『おかえりモネ』百音と菅波 過去の清算が時を同じくして行われるクライマックス感強い第92回

『おかえりモネ』第19週「島へ」

第92回〈9月21日(火)放送 作:安達奈緒子、演出:梶原登城〉

『おかえりモネ』百音と菅波 過去の清算が時を同じくして行われるクライマックス感強い第92回


あれから8年、無力感に苛まれてきた百音(清原果耶)菅波(坂口健太郎)に背中を押されて、突風の被害に遭った故郷へと帰る。「〜どうやって? あっ、タクシーで来たのが」と訊く耕治(内野聖陽)に百音が返した言葉にグッと来た。

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一方、菅波も6年前の心の傷になっていた人物であり、担当していた患者だった宮田(石井正則)と偶然、再会する。百音と菅波、ふたりの過去の清算が時を同じくして行われるクライマックス感の強い回。

明るさを失わない地元の人たち

菅波「また言うの? なにもできなかったって。もうそんなに無力じゃないでしょ」
百音「無力……」

菅波に「無力」と言われて、百音はあの時の自分の言葉にならない想いが「無力」だとわかったような瞬間。力をつけたくて、百音はこの8年の間(とくに登米に就職してからの5年間)、模索してきた。いまは気象予報士として、社会人として力がついた。今こそ――。

急いで高村(高岡早紀)に許可を取って番組を休むことにして、亀島に向かおうとする百音に、朝岡(西島秀俊)は「引き返せなくなるかもしれません」と百音が地域密着型の仕事をするであろうと確信めいた予感を覚える。

いざ実家を目の当たりにした時、立ちすくんで泣いてしまう百音。だが「なんのためにここまで来たの」とついに一歩足を前に出す――。

清原果耶の泣きの演技がたまらないのは、顎から涙をすくうように拭くところである。これまでも何度かそういう仕草をしていて、これがとてもリアルに感じる理由は、瞳から顎へ、涙の距離の長さの分だけ涙の深さを表すように見えるからだろう。

「橋を渡って来た」というセリフも、生まれた時、橋がなくて嵐の中本土の病院に行くために一苦労した百音がようやく出来た橋を渡って来たことに長い年月をかけた願いがかなった深い感慨が響いて聞こえた。

橋とは自然災害に対する人類の工夫の賜物の象徴である。さらに、自然災害に対する人類の対抗手段はもうひとつある。明るさを失わないこと。百音は家族や地元の人達が生き生きと片付け作業していることに驚く。龍己(藤竜也)は40年もののブランデーをあけて、初競りに出せなくなったむき身の牡蠣を食べてしまおうと盛り上がる。40年もののブランデー、永浦家のサイドボードに目立つように飾ってあったそれの出番がついに来たことを、『あさイチ』でも博多華丸・大吉が注目していた。

『おかえりモネ』百音と菅波 過去の清算が時を同じくして行われるクライマックス感強い第92回

菅波の問題

地元に被害があったと知って、いてもたってもいられない百音。感情が先立つ百音に菅波は冷静に思考を促す。深夜に地元に帰る方法まで丁寧に。感情優先の百音にとって理性的な菅波はありがたい存在である。「また言うの?」の言い方の優しさといったらない。

だがせっかくの百音の誕生日、プロポーズしようという菅波の計画は変更になった。初デートのときもそうで、菅波が時間も早めにある種わくわくして百音に会いに来るとすっぽかされる運命にあるようだ。実家に「一緒に行こうか」と言うと、「ひとりで行きたい」と言われてしまうし……。

「いい関係ね」と菜津(マイコ)に慰められて、とぼとぼ帰ろうとした時、菜津が呼んだボイラー修繕業者が、かつて菅波が逸(はや)って肺の手術をしてホルン奏者の夢を断ってしまった宮田だったことに気づく。宮田は菅波を恨んだこともあったものの、今では“命”の大切さを実感していた。命あっての物種。

宮田こそ、「あなたのおかげです」という言葉が菅波のトラウマになった原因の相手であるが、このせいで百音と菅波はつながったと言っても過言ではない。そんな運命の人が汐見湯に来るとは。汐見湯にはどんな引力があるのか。

百音の選択

実家のことが心配で番組を休む百音。「親の死に目にあえないと思え」というような言葉があって、お客様相手の仕事は仕事優先とされているようなことがあった時代とは隔世の感がある。

例えば俳優は身内が危篤でも舞台に立つ。誰にも代えられない仕事だから。朝のレギュラーの中継コーナーも番組優先のように感じるが、百音は地元を選んだ。選択の自由。何を選択するか、その人の価値観に任せられることこそこれからの時代に必要なことであろう。これもひとつの多様性ではないだろうか。仕事を優先するか、地元を優先するか。どちらを選んでもいいのである。そして百音は地元を選んだ。

『おかえりモネ』百音と菅波 過去の清算が時を同じくして行われるクライマックス感強い第92回

未知と亮

百音が現れて驚きながらも、皆、にこやかに百音を迎える。その時、彼らの頭上に下がった暖色の灯が目にやわらか。これはこれで『おかえりモネ』だろう。

そんな中で、未知(蒔田彩珠)亮(永瀬廉)の距離が近づいているような雰囲気が漂っていた。とくに未知が亮に遠慮がなくなっているような……。気になりますね。
(木俣冬)

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