを噛み締めているように見える。
花園 何、その顔?
亜梨沙 ……整形したから。
花園 フッ! どうでもいいわよ(笑)。
亜梨沙 どうでもいいって……、意味がわからない(笑)。
花園が吹き出したのは、会話が噛み合っていないから。花園が顔のことを尋ねたのは整形についてではなく「どうして花園さんが私を助けるんですか?」と亜梨沙の顔に書いてあったから。確かに、ここに来て花園は亜梨沙に献身的だ。
「5年前にできなかったことを、ただやりたいだけよ」(花園)
できなかったこととは、紗羅(亜梨沙)を守ること。四面楚歌の亜梨沙に、これほど心強い援軍はいない。
●勅使河原友和
亜梨沙と花園がフローライト前社長・勅使河原友和(片岡鶴太郎)宅へ入ると、勅使河原は首吊り自殺をしていた。居間を見ると「我が生涯に一片の悔いあり」との遺書が。
2人が足を踏み入れる前、水谷快人(若葉竜也)も勅使河原へ会いに行っていた。
点と点がつながって線になる。勅使河原は全て知っていたはずだ。純矢は亜梨沙と明日那を二股していた。亜梨沙に決めた純矢は明日那を殺めた。
命より大事な事務所。サイコパスな息子への情。
勅使河原の裏工作は、亜梨沙への愛ゆえだった。
味方だと思ったら敵だった者たち
●勅使河原純矢
水谷が入手した映像には、明日那をビルの屋上から突き落とす純矢の姿が映っていた。それだけでは終わらない。入院する阿久津唯菜(松井玲奈)の病室へ向かう純矢が手に持つのは、お見舞いではタブーとされる白百合の花だ。「ゆっくり休んで」の言葉とともに、唯菜のことも手にかけた純矢。包帯を取り、顔の傷を確認して女優として用無しと判断したからだろうか。
そんな純矢も、亜梨沙だけは手にかけなかった。父を失脚させるための利用価値があるから? 本当に愛していたから? 5年前、亜梨沙の不倫スキャンダルを捏造した張本人は純矢だ。次回予告映像で、純矢は亜梨沙に言葉を掛けている。
「君の愛を信じてたんだよ。俺が不幸になるより自分が不幸になるほうがマシだって、君ならそう考えると信じていた」
愛があったとしてもクズである。
●小嶋夏恋
女を食い物にしていく純矢。この男の女性関係を振り返ると、キーになってくるのは赤いハイヒールだ。復讐の際に亜梨沙が必ず履く赤いハイヒールは純矢からプレゼントされた物。水谷が大事にしている赤いハイヒールは姉の形見で、きっとこれも純矢から贈られた物だ。
次回予告を見ると、小嶋夏恋(小川紗良)も純矢から赤いハイヒールを受け取っている。今まで、純矢は標的に赤いハイヒールを贈ってきた。次に毒牙にかかるのは夏恋だ。
突如、亜梨沙に不信感を抱き闇落ちした夏恋。純矢に洗脳されている気がしてならない。ドラマHPの最終回あらすじには「純矢は新たに事務所を立ち上げることになり、看板女優となる小嶋夏恋に目をかける」と解説文が載っている。懐柔されるのだ。以前、夏恋は亜梨沙と純矢が屋上で抱き合う場面を見ている。唯菜と同様に、2人の逢引を見てから様子がおかしくなった。実は、かなり前から夏恋は純矢の虜になっていた可能性がある。
夏恋に関して、もう一つ気になるシーンがある。亜梨沙が紗羅だと判明し、事務所内が混乱している最中、おもむろに携帯をいじる夏恋。
そういえば、芸能界の裏情報を発信するアカウント「芸能暴露くん」の正体がいまだ明らかにされていない。ダークサイドが明らかになった途端、夏恋が怪しく思えてくる。なぜ、あのタイミングで携帯を手に取ったのか。何か書き込んでいるのだろうか。
地位欲と色欲の純矢
このドラマは本日深夜放送の第10話で最終回を迎える。いいかげん、ラスボスは純矢で決まりだろう。では、最終確認として純矢が行ってきた悪行をまとめたい。
・紗羅と明日那を二股し、紗羅を選んで明日那を殺害した。
↓
・事務所存続のため、捏造記事で「明日那殺害」のスキャンダルを揉み消して紗羅を犠牲にした。
↓
・社長になる芽がないと判明。「不正な金の流れを隠蔽する為、紗羅の不倫記事が捏造された」という名目で亜梨沙と手を組み、事務所乗っ取りに成功。
↓
・唯菜が事故で負傷。女優生命が絶たれた唯菜を殺害する。
↓
・夏恋を手駒にする。
純矢を突き動かしているのは、地位への欲求と色欲だ。視聴者が望むのは、あとは純矢がどのようにスカッと復讐されるのか? だけである。でも、事はそう上手く運ぶだろうか。
次回予告映像で、亜梨沙が純矢に語りかけている。
「一滴残らず、地球上から干されて消えよ?」
まるで、一緒に逝こうと誘っているかのような言い方なのだ。整形をし、声まで変えて舞い戻ってきたのにそんな着地点なのか。純矢への情が捨てられず、修羅になり切れないのが亜梨沙。完全なる復讐劇ではない。その点が、前作『ブラックリベンジ』とは異なる。
『ブラックスキャンダル』第10話は、本日23時59分から放送。最終回なのに、まだ謎は多い。復讐劇ではないので、結末が全然読めないのだ。
(寺西ジャジューカ)
木曜ドラマF『ブラックスキャンダル』
脚本:佐藤友治ほか
監督:長沼誠ほか
音楽:井筒昭雄
主題歌:「ドグマン」(ゲスの極み乙女。)
チーフプロデューサー:岡本浩一
プロデューサー:福田浩之、中間利彦、茂山佳則(AX-ON)、西紀州(AX-ON)
制作協力:AX-ON
制作著作:読売テレビ
※各話、放送後にHuluにて配信中