【令和世代に送りたい】平成ってどんな時代?「平成」についての映画12本

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ついに2019年4月30日をもって平成が終わり、令和がはじまる。しかし、そもそも「平成」とはどんな時代だったのだろうか?そこで今回は、平成という時代の世相やカルチャーを説明できる映画を年代別に4本ずつ、全部で12本紹介する。

「平成ってどんな時代?」令和世代の質問に答えられる映画とは?

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TOKYO, JAPAN - APRIL 01: Yoshihide Suga, Japan's chief cabinet secretary, announces Japans new era name 'Reiwa' during a news conference at the prime minister's official residence on April 1, 2019 in Tokyo, Japan. Japan named its new imperial era Reiwa to mark the beginning of the new era before Crown Prince Naruhito, 59, ascends the Chrysanthemum Throne while 85-year-old emperor Akihito, prepares to step down at the end of the month. (Photo by Kiyoshi Ota - Pool/Getty Images)

ついに2019年5月1日からは令和がはじまる。1989年より30年続いた平成は終わりを告げ、様々なメディアが「平成の映画◯◯選」のような企画を打ち出している。

しかし、ちょっと待ってほしい。そもそも、平成ってどんな時代なのだろうか?

例えば、よく「寅さん」や東映のヤクザ映画、あるいは『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005)などの昭和を舞台にした最近の映画を見て「昭和らしいなあ」と言う人がいる。

しかしそれは、昭和が終わってだいぶ経つ上、そもそも昭和が64年もの長きにわたって続いたからそう言えるのではないだろうか?

確かに平成も30年と長かったが、昭和の半分にも満たない。平成が終わる前後にいる我々は、いきなり「平成とはどんな時代だったか」と問われても、満足に答えられないかもしれない。

しかし、令和になってから生まれてきた子供達は、我々にきっとこう尋ねるだろう。

「平成ってどんな時代だった?」

そこで今回は、平成という時代を色濃く反映した映画を、90年代、00年代、10年代それぞれ4本ずつ、合計12本紹介。

これを見せれば、新たに生まれてくる令和世代に平成を説明できるに違いない!

90年代:世紀末はバブル崩壊からはじまった

1. バブルは続くよいつまでも!? 『就職戦線異状なし』(1991)

就職戦線異状なし

【令和世代に送りたい】平成ってどんな時代?「平成」についての映画12本

1991年6月22日より全国にて公開

1991年/日本/103分

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平成が始まって2年目の1991年。80年代から続いたバブル景気はまだまだ続いていた。そんなバブル期の大学生たちの就職活動を描いたのが、『就職戦線異状なし』だ。

主演の織田裕二、共演の仙道敦子や和久井映見と、当時のトレンディドラマで見る顔ばかりが揃いも揃って就活に励むなんて、どこが面白いのか、と思うかも知れない。

だが、そこはいわゆる「売り手市場」。大学の後輩たちは、「就職杯内定獲得レース」と称して主人公たちの就活の行方を競馬にたとえて賭けているし、どんな大企業も学生相手に接待のようなセミナー(青田買い)をしている。

就活に成功した学生は、うまくいかない同期を高級なクラブに誘う。

今見るともはやSFのような映画だが、これも平成の一場面。槇原敬之の「どんなときも。」は、実はこの映画の主題歌だった。

しかし、残念ながらバブルは永遠には続かなかった。この映画が公開された1991年6月22日の時点では、バブルは既に弾けてしまっていたのだ。

2. 「昭和」を生き抜いた者たちが迎えた「平成」とは? 『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994)

平成狸合戦ぽんぽこ

【令和世代に送りたい】平成ってどんな時代?「平成」についての映画12本

1994年7月16日より全国にて公開

1994年/日本/119分

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タイトルに「平成」を冠している映画というとまず思い浮かぶのが、『平成狸合戦ぽんぽこ』だろう。スタジオジブリによって製作された本作は、高畑勲監督の代表作として知られている。

多摩ニュータウンの開発とそれに抵抗するために化学(ばけがく)を使って人間を驚かせようとする狸たちを描いたこの映画。実は多摩ニュータウンの開発は平成の出来事ではなく、昭和40年代の話なのだ。

