2019年もいよいよ終わりが近づいている。年の瀬は何かとイベントごとが多いが、そのなかでも一大行事が”クリスマス”だろう。
この時期になるとイルミネーションが街の至るところで光り輝き、テレビなどのメディアも話題はクリスマス一色になる。それと比例するかのようにTwitterのタイムラインが殺伐としていくのも風物詩のひとつだが、今回はそんなクリスマスのなかでも特に「クリスマス・ソング」に注目したい。
童謡からJ-POP、ロックからジャズまで、ジャンルを問わず歌われているクリスマス・ソング。有名なものからコアなものまで多くのクリスマス・ソングがあるが、いち音楽ファンとしてこの時期に毎年疑問に思うのは「クリスマス・ソング、実は失恋ソングが多くないか?」ということだ。
冬の人恋しさにマッチするのか、有名なクリスマス・ソングは切ない恋心を歌ったものがどうも多いように感じる。というわけで今回は、この時期にぴったりの「クリスマス・ソングの歌詞テーマ」について調査したい。
クリスマス・ソングは何について歌っているのか
今回は、カラオケのJOYSOUNDが公開している「定番!クリスマスソング特集♪」に掲載されているクリスマス・ソング計62曲を対象に「何のテーマについて歌ったクリスマス・ソングなのか」を調査した。
細かい定義の前に、まずは結果を見てみよう。
【クリスマス・ソング、実は失恋ソング多い問題vol.1】クリスマス・ソングは何について歌っているのか?(C)エキサイトニュース
恋愛について歌っている:78.7%
クリスマスの景色について歌っている:8.2%
その他:13.1%
圧倒的に多かったのが、恋愛について歌っているクリスマス・ソング。予想通りといえなくもないが、「クリスマス=恋愛行事」という日本のカルチャーを反映しているようで興味深い結果である。
また「何をもってラブソングとするのか」という点も歌詞によっては判別が難しかったりするのだが、クリスマス・ソングについては明らかに恋愛について歌っていることが多いため、非常に調査がしやすかった。
恋愛に次いで人気だったテーマが淡々と「クリスマスの景色」を歌ったものだ。具体的には、ももいろクローバーZの「サンタさん」などがあり、サビではひたすらに「サンタさんさんさんサンタ!さんさん!」と歌いあげた異例のクリスマス・ソングなので、恋愛ソングは少し聞き飽きたという人にはぜひおすすめしたい1曲である。
実は失恋ソングが多いのではないか問題
では、本題の「実はクリスマス・ソングは失恋ソングが多いのではないか問題」を見てみよう。先程の歌詞のテーマ調査で「ラブソング」に分類された曲に絞り、それぞれの恋愛が成就しているかどうかを調査した。
今回、恋愛が成就しているか否かを判断した基準は「主人公(=歌い手)が恋愛対象とクリスマスに会えているかどうか」または「プレゼントをあげたり連絡をしたりした際、相手から確実にリアクションがもらえる状況にあるかどうか」の2つである。
【クリスマス・ソング、実は失恋ソング多い問題vol.2】クリスマスのラブソングの恋愛は成就しているのか?(C)エキサイトニュース
成就していない(片想い):60.4%
成就している(両思い):37.5%
その他:2.1%
こんなにも切ない結果があるだろうか。日本でよく歌われるクリスマス・ソングは、半分以上が恋愛が成就していない曲であった。
具体的には、会いたい気持ちを歌い上げたback number「クリスマスソング」、あと一歩のところで思いが伝えられない嵐・二宮和也のソロ曲「メリークリスマス」などがあり、いずれもクリスマスに意中の相手と過ごしたい切ない気持ちを歌いあげた名曲である。
上記の曲が「いまのところは片想いだが、今後結ばれる可能性がある」という状態なのに対し、Wham!の「ラスト・クリスマス」を日本語でカバーしたEXILE「LAST CHIRISTMAS」などは過去の終わった恋愛を思い返しており、より切なさの度合いが強い。
しかし、最も終わった恋愛について切実に歌い上げているのはミオヤマザキ「史上最幸のクリスマス」だろう。気になる方はぜひ歌詞を全文読んでいただければと思うが、クリスマスとともに終わりを迎えた恋愛を描く、戦慄のクリスマス・ソングとなっている。
数少ない両思いのハッピーなクリスマス・ソングとしてはAKB48「あなたとクリスマスイブ」などがあり、幸せな気持ちで年末を迎える方にはおすすめしたい曲である。
恋愛以外では何について歌っているのか
最後に「ラブソング以外のクリスマス・ソングは、逆に何について歌っているのか」を見てみよう。最初の歌詞テーマにおいて「その他」に分類された曲の各テーマが以下である。
【クリスマス・ソング、実は失恋ソング多い問題vol.3】逆にラブソング以外に何があるのか?(C)エキサイトニュース
最も気になるのはクリスマスと称してハロウィンについて歌っているAfter the Rain「ブラッククリスマス」だろう。
一応シチュエーションとしてはクリスマスになるのだが、テイストや歌詞の内容ともに明らかにハロウィンを意識した曲となっているので「クリスマスだけどハロウィンを楽しみたい」と感じている人にはぴったりの曲となっている。
きゃりーぱみゅぱみゅ「Ring a Bell」もクリスマス・ソングとしては異色の1曲だ。ほぼ「ベルが鳴っている」「音楽スタジオに行こう」「今日は幸せ」の4文だけで構成されているのだが、1回だけ「携帯電話はどこ?」と歌う箇所があり、クリスマスに連絡が取れなくなっているのではないかと不安に駆られる曲でもある。
そのほか、妖精を信じるかわいらしい童心を歌った木村カエラ「A winter fairy is melting a snowman」などもあり、恋愛に偏りがちなクリスマス・ソングのなかに彩りを添えてくれているといえそうだ。
待ちに待ったクリスマス。毎年この時期には同じクリスマス・ソングが流れることが多いが、よく探してみるとクリスマスを歌った曲は定番のもの以外にも多数ある。片想いの曲でもよし、恋愛に関係のない曲でもよし、ぜひ自分の好きな1曲をみつけてよりクリスマスを楽しんでくれればと幸いだ。
■まいしろ
社会の荒波から逃げ回ってる意識低めのエンタメ系マーケターです。音楽の分析記事・エンタメ業界のことをよく書きます。
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