トラウマ必至!世界初の全編ゲキメーション映画『バイオレンス・ボイジャー』最悪で最高な悪夢!

『燃える仏像人間』で知られる鬼才アニメーション監督・宇治茶がゲキメーションという特殊な技法で3年の歳月をかけて作った怪作。 独特な動きや演出に容赦のない残酷描写と黒い笑いに満ちた本作を観れば一定以上のトラウマは避けられないだろう。 海外の映画祭でも絶賛の嵐の本作を紹介したい。

バイオレンス・ボイジャー

トラウマ必至!世界初の全編ゲキメーション映画『バイオレンス・ボイジャー』最悪で最高な悪夢!

2019年5月24日より全国にて公開

2018年/日本/83分

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映画『バイオレンス・ボイジャー』公式サイト

トラウマ必至!世界初の全編ゲキメーション映画『バイオレンス・ボイジャー』最悪で最高な悪夢!

あらすじ

日本の山奥の村に住む8歳のアメリカ人少年ボビー(声:悠木碧)は、ある日、数少ない友人のあっくん(声:高橋茂雄)と飼い猫のデレクを連れ、村はずれの山に遊びに出かける。その道中、“体感型アトラクション バイオレンス・ボイジャー”と書かれた看板を発見。好奇心を刺激された彼らは、その不気味な娯楽施設に足を踏み入れていく。施設のアトラクションを堪能し、遊び疲れて休息していたボビーたちは、ボロボロの服を着た少女・時子(声:前田好美)と出会う。彼女は数日前からここを出られずにいるという。行動を共にすることになった彼らは、先客として迷い込んでいた村の子どもたちとも出会うが、謎の白いロボットによる襲撃を受け、子供たちは次々と捕獲されてしまう。実は、この施設の運営者である中年男・古池(声:田口トモロヲ)は、地元の子供たちを生け捕りにし、ロボットのように変わり果てた息子の食べ物にするという悪魔的な所業を繰り返していたのであった。施設内に閉じ込められたボビーは、捨て身の闘いに身を投じていくが、その先には想像を絶する運命が待ち受けていた……。

出典元:https://eiga-board.com/movies/90383

独特な表現手法・ゲキメーションとは

ゲキメーションとは「劇画」と「アニメーション」を組み合わせた独特な映像表現。

1976年に放送されたアニメ「妖怪伝 猫目小僧」(あの楳図かずお原作)で広く認知されることになる。

紙芝居のような一枚絵をスクロールしたり、いきなりアップにすることで独特な倒錯感と恐怖感を生み出す手法で「妖怪伝 猫目小僧」ではホラー演出として使われていた。また背景だけ固定して切り絵になった登場人物をカクカク動かすこともできる。

宇治茶監督は2013年の前作『燃える仏像人間』でも一部この手法を使っていたが、今回の『バイオレンス・ボイジャー』で世界初の83分の長編で全編ゲキメーションのアニメ映画を作り出した。

製作には3年を要し、宇治茶監督は監督、脚本、編集、キャラクター造型、作画、撮影をすべて一人でこなし、工夫に工夫を重ねて本作を作り上げた。同作に声優として参加したココリコ・田中直樹が「200%の宇治茶ワールド」と語るように、デヴィッド・リンチが自宅で4年かけて作った『イレイザーヘッド』(1977年)すら連想させるような作家性が濃縮された一本になっている。

すでに20を超える海外の映画祭に出品され、アルゼンチンのブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭で審査員特別賞、カナダのファンタジア映画祭でアニメ部門の観客賞・銅賞を受賞するなどの快進撃を経て遂に日本公開となった。

ゲキメーションで出来た76年のアニメ『妖怪伝 猫目小僧』

燃える仏像人間

トラウマ必至!世界初の全編ゲキメーション映画『バイオレンス・ボイジャー』最悪で最高な悪夢!

2013年5月18日より全国にて公開

2012年/日本/80分

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あらすじ

謎の仏像盗難事件が相次ぐ京都。女子高生・紅子(声:井口裕香)は実家である寺の仏像を盗まれた上、両親を惨殺されてしまう。天涯孤独の身となった紅子は、両親の旧友である僧侶、円汁(寺田農)の寺へ引き取られる。そこで紅子が遭遇したのは、両親と仏像が融合したかのような醜い仏像人間だった……。

出典元:https://eiga-board.com/movies/71029

悪夢のような描写の数々とブラックすぎるユーモア

トラウマ必至!世界初の全編ゲキメーション映画『バイオレンス・ボイジャー』最悪で最高な悪夢!