にもかかわらず、タイトルに「平成」を冠しているのはなぜか。それは、映画の後半を見ればわかるだろう。

狸たちは史実の通りニュータウン開発を阻止できなかったが、彼らの一部は人間に化けたまま生きることを選ぶ。

平成に入り、人間のまま生きる狸たちが一連の出来事を語り合う終盤。それは、様々な開発が相次いだ昭和という時代に美しい故郷を失い、5年目を迎えた「平成」を生きる人々の姿にも重なるものなのかも知れない。

昭和を乗り越え、平成を生き始めた人々は、どこに向かったのだろうか。

3. バブルが弾けた犠牲者たちの大暴走!! 『GONIN』(1995)

GONIN

【令和世代に送りたい】平成ってどんな時代?「平成」についての映画12本

1995年9月23日より全国にて公開

1995年/日本/109分

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90年代半ば、バブル経済は完全に終わった。そんな頃、劇画家出身の石井隆によって放たれたバイオレンス映画が、『GONIN』だ。

借金まみれのディスコ経営者、金持ちのゲイに男娼を装って近付き金を巻き上げている若者、リストラされたサラリーマン、場末のキャバレーで用心棒をしている元刑事、バッティングセンターで日銭を稼ぐ元ボクサーという5人(GONIN)の男たち。

彼らは皆、バブルが弾けてしまったことで落ちぶれてしまった犠牲者といえるだろう。

そんな「GONIN」がヤクザの金を強奪しようとするから痛快だ。いつの時代も、非合法組織は金を持っているに決まっている。それは昭和も平成も変わることがない。

『GONIN』は紛れもなく平成の映画だ。しかし、度々登場する夜の新宿やテーマ曲のように流れるちあきなおみの「紅い花」から感じられるのは、どこか「昭和の延長」であるかのような平成の雰囲気。この頃の日本は、まだ昭和の匂いが強く残っていたのだ。

ちなみに20年後の2015年には続編となる『GONIN サーガ』も公開されているが、こちらもとんでもない映画になっており、必見だ。

4. コギャルたちの羨望と絶望、そして希望 『ラブ&ポップ』(1998)

ラブ&ポップ

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1998年1月9日より全国にて公開

1998年/日本/110分

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一九九七年七月一九日。高校2年生の裕美は親友の知佐と奈緒、千恵子の4人で渋谷へ水着を買いに行くが、デパートで見つけたトパーズの指輪に一目惚れ。しかし、その価格は128000円。

そこで裕美は、奈緒が渋谷の駅前で借りた携帯電話を使い、援助交際をするために伝言ダイアルを使うことに。そこで知り合った様々な男たちと会うのだが……。

当時、『新世紀エヴァンゲリオン』で波に乗っていた庵野秀明が、村上龍の小説を原作に実写映画初監督に臨んだのが、この『ラブ&ポップ』。

全編を小型のビデオカメラで撮影した斬新な映像やドキュメンタリーのようなリアルな演技が実験的で話題を呼んだ。

物語は、青春の危うさや苦しさ、そしてそれを超えた成長を描いており、その点だけ見ると普遍的な青春映画といえる。

しかしそれ以上に目をひくのは、ルーズソックスを履いてプリクラを撮りまくるコギャルたちが、当時普及し始めた携帯を使って援助交際をする姿。

まさに90年代後半の平成要素が凝縮された映画であり、平成という時代を後世に伝える貴重な資料にもなりうるだろう。

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5. ネットでの繋がりからはじまる、痛みの連鎖 『リリイ・シュシュのすべて』(2001)

リリイ・シュシュのすべて

【令和世代に送りたい】平成ってどんな時代?「平成」についての映画12本

2001年10月6日より全国にて公開

2001年/日本/146分

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中学一年生の雄一はクラスメイトの修介と仲良くなるが、夏休みが明けると修介は一変。不良グループを結成し、万引きをしたり、クラスの女子を援助交際させるようになり、雄一も巻き込まれていく。

