日本銀行は9月20日、資金循環表を公表した。これによると我が国の年金積立金残高は47兆6179億円となり、3四半期続けての過去最高額を記録し続けることになる。
ここでの年金積立金残高とは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用する国民年金、厚生年金、そして国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団および年金特別会計の年金積立金残高である。
この過去最高額の継続的な更新の背景は、なんと言っても近時の順調な株価の上昇傾向にあることが資金循環表からも読み取れる。GPIFや各種共済等はこの4-6月期に1963億円の売り越しを実現したようだ。
周知の通り、日本の年金は現在でもなお賦課方式を採っており、現役世代が拠出したものを直接、老後世代に給付する仕組みになっている。これは、積み立て方式を採った場合、年金の拠出期間が長期にわたるため、資産の目減りリスクが大きくなるからだ。
しかし、日本は現在、少子高齢化の人口減少社会である。今後、この傾向はますます顕著なものになると予測されている。当然、資金を提供する側と年金を受け取る側のバランスが崩れて、支払額や受取額の変更等、世代間の不公平にいたるリスクが現実的なものになっている。そこで賦課方式を基礎としながらも、2001年からこれまでの積立金を積極的に運用するシステムが採用された。
GPIFの運用の基準は「名目賃金上昇率+1.7%」を目標利回りとして設定しており、GPIFによればこの基準をクリアすれば向こう100年にわたって賦課方式のまま年金制度を維持できるということである。