大切なご家族が亡くなった後は、葬儀だけでなく役所での手続きや遺族年金の請求、お墓や仏壇といった供養の相談、相続の話し合い……家族が行うべき手続きは山積みです。この記事では、看取り後にすべき行動について、順を追って紹介します。


家族が危篤になったらするべきこと

看取り前後の手続きは忙しいだけでなく、気も抜けません。葬儀社の選定、葬儀の準備、親族への連絡などさまざまな「やらなければならないこと」があります。

さらに「なぜ私には連絡が来なかったの?」「その話は聞いていない」といったように、 親族への連絡の抜け1つで、深刻なトラブルに発展する可能性もあります。

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関係者を漏れなく確認し、状況を連絡する

危篤になった場所が病院の場合

  • 家族や親族への連絡
  • 友人、知人への連絡
  • 学校や会社、地域の関係者への連絡
  • キリスト教の場合には神父や牧師への連絡

危篤になった場所が病院以外の場合(自宅など)

  • 上記に加え、かかりつけ医へ連絡します。

支払いに備えて必要な現金を確保する

看取り後は病院へのお支払い・タクシー代・遺体の搬送・駆けつけた方への飲食費など、さまざまな支払いが発生します。あらかじめ必要な分の現金を準備しておきましょう。

本人が亡くなると銀行口座は間もなく凍結され、相続関係が整理されるまで、その口座のお金は引き出せなくなります。生命保険も下りるまで時間が掛かります。生命保険金を受け取るのは大抵の場合、葬儀費用を支払った後になることを知っておきましょう。


ご逝去の後に家族がするべきこと

看取りから葬儀後までの流れ 葬儀社の選び方・遺産相続の概要

死亡診断書を発行してもらう

病院で看取った場合は申請なしで死亡診断書を受け取れます。しかし在宅の場合は医師に家まで来てもらう必要があります。危篤の時点でかかりつけ医が関わっている場合にはそのまま発行してもらえますが、そうでない場合にはすぐに医師に連絡しましょう。

家に救急車を呼ぶ場合は注意が必要

在宅での看取りの際、危篤時に救急車を呼ぶ場合は注意が必要です。 救急車の到着時にご本人が亡くなっていると、救急隊員はご遺体を病院に運ぶことなく、すぐに警察へ連絡する義務があります。警察へご遺体が引きとられると解剖手続きを経る可能性があるため、 ご遺体が戻ってくるまでに時間が掛かることがあります。


エンジェルケアを依頼する

病院で亡くなった場合、遺体は清拭されるのが一般的です。これをエンジェルケアと呼ぶ場合もあります。看護師など医療従事者がどこまで行うかは病院によります。在宅の場合には希望に応じて看護師に依頼します。

病院で清拭した場合も、葬儀社のスタッフが改めてお清めすることが多いです。

さらに、葬儀のオプションのサービスとして湯灌(ゆかん・シャワーなどで故人の遺体を洗い清めること)などを行う場合もあります。


なるべく早く葬儀社を手配する

病院の霊安室では、長くご遺体を安置してもらうことはできません。葬儀社を呼び、ご遺体を早めに搬送するよう求められます。搬送と葬儀を別々の葬儀社に依頼することもできますが、搬送代金分が割高になります。搬送までの間に、葬儀までまとめて依頼できる葬儀社を見つけられると理想的です。

在宅や介護施設で看取った場合は搬送を急ぐ必要はありませんので、時間を割いて葬儀社を慎重に検討しましょう。

相談しやすさを重視して葬儀社を決める

葬儀社の担当者には、葬儀だけでなく死亡届の手続きやお坊さんに渡すお布施の相談など、さまざまなプロセスで頼ることになります。 いい葬儀社や担当者に巡り合うためにリサーチは欠かせません。

もしあなたが互助会で葬儀社を積み立てていたり、以前から信頼関係を築いている葬儀社があったり、どこかのお寺の檀家である場合は、まず付き合いのあるところに相談してみるのも一つの方法です。

また、知り合いの葬儀社がいないという場合は、インターネットなどで葬儀社を紹介するサービスもあります。

いずれの場合も、葬儀社を決める際には、葬儀社の担当者の様子や、見積もりなどから、信頼できる葬儀社を選ぶ必要があります。

葬儀社の担当者と進める手続きの例
  • 死亡届の提出
  • お通夜
  • 葬儀・告別式
  • 火葬
  • (繰り上げ)初七日法要

葬儀の後に家族がするべきこと

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行政・保険・雇用まわりの手続きを進める

葬儀後、ご遺骨が骨壺に入った状態で自宅に戻ってきた後にも、いくつかの手続きが残っています。ここから先のことは、葬儀社の担当者もあまり詳しくありません。多数の担当者や窓口とやり取りをしながら、 基本的には自力で進めていくことになります。

行政関係であれば役所、生命保険のお手続きは保険会社、相続は行政書士や税理士、健康保険や共済組合などは勤務先の総務に相談しましょう。

これらの手続きはそれぞれ期限が決められていることが多いので、スケジュールにも注意が必要です。

葬儀後に行う請求・手続き一覧

  • 保険会社への請求
    健康保険、労災保険、共済組合と契約していた場合は、埋葬料や葬祭費、遺族年金などを請求します。生命保険金を契約している場合は別途請求します。
  • 雇用保険の資格喪失手続き
  • 公共料金の銀行引き落とし口座変更
  • 扶養控除移動申告

挨拶回りに抜けがないか確認する

法律や保険関係の手続きに追われ、つい後回しになりがちな「お付き合い」の部分も確認しましょう。ないがしろにしては思わぬトラブルに発展することもあります。時間のあるときに下記の3つを済ませておきましょう。

  • お寺へのご挨拶
  • 勤務していた会社、親戚や近所等々への挨拶回り
  • 香典返しを送る

さまざまな選択肢から仏壇やお墓を選ぶ

自宅にお仏壇が無い場合は49日までに用意します。四十九日法要で、手葬儀の際に使用した白木の位牌を本位牌に換えるタイミングで、仏壇がない家庭では仏壇・仏具を用意するケースが多いようです。四十九日のほか、新盆や一周忌など法事法要のタイミングで用意する場合もあります。

お墓に関しても、代々のお墓(代々墓)がなければ新しいお墓が必要となります。

最近は、お墓といっても樹木葬や納骨堂、永代供養墓など、さまざまな選択肢があります。都市部のビルに入っているためにお参りがしやすかったり、家族がお墓を承継できない場合も安心して預けられる制度などがあります。


遺産相続の話し合いに入ったら考えるべきこと

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遺産相続では主に「遺産をどう分けるのか」と「相続税の納入」について検討が必要です。「うちは財産なんてないから関係ない」と仰る方も居ますが、相続トラブルの3割は資産が1,000万円以下のご家庭から生まれています。

相続手続きが終了しなければ故人の銀行口座は凍結されたままとなってしまいます。家族内で揉めないために、また不動産の移転登記をスムーズに進めるために、遺産分割協議書を作成しておくことをおすすめします。

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まとめ

看取りから葬儀、そして葬儀の後まで、喪主、遺族にはやらなければならないことがいくつもあります。もしもの時に少しでも、落ち着いてお別れができる時間を確保できるよう、全て自分で抱え込んでしまうのではなく、必要に応じて専門の業者やサービスを利用するのも方法です。