映画愛にあふれた最高のドキュメンタリー『サッドヒルを掘り返せ』

       
セルジオ・レオーネ監督のマカロニ・ウエスタンの最高傑作『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』。50年以上世界的に人気を得てきた本作のクライマックスシーンの舞台、 サッドヒル墓地と呼ばれる伝説のロケ地をファンたちが掘り返して復旧するさまを描いた全映画ファン大共感のドキュメンタリー。

サッドヒルを掘り返せ

映画愛にあふれた最高のドキュメンタリー『サッドヒルを掘り返せ』

原題 :SAD HILL UNEARTHED

2019年3月8日より全国にて公開

2017年/スペイン/86分

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2015年10月。セルジオ・レオーネ監督が1966年に発表した「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」のファンたちが、スペインのブルゴスで撮影された映画のラストシーンのロケ地を訪問。彼らは、草や土に埋もれたまま49年もの間眠っていたサッドヒル墓地を掘り返し、再び命を吹き込もうとする。この一大プロジェクトのニュースは瞬く間に世界に広まり、毎週末、ヨーロッパ中からスコップやクワを手にしたファンがこの復元作業に一役買うために集まって来る。一方、エンニオ・モリコーネを始めとする製作関係者が撮影当時を振り返り、やがて映画の50周年記念のイベント企画が立ち上がる……。

出典元:https://eiga-board.com/movies/91201

映画ファンならだれもが一度は思ったことがあるのではないか-
「あの作品のロケ地に行ってみたい」と。

例えばスターウォーズの砂漠の星タトウィーンの舞台となったチュニジアの砂漠、ロッキーが駆け上がるフィラデルフィア博物館の階段、今もニュージーランドに残されている『ロード・オブ・ザ・リング』のホビット庄・・・etc.

そんな憧れの場所の一つが、マカロニウエスタン(60~70年代に流行ったイタリア製の西部劇のこと)の最高傑作と言われる『続・夕陽のガンマン』の終盤に出てくる墓地。

この映画はクエンティン・タランティーノも生涯ベストに上げる映画史上の最高傑作の一つだ。

『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』

『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』の予告

あらすじ

南北戦争末期の西部。ジョー(C・イーストウッド)とテュコ(E・ウォラック)の二人はコンビを組んで賞金をかせいでいた。テュコが人を殺し、賞金つきのお尋ね者となる。そのテュコをジョーがとらえて賞金をうけとりテュコが絞首刑という寸前にジョーが救い出す、といった方法だった。だが、この商売も次第にあぶなくなってきたので、ジョーはテュコを捨て、去っていった。怒ったテュコは、ジョーを罠におとしてとらえ、砂漠の中で痛めつけた。その時、南軍の兵士の死体をのせた馬車が疾走して来た。その中に唯一人瀕死の兵士がおり、水を求めていた。その兵士が墓地に隠した二十万ドルのありかを知っているというので、テュコは水を取りに行ったが、戻ってくるとすでに死んでいた。そしてジョーはその墓の名を聞いていた。墓地の名をテュコが、墓石の名をジョーが知っているということで、二人は相棒になるしかなかった。二人は南軍の軍服を着込み、救護所へもぐり込んだが、その軍服のために北軍の捕虜となり、収容所にぶち込まれてしまった。その収容所には以前から隠した二十万ドルをさがしていたセサンテ(L・V・クリーフ)がおり、二人はさんざん責められた。が、ジョーがいくら拷問をかけても口を割りそうにない男だとみたセサンテは、同盟を結び一緒に金を捜すことにした。だが出来ることなら金を全部一人占めにしたいと思うのが人情である。三人は、それぞれに相手をだしぬこうと争った。そしてまずセサンテが二人に射殺された。残った二人はおめあての金を掘りあてたが、テュコはジョーの罠にかかってしまった。しかし、ジョーはテュコを射殺することはできず、結局、また旅を続けるのだった。

出典元:https://movie.walkerplus.com/mv13794/

クライマックスの墓地のロケ地となったのはスペインの僻地、ミランディージャ渓谷。

実際の墓地ではなく1966年当時スペインを支配していたフランコ政権の軍が動員されて作られた屋外セットだった。

劇中では主人公たちがずっと探していた財宝が埋まっている南北戦争の兵士の墓があるという設定。

そこで繰り広げられるクリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、イーライ・ウォラックの3人の決闘シーンは映画史上に輝く名場面として今でも語り草になっている。

