日本テレビ系「今日から俺は!!」9話（日曜22:30〜）。このドラマは人気原作を元に、恋愛やギャグなど様々なタイプのストーリーを一話完結で展開してきた。
軟高の三橋（賀来賢人）と伊藤（伊藤健太郎）が気に入らない開久のナンバー2相良（磯村勇斗）は、番長の智司（鈴木伸之）をそそのかす。手下に、伊藤から集団リンチを受けたとウソの報告を智司にさせる。簡単には信じることができない智司だが、血だらけの仲間の姿に激怒。
開久軍団に囲まれた大ピンチの伊藤は、ボコボコにされながらも智司にタイマンを持ちかける。
智司が眼を開けていることにうすうす気付く伊藤だったが、バカで真面目なので自分は眼を開けない。
智司は開久の手下ではなく、そんなバカ真面目な伊藤を信じることに。相良はバレバレの嘘を掲げ、「うちの仲間より伊藤を信じるってのか？」と信頼というペラペラの建前のもと、智司をトップから引きずり下ろした。そして、智司の最後の頼みである「伊藤を見逃すこと」を聞かず、智司と伊藤を角材で袋叩きにする。
アホみたいに振り切ったギャグや、ちょっとキュンとするような恋愛シーンも描きつつ、本気で胸クソ悪い極悪人も登場させる。この振れ幅こそが「今日から俺は!!」の魅力であり、生命線だ。
トップになった相良はやりたい放題。軟高に大勢で乗り込み、三橋と伊藤相手に300万円を要求する。様々な機転と逃げ足でなんとかその場を凌ぎきった三橋と伊藤だが、相良の策略で2人はさらに追い詰められる。そのころ開久を恐れた佐川（柾木玲弥）は、軟高全生徒から金を集めていた。
「勝手なことするんじゃねー」と伊藤。
「それに、三橋さんと伊藤さんをこれ以上危ない目に合わせたくねーんだよ」この佐川の言葉に覚悟うたわれたを決めた三橋は、なぜか関係ない今井（太賀）を騙し、開久高校に乗り込む。戦力にもならないし、呼ばれてもいないのに、仕方なさそうに今井と心中を覚悟する谷川（矢本悠馬）がある意味1番肝が据わっている。
結果的に三橋の奇策でケリがついたこの全面戦争。気合いの入った伊藤も、弱いながらに角材を振り回す谷川も、助っ人で登場した理子（清野菜名）や佐川もすごく良かったのだが、やっぱり今井のアクションが1番気になった。
原作では、190cm越えで怪力の持ち主という設定の今井。過去にもこのレビューで触れたが、太賀は身長が足りない。肉じゅばんも入れているだろうし、なんとか力持ちっぽく見せているが、それだけではなかなか怪力は表現出来ない。そこで太賀がとった方法は叫ぶこと。「うりゃあ！」と叫びながら殴るし、殴ったあとにも「うらー！」と大口を開けてゴリラが威嚇するように叫ぶ。
これが本当にすごい。力強さも伝わるし、何より今井らしいバカっぽさがしっかり伝わってくる。少人数対大人数なのに叫んで隙を与えてしまう感じもバカらしく、いつも後ろから殴られている今井らしい。
「伊藤つっこめぇ！」
「俺はなぁ！テメーらがエバってんのが何より気にいらねーんだよ！」
「三橋はくる。そんであのクソ野郎を絶対にぶっ飛ばす」
こんなセリフもバカが言うと純度が違う。本気の本気の声として届く。乱闘という緊張感に、バカという適度な緩和、そこにバカだからこそ伝わる本気の緊張感。すばらしいループだ。
9話のラストで、そんな今井がヤクザに意識不明の重体にされてしまう。予告を見る感じ相良が関係していそう。終わってしまうのは悲しいが、早く今井を救ってやって欲しい。
（沢野奈津夫）
「今日から俺は!!」
日曜：22:30〜23:25（55分） 日テレ系
キャスト：賀来賢人、伊藤健太郎、清野菜名、橋本環奈、太賀、矢本悠馬、鈴木伸之、ムロツヨシなど
脚本：福田雄一
演出：福田雄一、鈴木勇馬
主題歌：今日俺バンド「男の勲章」
最終回直前の第9話は、第3話ぶりとなるケンカがメインのヤンキードラマに立ち返った。中村倫也が登場した第5話もケンカがメインだったが、筆者はあれをパニックホラーだと思っているので、やっぱり3話以来。こんなに多種多様な内容のドラマを、第1話の時点で全て撮影終了という修正の効かない方法で制作しているんだからすごい。いや、修正が効かないからこそ、自由にやれているのかもしれない。
原作３１巻
本気で胸クソ悪い相良こそが、ヤンキーものの生命線
軟高の三橋（賀来賢人）と伊藤（伊藤健太郎）が気に入らない開久のナンバー2相良（磯村勇斗）は、番長の智司（鈴木伸之）をそそのかす。手下に、伊藤から集団リンチを受けたとウソの報告を智司にさせる。簡単には信じることができない智司だが、血だらけの仲間の姿に激怒。
