東レ <3402> は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂"トレコン"の良流動化グレード"トレコン ナノフロー"シリーズを開発、本格販売を開始する。

 同社はこれまで、ポリマー分子設計やコンパウンド処方設計の技術により、世界に先駆けて実用レベルの特性を持つ「非ハロゲン難燃PBT樹脂」や、従来のポリマーアロイ技術を大きくブレークスルーした独自の"ナノアロイ"技術による「PBT/PC"ナノアロイ"」などを創出してきた。


 今回開発した"トレコン ナノフロー"は、従来グレードと同等の機械物性を維持しながら流動性を大幅に改善したのが特長。射出成形部品の薄肉化や複雑形状の製品設計が可能になる他、成形サイクルの短縮や成形加工温度の低減による生産性向上と省エネルギー化が期待されることから、温室効果ガス(GHG)の削減に貢献するという。

 "トレコン ナノフロー"の開発にあたり、独自のポリマー分子設計技術とナノオーダーのポリマー構造制御技術、および溶融混練技術などを総合的に追究、高度に融合することで、従来技術とは一線を画すPBT良流動化新技術を創出している。

 具体的には、新たなポリマー分子設計を踏まえたポリマー変性技術を確立。PBTポリマーの構造をナノオーダーで制御することにより、溶融状態でPBTポリマー分子の運動性を大幅に向上させることに成功。"トレコン ナノフロー"をベースとした射出成形モデル実験の結果、従来のPBT樹脂と同等の機械物性を維持しつつ、最大80%の流動性向上を達成。
また、従来のPBT樹脂を上回る成形性を実現しながら、溶融成形加工温度を20℃低減することに成功した。

 今回販売を開始するのは、標準タイプの非難燃ガラス強化グレードと難燃ガラス強化グレードの2種で、電気・電子機器部品をはじめ、自動車部品への採用を目指す。同社は今後も化学を核とした技術のイノベーションに挑戦し続け、革新的な先端材料の創出に取り組んでいきたいとしている。
(編集担当:宮園奈美)