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本日決定!書評家・杉江松恋の第161回直木賞候補全作レビュー&予想。本命は『平場の月』だが優位は…

第161回直木賞の選考会が本日行われる。今回の候補は六作だ。
朝倉かすみ『平場の月』(光文社)
大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓魂結び』(文藝春秋)
窪美澄『トリニティ』(新潮社)
澤田瞳子『落花』(中央公論新社)
原田マハ『美しき愚か者のタブロー』(文藝春秋)
柚木麻子『マジカルグランマ』(朝日新聞出版)
作者が全員女性だったことで話題になったが、後に記すとおり過去に何度も名の挙がった人たちばかりである。朝倉かすみは今回が初だが、これまで候補にならなかったことがおかしいと思う。女性だから選ばれた、というわけではもちろんなく妥当な結果だろう。この件について別の場所で取材を受けたが「では、男性ばかりが候補になったときも同じことを聞くのですか」と問い返したら、苦笑いをされた。そういうことだ。
今回の候補作でおもしろいのは、作品を並べていくと緩やかな共通項のようなものがいくつか見出せることである。今を見据えて小説を書こうとするときに必ず浮上してくるであろう物事が、図らずして複数の作品の中に顔を出したというべきか。
以下、簡単なレビューと私なりの予想を書く。

芥川賞予想はこちら

朝倉かすみ『平場の月』(光文社)


本日決定!書評家・杉江松恋の第161回直木賞候補全作レビュー&予想。本命は『平場の月』だが優位は…

中学時代の3年間同級生だった須藤葉子と偶然再会した青砥健将は、彼女と共に人生の新章を歩こうとする。もう五十路に入る二人だから、お互いにさまざまな経験をしてきている。恋愛だからといって単純にはしゃぐような年齢ではないのだ。青砥も須藤も共にパートナーとの別れを経験している。そもそも青砥は須藤に「いまだれとも」付き合う気はないと中学時代に交際を断られたのだが、今になって気の措けない話し相手として「もってこいだ」と近づくことを許された。その年になれば誰もが他人を容れられない自分というものを持っている。その容器と容器がぶつからないようにしながら青砥は須藤との距離を縮めていくのである。

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