のんが自身のバンドを率いて6月16日(日)に東京・渋谷WWW Xにて6月12日にリリースした新ミニアルバム『ベビーフェイス』のレコ初記念ライブを開き、700人のファンを魅了した。
冒頭、スクリーンに新ミニアルバムのレコーディング時の映像が映し出される。
2曲目と3曲目に披露した「モヤモヤ」と「憧れて」はいずれも新作からで、「モヤモヤ」ではブルージーなギター・リフに載せて気だるくルーズに、「憧れて」ではミディアムテンポで黙々と歌う。従来のアップテンポで元気いっぱいのパワーポップとは明らかに違う新境地を見せてくれる。
続いての「蒼い灼熱」も新作収録曲だが、こちらはゆっくりとアカペラで始まり徐々にアップテンポになり後半は畳み込むように歌う。
のんにとってGO!GO!7188はリスペクトしてやまないアーティスト。中学時代にGO!GO!7188のカバー・バンドを組んでおり、「涙の味、苦い味」に出てくる歌詞「ラスト・ライブ」はそのバンドの最後のライブをモチーフに書かれた。ラスト・ライブでは初のアンコールを経験。それまでは順調に演奏していたが、アンコールで緊張したのか、上手く演奏できず惨々たる結果に。
ここからはノンストップで1stアルバム収録曲を3曲立て続ける。「アルバムにもベビーフェイスな曲あります! ベビーな気持ちで聴いてください!」と歌ったのは矢野顕子が書き下ろした「わたしはベイベー」。今回のライブにはキーボードのはらかなこが初参加している。原曲は矢野の弾くピアノが入っているだけにキーボードは不可欠。
パンキッシュな「へーんなのっ」や「あることないこと」にどこか80'sのニューウェーブのテイストが加わりポップでキッチュなサウンドに変化している。またこのキーボード・プレイヤー、普通なら音が増して足し算になるのだが、むしろボディが削ぎ落とされ、引き締まったようにも感じさせる。いい形での化学変化をもたらしているようだ。何よりも、この新しいサポートを得てバンドが一皮むけた。コーラスでは息の合ったハーモニーを聴かせ、アンサンブルがより強固になり、のんのボーカリストとして成長も著しく、座長としての貫禄も出てきた。
前半にミディアム・テンポを挟み、後半には一気呵成に攻め込むという鮮やかな構成で本編を終えた。そしてアンコール。メンバー全員が白いTシャツ姿に着替え、達成感溢れる表情で登場。あまりにも本編に神経を集中させたのが災いして、のんから「アンコール曲を用意してない……」と衝撃告白が。急遽、会場からリクエストを募り、オープニングに演った「やまないガール」を再演奏。なんとも、のんらしい締めとなったが、700人のオーディエンスは皆満足げ。
(撮影/南賢太郎)
セットリスト
1. やまないガール
2. モヤモヤ
3. 憧れて
4. 蒼い灼熱
5. 涙の味、苦い味
6. 雨上がり アスファルト 新しい靴で
7. へーんなのっ
8. 正直者はゆく
9. あることないこと
10. わたしへベイベー
11. スーパーヒーローになりたい
12. さあいこう
13. RUN!!!
<ENCORE>
1. やまないガール
■のんシガレッツ
のん(Vo,Gt)
岩崎なおみ(Ba,Cho)、ひぐちけい(Gt,Cho)、若森さちこ(Dr,Cho)、はらかなこ(Key,Cho)
■のん オフィシャルサイト