ついには修介たちからイジメを受けるようになった雄一。二年生になった彼の唯一の救いは、入学したばかりの頃に修介に教えてもらった女性歌手リリイ・シュシュだった。

そこで雄一は、リリイ・シュシュの非公式ファンサイト「リリフィリア」を開設。そこで知り合った「青猫」というユーザーと心を通わせていくのだが……。

『Love Letter』(1995)や『スワロウテイル』(1996)の岩井俊二が、自らが主催するBBS形式のネット小説を映画化した、実験的な一作。

ネットを通じたつながりを中心に、イジメや万引き、援助交際といった少年たちの非行が徐々に常軌を逸していく過程が展開される。ちょうど少年犯罪が多発していた2000年前後を反映させた、そのリアルな内容から賛否両論を呼んだ。

『(ハル)』(1996)や『回路』(2001)など、パソコン通信などでのネット上の人間関係を描いた映画は以前からあったものの、準備段階からの手法(架空のファンサイトでの一般ユーザーと岩井俊二とのやりとりをフィクションに展開していく)も含め、ネット上での繋がりをここまで考察した映画はかつてなかったのではないだろうか。

当時は中高生だった市原隼人や蒼井優の姿を記録している点でも貴重だが、SNSがなかった時代のネット社会を伺うことができる、平成らしい一作といえるかもしれない。

6. 「助けてください!」の台詞が流行った、純愛ブームの火付け役 『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)

世界の中心で、愛をさけぶ

【令和世代に送りたい】平成ってどんな時代?「平成」についての映画12本

2004年5月8日より全国にて公開

2004年/日本/138分

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婚約者である律子が突然、姿をくらましてしまった朔太郎。律子が向かったのは、朔太郎の地元でもある四国。久しぶりに帰郷すると、朔太郎は切ない初恋について追憶し始める……。

片山恭一のベストセラーを恋愛映画の巨匠・行定勲が映画化した恋愛映画。主演の大沢たかおや柴咲コウはもちろんだが、回想場面で朔太郎と相手の亜紀を演じた森山未來と長澤まさみの後の出世ぶりは、周知の通り。

婚約者との現在の恋と永遠に喪われてしまった過去の恋との狭間で苦しむ主人公の姿は、日本中を涙に包み、85億円の興行収入を記録。

クライマックスの空港で森山未來が叫ぶ「助けてください!」というセリフは、当時小学生だった筆者の周囲でも流行っていた記憶がある。

本作の大ヒットによって「純愛映画ブーム」が巻き起こり、『いま、会いにゆきます』(2004)や『愛の流刑地』(2007)、『恋空』(2007)といった映画やドラマがその後数年にわたって軒並みヒット。

加えて純愛物が多い韓流映画・ドラマのブームとも組み合わさり、お茶の間や当時増えつつあったシネコンは「純愛」の文字であふれた。

7. ヲタクの時代がキタ―――(゚∀゚)―――― !! 『電車男』(2005)

電車男

【令和世代に送りたい】平成ってどんな時代?「平成」についての映画12本

2005年6月4日より全国にて公開

2005年/日本/101分

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秋葉原から帰る途中の電車で酔っ払いに絡まれている女性を助けたオタク青年は、数日後、その女性からお礼としてエルメス製のティーカップを贈られる。

青年は一連の出来事をネットの掲示板「2ちゃんねる」に書き込んだ結果、掲示板の住人たちに注目されるように。

やがて「電車男」と呼ばれるようになった彼は、ティーカップを贈ってくれた女性「エルメス」と親しくなっていくが、その過程で生じる様々な疑問や困難を2ちゃんねるの住人たちに相談。

顔の見えない彼らはその都度、親身になって電車男にアドバイスをするようになっていく。

実際に2ちゃんねるで書き込まれた無数のやりとりを元に生まれたこのラブストーリーは、書籍化された後、テレビドラマや舞台、漫画などのメディアミックスを展開。特にドラマ版と映画版は同時期に放送・公開され、社会現象に。

映画版では電車男とエルメスをそれぞれ山田孝之と中谷美紀が好演。山田は本作が出世作となり、中谷は原作でもエルメスが「中谷美紀に似ている」とされていた。

一連の「電車男現象」は、前項の「純愛ブーム」の流れを汲んだものともいえる。しかし、これにより秋葉原を中心にしたアニメや漫画、ゲームなどのカルチャーに社会的な注目が集まり、オタクが市民権を得たことは間違いないのだ。

8. 何も起きない日常、時代は「癒し系」へ。 『かもめ食堂』(2006)