上記の画像を見ただけで「ウゲッ!」となる方も多いかと思うが、本作ではこのような描写は序の口も序の口だ。レイティング自体はPG12 だがそれで済んだのが奇跡といえるくらいエグく恐ろしい悪夢的場面が連続する。

ゲキメーションで作られた効果は絶大。もともとの宇治茶監督の絵のタッチがまず何かレトロ且つ不気味で不穏なのだが、それが切り絵でカクカク動くと何もなくても嫌な予感が漂ってくる。

そしていざアトラクション施設「バイオレンス・ボイジャー」の真相がわかってからは、悪夢のような描写が牙をむいて襲い掛かってくる。とくに注目してほしいのは液体の表現だ。

血、ゲロ、悪役”たかし君”が放つ溶解液、水鉄砲、そして被害者たちがつけられている培養液・・・。平面的でレトロな絵にやたらリアル(というか本物の液体を絵に組み合わせているのだが)な液体描写が加わると妙に生々しく身の毛もよだつような嫌悪感が倍増される。

ちなみに本作の主人公はいたいけない子供たちなのだがこれは完全に観客を油断させるための罠だ。「さすがに子供たちがそんな目には・・」と思っているこちらの固定観念に対し「は?そんなん関係ないっしょ」とあまりに容赦のない描写が続き度肝を抜かれる。

特に後半は1分に1回は「ウゲッ!」となるのではないか(笑)。83分しかないがドッと疲れる映画だ。

トラウマ必至!世界初の全編ゲキメーション映画『バイオレンス・ボイジャー』最悪で最高な悪夢!

こんないたいけない子供たちが後半あんなことやこんなことに・・・

本作は声のキャスティングの独特さにも注目してほしい。

悠木碧 ボビー
田中直樹 ジョージ
藤田咲 よし子/さやか
高橋茂雄 あっくん/やっくん
小野大輔 たかあき
田口トモロヲ 古池
前田好美 時子
かんだみのり 野口
オカノアキラ 猿吉
武田康廣 こうすけ
樋口みどりこ さおり
中沢健 ともゆき
Bugって花井 キョウコ
山本正剛 たかし
佐藤文則 チンパンジーのカンジ

出典元:https://eiga.com/movie/89194/

悠木碧や藤田咲、小野大輔らプロの声優もいるが、なぜか吉本の芸人も多く出演している。主人公ボビーの父ジョージはココリコ田中、友達のあっくんはサバンナの高橋。ナレーションには松本人志。

彼らのちょっと素人っぽいアテレコが独特のゲキメーションと組み合わさり倒錯感は倍増。本作独特のブラックユーモアを象徴するような松本人志の「ごっつええ感じ」のコントで見せていたような人を食ったような言い回しのナレーションにも注目してほしい。

子供たちの声が基本的に子供の声には聞こえないようなトーンとしゃべり方になっているのも特徴で、いい意味で違和感を作り出し居心地の悪さを増幅させている。

そもそも日本のど田舎にボビーという外国人の少年がいるという冒頭の設定からして「なんじゃそりゃ」となるし、話のバランスとしても「え?なんでこんなところにそんな尺を割くの?」とツッコミを入れたくなる変さが満載でず~っと違和感を感じ続けることになるが、この見ている人間を困惑させ不快にさせること自体がこの映画の目的ともいえるので正しい作り方だろう。

主人公ボビーはバイオレンス・ボイジャー経営者の古池とその息子たかしの罠にはまってある悲惨な状態になってしまい、後半自分と仲間をひどい目に合わせた彼らに復習を果たしに行くのだが、そこでまさかのチンパンジー、コウモリ、猫がお供についてくるというトンデモ描写も笑ってしまう。

笑っているとギョッとする描写が来るというシーンの連続だが段々とギョッとするシーンでも笑えて来てしまうように作られてもいる。あんまりにもエクストリームなのでもはや笑うしかないというべきか。

この怖すぎて笑ってしまう感じは所々オマージュされている古典的なアメリカンホラー『悪魔のいけにえ』の影響かもしれない。

変態一家が経営する変な施設に迷い込んでしまうと・・というプロットもそうだし、人を○○につるすというシーンも『悪魔のいけにえ』イズムを感じさせる。

何より悪役・小池が首謀者で実際に子供の捕縛をしている息子たかしは古池には逆らえず機械的に殺しをしているという設定が、『悪魔のいけにえ』の殺人一家の家長である”コック”ことドレイトン・ソーヤーと、チェーンソーで人を狩る殺人鬼でありながらソーヤー家では一番下っ端で気弱なレザーフェイスの関係性に似ている。

トラウマ必至!世界初の全編ゲキメーション映画『バイオレンス・ボイジャー』最悪で最高な悪夢!