このドキュメンタリー映画は世界的にカルト的人気を誇っている『続・夕陽のガンマン』のファンが集まって、伝説のサッドヒル墓地を掘り返すさまを追う。

監督のギジェルモ・デ・オリビエラは現在32歳の新鋭作家。

スペイン在住で、サッドヒルを復旧させようとしている男たちの存在を知り、カメラを回し始めた。
彼は『続・夕陽のガンマン』のロケ地がスペインであることも知らなかったが、どんどん興味を持っていき、最初はYouTubeにアップする程度のつもりだった映像は、男たちの活動の規模が広がっていくにつれて一本のドキュメンタリー映画となっていった。

このサッドヒルを復活させるプロジェクトはスペイン国内のみならずヨーロッパ各国やその他諸国からも参加者が続出。

もちろんみんな無償である。

損得勘定抜きで好きなものを突き詰めて、奉仕する彼らの姿は崇高に見えてくる。

地面を掘り返し、墓を建て、当時の姿を再現しても、商業化するつもりはないと言い切る主催者。

彼らの行為は神聖な宗教儀式のようにすら思える。聖地巡礼と復旧だ。

『続・夕陽のガンマン』を見たことがなくても彼らの熱意が本物であることは一目でわかるし、理屈じゃなくて何かが大好きという気持ちがわかる人なら本作には共感できるだろう。

映画愛にあふれた最高のドキュメンタリー『サッドヒルを掘り返せ』

そしてファンたちの熱い活動と並行して語られる『続・夕陽のガンマン』が大好きな映画監督やミュージシャンや評論家による熱い作品論や、関係者、レオーネの研究家が語る作品の背景もとても面白い。

特に有名な橋爆破のシーンのエピソードはどうかしている制作体制にびっくりすること間違いなし。

ファンの無償の活動に右脳的に感動し、アカデミックな作品解説で左脳的にも満足できるドキュメンタリーになっている。

映画愛にあふれた最高のドキュメンタリー『サッドヒルを掘り返せ』

『続・夕陽のガンマン』が大好きな映画監督ジョー・ダンテ(「グレムリン」シリーズ、『スモール・ソルジャー』『ハウリング』など)

映画愛にあふれた最高のドキュメンタリー『サッドヒルを掘り返せ』

『続・夕陽のガンマン』が好きすぎてLIVEで映画のクライマックスや名曲『Extasy of Gold』を流すバンド・メタリカのボーカル、ジェームス・ヘッドフィールド

映画愛にあふれた最高のドキュメンタリー『サッドヒルを掘り返せ』

『続・夕陽のガンマン』の音楽を担当したレジェンド作曲家エンニオ・モリコーネ

そして復旧したサッドヒル墓地で行われる関係者や著名人のスピーチやビデオメッセージ、そして『続・夕陽のガンマン』流すイベントが行われる。

ファンたちの多幸感あふれる表情、著名人たちの熱いコメントに目頭が熱くなる。

そしてサプライズで流れるあの超・レジェンドからのコメントでファンたちもこのドキュメンタリーの観客たちも大興奮。

この映画のファンでよかったと心底思えただろう。こんな風に広く愛され、アイコン的ロケ地があって、みんなが集まれる映画はそうそうない。

夢中になれるものがあるだけで人生は豊かになると教えてくれる万人に響くドキュメンタリー。

未見の方は『続・夕陽のガンマン』を見るのは先でも後でもいい。

どちらにせよこのドキュメンタリーが感動的なのは間違いない。

ちなみにスペイン以外の国では配信でしか見られない本作が日本の劇場で見られるのは、日本がマカロニウエスタンを深く愛していた国だからだろう。

タランティーノの来日した際にアメリカにはないマカロニウエスタンのソフトを大量に買って帰ったという。

アメリカ人じゃないけど、憧れて自国で西部劇を作ってしまったイタリアやヨーロッパの人々の気持ちは日本人にもよくわかったのではないか。

映画愛にあふれた最高のドキュメンタリー『サッドヒルを掘り返せ』
映画愛にあふれた最高のドキュメンタリー『サッドヒルを掘り返せ』

サッドヒルを掘り返せは東京のシネマカリテ他、全国順次公開予定!

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