かもめ食堂

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原題 :Kamome Diner

2006年3月11日より全国にて公開

2005年/日本/102分

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北欧、フィンランドの首都ヘルシンキで、サチエは和食だけを置く「かもめ食堂」をオープン。しかし全く客は来ず、日本のアニメが大好きなオタク青年トンミ・ヒルトネンだけが常連に。

それでも店を続けた結果、サチエはミドリとマサコという二人の日本人女性と出会う。それぞれに訳ありな二人はかもめ食堂を手伝うようになり、店には様々な人が訪れるようになっていく。

全編フィンランドで撮影され、小林聡美、片桐はいり、もたいまさこという3人の個性派女優が共演。

3人のおばさんが美味しいものを食べながら北欧でのんびり過ごす様子がひたすら映し出される本作では、大きな事件は全く起こらない。

しかし、自由気ままに生きる彼女たちの姿は、デフレ不況が叫ばれた2005年の人々が欲していたモノなのかもしれない。いわゆる「癒しブーム」が成熟期を見る中で本作はヒットし、小林聡美が出演するパスコの製品「超熟」のCMでもかもめ食堂が登場するなど、ちょっとしたブームに。

その後も『間宮兄弟』(2006)や『南極料理人』(2009)、『ホノカアボーイ』(2009)などの「癒し系映画」が続々公開。本作の監督である荻上直子も、『めがね』(2007)や『トイレット』(2010)といった映画で人々に癒しを与え続けている。

10年代:スマホやSNSで誰もが発信者に!

9. 「癒し」ブームの次は、「イヤミス」ブームが到来! 『告白』(2010)

告白(2010)

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2010年6月5日より全国にて公開

2010年/日本/106分

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終業式の後、1年B組の担任・森口は突然、ある告白をする。

「娘の愛美は死にました。警察は事故死と判断しました。でも、事故死ではありません。愛美は、このクラスの生徒に殺されたんです」

こうして、森口の復讐がはじまる。

映画は、愛美を殺した少年Aと少年Bをはじめとする関係者それぞれの視点で展開。事件の真相と復讐の顛末が少しずつ明らかになっていく。

湊かなえによるベストセラーを『嫌われ松子の一生』(2006)の中島哲也が映画化した本作は、その過激な内容と結末から賛否両論を巻き起こした。

しかし、前項の「癒し系」映画に飽きた反動なのか、結果的には38億円を超える興行収入を記録。同年に公開された日本映画としては7番目にヒットした映画となった。

湊かなえによる本作の原作をはじめとする小説は、見た後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」として大流行。本作のヒット以降、『悪の教典』(2012)、『白ゆき姫殺人事件』(2014)、『怒り』(2016)、『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017)など、10年代を通して「イヤミス系映画」が話題を呼んだ。

10. 東宝特撮の底力が魅せた、311後の世界 『シン・ゴジラ』(2016)

シン・ゴジラ

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2016年7月29日より全国にて公開

2016年/日本/120分

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「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズで知られる庵野秀明が総監督を務め、12年ぶりの和製ゴジラとなった『シン・ゴジラ』。東宝が単独で出資、総キャスト328名という気合いの入りようで製作された、全く新しいゴジラ映画だった。

謎の巨大生物が街を破壊し、駆除のため国家が立ち向かう。これが、今までの「ゴジラ」映画の基本的なプロットだった。『シン・ゴジラ』も、その基本的なプロットは変わらない。

だが、この映画が製作されたのは、未曾有の大災害とされた2011年の東日本大震災(311)の後。本作での政府の描写は、まさに「311」の時の日本政府を皮肉っているといえる。

政府はゴジラを駆除するのか捕獲するのか、駆除するなら現行の法律に抵触しないかなどを延々と議論するばかりで、その間にも街は破壊されていくのだ。

「311」で一人一人の人間の無力さ、政府の対応の遅さを目の当たりにした日本国民にとって、『シン・ゴジラ』は実に痛快だった。この未だかつてなく大人向けな特撮大作は、実に80億円を超える興行収入を記録。