手から強力な殺人溶解液が出せるたかし(左)だが、元科学者でサイコパスな父・古池(右)には一切逆らえない。この関係性が『悪魔のいけにえ』の殺人一家に似ている。ちなみにたかしの”母親”はさらにおぞましい状態になっているのだがそれは見てのお楽しみ。

トラウマ必至!世界初の全編ゲキメーション映画『バイオレンス・ボイジャー』最悪で最高な悪夢!

一見ただのおっさんのコックに・・・

トラウマ必至!世界初の全編ゲキメーション映画『バイオレンス・ボイジャー』最悪で最高な悪夢!

何故か逆らえないレザーフェイス(悪魔のいけにえより)

悪魔のいけにえ 公開40周年記念版

トラウマ必至!世界初の全編ゲキメーション映画『バイオレンス・ボイジャー』最悪で最高な悪夢!

原題 :THE TEXAS CHAINSAW MASSACRE

2015年10月24日より全国にて公開

1974年/アメリカ/84分

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あらすじ
サリー(マリリン・バーンズ)、ジュリー(アレン・ダンズィガー)、フランクリン(ポール・A・ パーティン)、カーク(ウイリアム・ヴァイル)、パムの仲良し5人組は、夏休みを利用してドライブ旅行に出ることになった。フランクリンは半身マヒで車椅子生活の青年だったが、誰一人として彼の世話を厭がる者はなかった。フランクリンとサリーは兄弟である。中西部あたりの砂漠から荒野へ、湖沼地帯を抜け、畑の真中を通り、山を越える。今日もまた抜けるような青空のもと田舎道を走っていると、一人の若い男が道路脇に立って親指を突き出している。ヒッチハイカーだ。車に乗り込んだ男は異様な風体だった。しかも、車の中へ入ってきて腰を下ろすなり、いきなりナイフを取りだし、自分の手のひらを切りつけた。2、3のやりとりのあと、今度はフランクリンの手に切りつけた。彼らはやっとのことでその狂人を追い払って難を逃れた。夕暮近くなって、一行は一軒の家を発見する。はじめにカークとジュリーが扉を叩いた。返事はなく、カークがおそるおそる扉を開けて入る。ジュリーが庭に出ている間に最初の殺人が行われた。突然、カークの眼の前に飛び出した男、顔にレザーの仮面をつけ、食肉解体者が用いるような白いエプロンをつけている大男だ。男は鉄のかなづちでカークの頭を一撃、けいれんを起こす彼に2度3度とかなづちをふるう。何も知らずに部屋に入るジュリー。異様な雰囲気にジュリーは恐怖と危機を覚え、立っていられない。逃げなくてはと思っても足が進まない。泣きながら部屋を出ようとしたところをさっきの男に退路を断たれる。暴れる彼女を横にかかえると、カークの殺された食肉解体室に連れ込み、太い縫針に彼女を吊した。その頃、二人の帰りが遅いのを不審に思った残りの二人が協議し、パムが様子を見に出かけることになったが、同様に彼も殺されてしまう。残ったサリーはフランクリンの車椅子を押して、その廃屋に向かった。しかし、前方から不気味なモーターの音と共に突進してきたのは例の仮面の男だった。男は手に自動のこぎりを持って、それをふり回しながらやって来る。男はのこぎりを車椅子のフランクリンの胸に突き立てた。飛沫になって空中を染める血しぶきとフランクリンの絶叫。サリーは逃げる。やっとのことで追撃をかわして逃げ込んだ道路沿いのガソリン・スタンド。しかしそこの主人もまた一味なのだ。サリーは麻袋に入れられ、再びもとの廃屋に連れ戻される。昼間のヒッチハイクの男は仮面の男の弟であり、スタンドの男は兄弟の父だった。さらに2階にいるミイラのような男は人の血を吸わなければ死んでしまうという、彼らの祖父だった。こうして異常性格と呼ぶ以上の地獄の狂人4人が乙女の血を求めて集まった。

出典元:https://eiga-board.com/movies/37958

『悪魔のいけにえ』を連想してしまうくらい恐ろしい話と容赦ない描写の数々にブラックユーモアとドラッグ的な独特すぎるアニメーションが加わった唯一無二の怪作。

普通の映画に飽きた方にぜひおススメしたい劇薬だ。

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