金曜ナイトドラマ『女子高生の無駄づかい』(毎週金曜23:15〜、テレビ朝日系)。ビーノによる同タイトルのマンガを原作に、田中望・通称バカ(岡田結実)、菊池茜ことヲタ(恒松祐里)、鷺宮しおりことロボ(中村ゆりか)の3人をはじめとする女子高生たちの、キラキラとした青春の時間を無駄に過ごす日常を描く。

いいぞ「女子高生の無駄づかい」1話。ちゃんと「バカ」っぽい岡田結実、連続ドラマ「ロボっこ」にも期待
原作1巻

ちゃんと「バカ」っぽい岡田結実の表情


舞台は「さいのたま女子高等学校」。女子校であることさえ気づかずに入学してきた「バカ」。BL好きのヲタ、感情を表に出さないロボとつるみながらひたすら「モテたい」と願う。唯一の男性である担任・佐渡(町田啓太)は高学歴のイケメン。教室じゅうがときめくも、しょっぱなの「女子大生派だ」という宣言に全員が「ないわ……」となる。なお、この担任に「ワセダ出身かどうかはしらないけど、それっぽいから」と「ワセダ」とあだ名をつけたのはバカだ。ヲタとロボという身も蓋もないあだ名もバカによるもの。

前半は原作の4コマに比較的忠実に展開していく。高校生に見えないロリ(畑芽育)、中二病のヤマイ(福地桃子)、理路整然と苗字の由来を語りバカを怯えさせるマジメ(浅川梨奈)、なぜか呪いの道具を大量にもったマジョ(井本彩花)ら個性の強い面々が次々と登場する。
目力の強い岡田の表情は、自信満々に自分の信じた道を突き進むバカの雰囲気をよく表しているように見える。学校のシーンでは、ドラマのオリジナルキャラクターである教頭を演じる大倉孝二の存在が光る。あくまでもまじめにワセダを見守っているのだが、ワセダの「女子大生好き」に安心するというずれ具合を見せる。表情と心の声だけでおかしさを際立たせるのがさすが!

ドラマ内ドラマの作り込みに見える意欲


中盤、バカが素敵な彼氏との出会いを妄想する展開の見応えがすごい。
「幼馴染との再会」、「図書館で同じ本を取り合う」、「交通事故に遭った男性に輸血」「売れっ子アイドルと街角で出会う」「高級レストランで食事を残し、シェフが驚く」「どしゃぶりの雨で子猫を拾うイケメンの横で猫に扮する」と実に6パターンの、きちんと作り込まれた再現映像が展開する。
図書館で取り合う本がニーチェなのがバカっぽさを増しているし、高級レストランのシェフはついこ間まで放送されていたドラマを彷彿とさせるいでたちで「ちょ、待てよ」と言うし……。
「一切努力せずにありのままの自分を好きになってほしい」という希望のもと、妄想上の男子全員から「おもしれー女」と言われて告白されるというワンパターン展開ゆえ、「街角『おもしれー女』コレクション」なるものまで!
さらに間髪入れず「連続ドラマ内小説『ロボっこ』」がスタート。ロボ扮するロボ子が主役の、いかにも朝ドラらしいテイストの物語だが、ロボ子の友達が瓶に入った微生物だし、ナレーションが微生物視点だし、「我が家のロボっこ」という視聴者が投稿してきた写真を紹介するっぽいエンディングが挟まれる。
このターンだけで、製作陣のドラマにかける意欲が見て取れる。ロボっこ、次週以降も楽しみだ。

フライングガーデンに集まる女子高生


ヲタが描いたマンガをロボに見せるシーンも印象的だ。
ヲタの画力が足りないせいで恋愛マンガなのに電子レンジが近づいてきているように見える、男性の膝が曲がらないように見えるという部分、原作でのばかばかしさを実写で表現して、けっこういい線いっていたのではないだろうか。
もうひとつ、細かいところだが、3人が集うファミレスがメジャーどころではなく、北関東を中心として展開する「フライングガーデン」だったのが渋くて彼女たちに似合っていていいな、と思った。
第1話の演出は『おっさんずラブ』『民王』の山本大輔。脚本は劇団ロリータ男爵主宰であり、『けものフレンズ』や『トクサツガガガ』も手がけた田辺茂範が担当。さらに今後も小劇場界から脚本家が登場する。2話以降、脚本家によって大きく雰囲気が変わることもあるのかもしれない。

近藤サトのナレーションがかつての大映ドラマっぽさを感じさせる『女子高生の無駄づかい』、第2話は今夜。

女子高生の無駄づかい
出演:岡田結実、恒松祐里、中村ゆりか、町田啓太(劇団EXILE)、福地桃子、浅川梨奈、畑芽育、井本彩花、小林由依、大倉孝二、内藤理沙、横山涼
原作:ビーノ
脚本:田辺茂範(ロリータ男爵)、矢島弘一(東京マハロ)、角田貴志(ヨーロッパ企画)、山田由梨(贅沢貧乏)、安藤奎(アンパサンド)、玉田真也(玉田企画)
監督:山本大輔
演出:山本大輔、日暮謙
エンディングテーマ:Little Gree Monster「STANDING OVER」
製作:テレビ朝日、MMJ