住友商事<8053>は26日、ベトナム国営電力会社Vietnam Electricity社の発電子会社であるPower Generation Corporation1社がベトナム チャビン州ズエンハイ地区に計画している超臨界発電所(ズエンハイ3拡張石炭火力発電所、発電容量688MW)の土木据付込み一括請負工事契約(EPC契約)を受注したと発表した。


 ベトナムは、経済成長を背景に前年比10%以上の電力需要の拡大が見込まれているという。

また、発電設備容量の約半分を水力発電に依存しているため、天候の影響を受けない電源への需要が高まっている。


 このため、ベトナム政府は、国家電力開発マスタープランにおいて、発電容量を2013年の3万597 MWから2020年までに7万5,000 MW(約2.5倍)へ、2030年には14万6,800 MW(約4.8倍)に拡大する計画を立て、現在、石炭火力発電所を中心に新規発電所の建設を進めている。ベトナム南部では特に電力需要が高まっており、この発電所はベトナム南部緊急電源開発3案件の一つに位置付けられており、南部での電力需要がピークを迎える2018年までの完工を目指す。


 発電所は、主要機器である蒸気タービンおよび発電機は東芝<6502>が供給し、ボイラーは米Babcock & Wilcoxが供給する。土木工事は三井造船<7003>が施工し、技術面の取り纏めは米エンジニアリング会社Black & Veatchが担当する。総受注額は約8億米ドルとなる。


 住友商事はこれまでもベトナムで、ファーライ2石炭火力発電所の建設(EPCフルターンキー)、アヴォン水力発電所、ヴォンコップ水力発電所向けの機器供給などの実績がある。またIPP事業についてはフーミー 2-2ガス複合火力発電所を仏電力EdF・東京電力と共同で運転中であり、EPC/IPP事業双方で実績がある。今回のズエンハイ3拡張石炭火力発電所の受注・完成により、一層ベトナム電力市場でのプレゼンスを高めることを目指す。


 電力は、従来の発電から再生可能エネルギーへの転換が叫ばれているが、まだまだ従来方式への需要は高いようだ。今回の石炭火力発電は、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量が最も多いため、環境破壊への問題も懸念される。(編集担当:慶尾六郎)

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