集団で伊藤を襲う。過去8話、かわいらしいシーンを見せることもあった相良が、三橋もビックリの超卑劣な行為を見せた。今作でもぶっちぎりの悪党。朝ドラ「ひよっこ」の爽やかな磯村勇斗しか知らない人はさぞかし驚いたことだろう。というか、気付かなそう。
開久軍団に囲まれた大ピンチの伊藤は、ボコボコにされながらも智司にタイマンを持ちかける。
これに智司は開久伝統のタイマン方法を提案。メリケンサックを装着し、眼をつぶったまま、殴り合うはというルールだ。伊藤はこれを飲んだが、智司はルールを破り、当然のように眼を開け伊藤を痛めつけた。このタイマンは、“タイマンとか能書きを垂れる奴をシメる”開久伝統のリンチだった。智司も1年のときにこの洗礼を受けていた。
智司が眼を開けていることにうすうす気付く伊藤だったが、バカで真面目なので自分は眼を開けない。
視界がゼロのまま、闇雲に拳を振り回す。ちなみに、筆者も一応やってみたのだが、眼をつぶって本気で拳を振り回すのはけっこう怖い。バランスも崩さすにあんなに連続して動けるんだから、伊藤ちゃんも、伊藤健太郎もなかなかの根性と体幹の持ち主だ。
智司は開久の手下ではなく、そんなバカ真面目な伊藤を信じることに。相良はバレバレの嘘を掲げ、「うちの仲間より伊藤を信じるってのか？」と信頼というペラペラの建前のもと、智司をトップから引きずり下ろした。そして、智司の最後の頼みである「伊藤を見逃すこと」を聞かず、智司と伊藤を角材で袋叩きにする。
アホみたいに振り切ったギャグや、ちょっとキュンとするような恋愛シーンも描きつつ、本気で胸クソ悪い極悪人も登場させる。この振れ幅こそが「今日から俺は!!」の魅力であり、生命線だ。
一般人の声
トップになった相良はやりたい放題。軟高に大勢で乗り込み、三橋と伊藤相手に300万円を要求する。様々な機転と逃げ足でなんとかその場を凌ぎきった三橋と伊藤だが、相良の策略で2人はさらに追い詰められる。そのころ開久を恐れた佐川（柾木玲弥）は、軟高全生徒から金を集めていた。
「勝手なことするんじゃねー」と伊藤。
しかしそれは強者の理屈であって、普通の生徒である佐川は別の考えだ。「みんな怯えながら学校にきたくねー。金を払わせてくれよ」と弱者の目線で三橋と伊藤を説得した。情けないように見えるが、佐川の精一杯の勇気が起こした行動だった。
「それに、三橋さんと伊藤さんをこれ以上危ない目に合わせたくねーんだよ」この佐川の言葉に覚悟うたわれたを決めた三橋は、なぜか関係ない今井（太賀）を騙し、開久高校に乗り込む。戦力にもならないし、呼ばれてもいないのに、仕方なさそうに今井と心中を覚悟する谷川（矢本悠馬）がある意味1番肝が据わっている。
今井はアクションもバカだった
結果的に三橋の奇策でケリがついたこの全面戦争。気合いの入った伊藤も、弱いながらに角材を振り回す谷川も、助っ人で登場した理子（清野菜名）や佐川もすごく良かったのだが、やっぱり今井のアクションが1番気になった。
原作では、190cm越えで怪力の持ち主という設定の今井。過去にもこのレビューで触れたが、太賀は身長が足りない。肉じゅばんも入れているだろうし、なんとか力持ちっぽく見せているが、それだけではなかなか怪力は表現出来ない。そこで太賀がとった方法は叫ぶこと。「うりゃあ！」と叫びながら殴るし、殴ったあとにも「うらー！」と大口を開けてゴリラが威嚇するように叫ぶ。
これが本当にすごい。力強さも伝わるし、何より今井らしいバカっぽさがしっかり伝わってくる。少人数対大人数なのに叫んで隙を与えてしまう感じもバカらしく、いつも後ろから殴られている今井らしい。
「伊藤つっこめぇ！」
「俺はなぁ！テメーらがエバってんのが何より気にいらねーんだよ！」
「三橋はくる。そんであのクソ野郎を絶対にぶっ飛ばす」
こんなセリフもバカが言うと純度が違う。本気の本気の声として届く。乱闘という緊張感に、バカという適度な緩和、そこにバカだからこそ伝わる本気の緊張感。すばらしいループだ。
9話のラストで、そんな今井がヤクザに意識不明の重体にされてしまう。予告を見る感じ相良が関係していそう。終わってしまうのは悲しいが、早く今井を救ってやって欲しい。
（沢野奈津夫）
「今日から俺は!!」
日曜：22:30〜23:25（55分） 日テレ系
キャスト：賀来賢人、伊藤健太郎、清野菜名、橋本環奈、太賀、矢本悠馬、鈴木伸之、ムロツヨシなど
脚本：福田雄一
演出：福田雄一、鈴木勇馬
主題歌：今日俺バンド「男の勲章」
