結成30周年を記念した初のドームツアー「THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR」を開催中のTHE YELLOW MONKEYが、その2本目となる京セラドーム大阪公演を2月11日に開催した。
昨年、現メンバーで初めてライブをおこなった12月28日にナゴヤドームからスタートした今回のツアーは、全4公演で異なるセットリストが用意されている。
開演5分前、龍谷大学吹奏楽部による「MY WAY」と、吹奏楽アレンジされたイエローモンキーの「見てないようで見てる」が披露されるなか、会場が暗転すると、吉井、菊地英昭(Gt)、廣瀬洋一(Ba)、菊地英二(Dr)の4人がステージに姿を現した。1曲目にメジャーデビュー曲「Romantist Taste」がはじまると、ドームを埋め尽くす4万人のお客さんによる一糸乱れぬ腕振りで早くも会場が一体になる。
最初のあいさつでは「元気でしたか? 大阪。この日をメンバー全員とても待ちわびていました」と吉井。昨年、19年ぶりにリリースされた最新アルバム『9999』に収録されている「Balloon Balloon」や、1994年発表の3rdアルバム『jaguar hard pain 1944-1994』からの「FINE FINE FINE」では、ヒーセとアニーが生み出す強靭なグルーヴがドームを揺らし、続く「MOONLIGHT DRIVE」では、エマのエッジの効いたギターソロが鋭く空気を切り裂いていく。今回のツアーは、大小異なる複数のLEDスクリーンをランダムに使ったダイナミックな演出が、バンドの30周年を壮大に彩っている。
「ここからはセンターステージコーナーです」と、中盤はサポートキーボードの鶴谷崇をメインステージに残し、メンバーだけでセンターステージへ移動。そこから客席を見渡した吉井は、約20年前に「大阪ドーム」と呼ばれていたこの会場に立ったときのことを振り返ると、「そのときの記憶が……僕は正直言って、薄いです。こんなにアットホームだとは思いませんでした」と、晴れやかな笑顔を見せた。
ここからは360°を客席が囲み、まるでライブハウスのようにお客さんとの親密な距離感のなかでライブは進んだ。
4人がセンターステージを降りると、イエローモンキーの最初のデモ音源に収録されていたという未発表曲「PENITENT」が流れ出し、過去の全ライブの日程と会場がスクリーンに映し出された。そして、チンドン屋さんと吹奏楽隊を迎えたスペシャルな編成で結成30周年を記念した楽曲でもある「DANDAN」を披露。歌詞のエピソードにあわせて、吉井とヒーセがアドリブでセリフを挟む遊び心でも会場を湧かせる。
そこからはドームの熱狂を一気に沸点へと導いた「SPARK」、盛大なシンガロングを巻き起こした「バラ色の日々」や「太陽が燃えている」を一気に畳みかけて、怒涛のクライマックスへ。「このバンドは最後のひとりが死ぬまでやるんだよね?」と問いかける吉井に、3人が笑顔で頷いたり、「これからも自分たちが信じるロックンロールをやっていきたいと思います」と伝えるなど、この日は、これからもイエローモンキーを続けるという覚悟を感じるMCも印象的だった。
最後に、先ほど披露した「カナリヤ」と同じく2000年頃の作った曲であり、「いつか明るい未来が待っているじゃないかと思って書いた曲です」と紹介したラストナンバーは「BRILLIANT WORLD」。暗闇から光を掴もうとするように、“最高な世界へ”と何度も歌い上げたその楽曲は、それぞれの時代ごとに、バンドが歌うべき言葉を紡ぎ、鳴らすべき音楽を届けて続けてきたイエローモンキーの道のりに無駄なことはなかったと、その30年間を高らかに誇る万感のフィナーレだった。
アンコールでは、バンド名をあしらった巨大な電飾のオブジェがステージに掲げられるなか、「悲しきASIAN BOY」で、この日いちばんの盛り上がりを作り上げると、最後に、初日ナゴヤドームのエンディングで音源が流れた新曲「未来はみないで」がライブで初披露された。実は再集結後にいちばん最初にできていたというこの曲について、吉井は「ザ・イエロー・モンキーから皆さんへの手紙のようなもの」と説明。
昨年末からはじまった「THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR」は残すところ4月4日、5日の東京ドームの2Daysのみ。そこで、イエローモンキーの“シーズン2”は締めくくりとなり、今後の活動のための準備期間に入るという。“30周年”と“シーズン2”のふたつの意味で集大成となるラスト東京の2日間は、彼らのバンド史に残る伝説のライブになることは間違いない。
(取材・文/秦理絵)