昭和に生まれた特撮シリーズは、平成を代表する一作に生まれ変わったのだ。

11. SNS全盛期、就活生たちの光と闇 『何者』(2016)

何者

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2016年10月15日より全国にて公開

2016年/日本/98分

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本記事最初に紹介した『就職戦線異状なし』に対する、平成後期からの回答といえるのが、『何者』だろう。

『桐島、部活やめるってよ』(2012)で知られる朝井リョウが直木賞を受賞した小説を『愛の渦』(2014)の三浦大輔が映画化した本作は、就活中の5人の男女の関係性を描いた群像劇。

5人の就活生を佐藤健、菅田将暉、有村架純、二階堂ふみ、岡田将生という若手実力派が熱演した。

「就職戦線~」が企業が青田買いをする中で余裕を見せる就活生たちのコメディだったのに対し、25年後の本作に登場する就活生たちは皆、就活を成功させるためにボランティアやサークルでの活動を必死に売り込もうとする。

その過程で次第に自分がやりたいことが何か(何者)を見失っていく彼らはさらに、SNSにそれぞれの思いを吐露。次第に人間関係にも影響を及ぼしていく。

SNSで自己顕示欲を満たす内、本音と建前がわからなくなっていく様は、誰もがスマホを持つようになった10年代以降特有の闇といえるだろう。

「就活」を笑い飛ばせた90年代、「就活」で自分を見失う10年代。全く異世界のようだが、両方とも平成のことなのだ。

12. 21年ぶりのパルムドール受賞作が問う、貧困と家族 『万引き家族』(2018)

万引き家族

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2018年6月8日より全国にて公開

2018年/日本/120分

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都内のどこかにある長屋にひっそりと暮らす治、信代、亜紀、祥太、初枝の5人の家族。彼らは初枝が受け取る年金を宛にして暮らし、それ以外の必要なものは万引きで補って生きていた。

ある晩、治は近所の団地の前で立ち尽くす女の子を発見。彼らは、両親から虐待をけているらしいその女の子「ゆり」を引き取ることにする。

しかし、治は職場で怪我をして日雇い仕事ができなくなり、徐々に彼らの秘められた過去が明らかになっていく。

平成末期、今村昌平監督の『うなぎ』(1997)以来21年ぶりにカンヌ国際映画祭パルムドールに輝いた日本映画が、是枝裕和監督の『万引き家族』だ。

本作で是枝監督は、先進国であるはずの10年代の日本において、人知れず残る貧困を描いている。しかし、それは貧困社会の告発などではなく、伝統的な「家族像」への疑問に他ならない。

相次ぐ虐待やコミュニケーション不全によって深まる、家族間の溝。実際に血繋がりがある法的な意味での「家族」が、時として各個人を束縛したり、破滅させてしまうこともあり得る。

現代の日本においては、もはや血縁関係にない者同士の交流が、実の家族以上の意味を持つこともあるのだ。

是枝監督は同じテーマを『そして父になる』(2013)でも投げかけたが、本作ではより一層深い社会への洞察が見て取れる。平成という時代を締めくくる一本は、平成という時代に疑問を投げかける一本であったといえるだろう。

映画から見えてくる平成の変遷

今回は、筆者の独断と偏見で12本の映画を選んだ。「あの映画がないじゃないか!」「なんでこれを入れたんだよ?」という批判もあるかも知れない。

しかし、今回はあくまで「平成」の各時期を反映させた作品を選んだので、どんなに歴史的なヒットを見せていても、何かの社会現象を巻き起こしたり、世相を反映させたりということがないものは、意図的に除外した。そこのところをご理解いただければ幸いである。

このように見てみると、平成という時代もそれなりに波乱に満ちたものではないだろうか。バブルが永遠に続くと思いきや、それが一瞬で弾けたり、ゆるい癒し系映画が流行ったかと思ったら、数年後には残酷なミステリー映画が流行ったり。

きっと令和世代はそれなりに面白い時代だったと理解してくれるに違いない。

国民のほとんどがスマホを持ち、誰もがYouTubeで動画を見たり、ネット配信で映画を見る昨今。もはや映画館で映画を見ることもなくなるのではないかといわれて久しいが、果たして令和になっても映画は作られ続けるのだろうか。

もしもまだまだ作られるのだとしたら、果たして令和においてはどのような映画が生み出されるのか。そしてどのような変遷を辿るのか。今から楽しみである。

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