武藤彩未の25歳の誕生日を祝う「武藤彩未BirthdayLive☺︎」が4月29日、東京・大手町三井ホールで開催された。コロナ禍による緊急事態宣言発令のため急きょ“無観客配”で行われた、同ライブの模様をお届けする。


【写真】武藤彩未バースデーライブ

17時半、定刻通りに始まったライブは意外な一曲でスタートした。もしも客席がファンで埋まっていたら、きっと驚きの声と大歓声が交錯していたに違いない。2008年、まだ小学6年生だった武藤が1年間の期間限定で所属していた3人組ユニット・可憐Girl’sの『MY WINGS』だ。「強く 凜々しく 羽ばたいて」と歌い出す武藤を照らすブルーのライトはさながら大空のよう。もう13年も前の、武藤にとっては原点とも言うべき楽曲だが、大人になった今の武藤が歌ってもやはり“絶対可憐”だ。

続いての曲は『Flower』。
昨年11月に発表されたミニアルバム「あの頃、君に渡したプレイリストを今でも僕はくちずさむ。」の冒頭を飾るアップテンポなナンバー。出だしのフレーズを歌った武藤が「みんな今日は最後まで楽しんでいってね!」と、ネットの向こうのファンに呼びかける。弾ける武藤の笑顔には、“歌うのが楽しくて仕方がない”という彼女の気持ちが溢れている。

「みなさんこんばんは、武藤彩未です」と一礼し、「配信見えてますか?」と問いかける武藤。スマホの画面に視線を落とし、ファンの反応をチェックする。「4月29日、25歳の誕生日。
歌えて本当に幸せです」と感慨深げに思いを語り、「本当に皆さん連れてきたかった」と、無観客になってしまったことを残念がるが、「中止にならなかっただけ、去年よりは一歩前進」と前を向く。「25年間の感謝の気持ちをみなさん一人一人に届くように気持ちを込めて歌わせていただきます」と口にした武藤の想いは、ネットの向こうのファンたちにも確実に伝わったことだろう。

最新アルバムに収められている『ミルクコーヒー』では、コーヒーカップを手にしてクルクルと軽快に回って見せ、一転バラード曲『tsubaki』ではしっとりと大人っぽく切ない感情を歌い上げる。続いてはやはりバラードの『風のしっぽ』。ファンにとっても思い入れの強い楽曲を、あの頃よりも情感豊かに歌う。

「自分でも泣きそうになっちゃった」と、作詞家・三浦徳子のペンによる『風のしっぽ』の歌詞に、武藤もグッときたようだ。
武藤自身が敬愛してやまない松田聖子のデビュー曲『裸足の季節』などの作詞も手掛けた三浦氏による曲は、武藤にとっても大切な想いが込められているに違いない。 

MCの後、「大切な仲間を想って歌わせていただきたいと思います」と始まった楽曲は『FRIENDS』。武藤がさくら学院に在席していた頃の懐かしいナンバーは、同グループにとって今も色褪せない代表曲。ライバルでもあり親友でもあった仲間たちと刺激しあいながら成長できたからこそ、今の武藤があるのだろう。武藤の目には、ネット越しにさくら色のフラッグを振る昔からのファンの姿が映っただろうか? 続く『センチメンタルスカイ』は、あれから10年が経過し少し大人になった武藤から、大切な仲間たちへ贈るアンサーソングなのかもしれない。

ライブはここから後半戦。
「6曲ノンストップで」と宣言した武藤が紹介した楽曲は『oshan』。「一緒に手拍子してください!」と、“ネットの向こう”のファンたちに呼びかける。『会いたいが言えない』では、好きな相手に思いを伝えられない女の子の歯がゆい気持ちを軽快に表現し、武藤自身「ライブでみんなと楽しみたい」と語っていた『ワケナイ』ではキュートな振付も披露してくれた。

「みなさんタオル準備できてますか?」武藤のかけ声で始まったのは、『RUN RUN RUN』。武藤自身も終始笑顔でタオルを振り回す、ライブには欠かせない楽曲だ。有観客なら客席に“タオルの波”が揺れ動いていたことだろう。
ステージ狭しと動き回り、ファンを煽る武藤を見ていると、来年こそはファンと一体になってタオルを振る姿を見たいと思わずにはいられない。

続く『A.Y.M.』も、武藤にとってもファンにとっても大切な楽曲。大人っぽい雰囲気の楽曲を、かつての武藤は少し背伸びしながら歌っていたが、今では“等身大”に表現し切っている。こんなところにも彼女の成長を実感できるポイントがある。続く「ベティ」も、女の子から女性への成長をテーマとした楽曲。後半部分では武藤自身がドラムを演奏しながら歌うというチャレンジを魅せてくれた。
ファンたちもそれぞれ、大いに沸いたに違いない。

「緊張した~!」と語った武藤だが、演奏中にイヤモニにアクシデントがあったようで、「もう一回やりたい」と悔しそうにおどけてみせた。しかしながら、バンドの一員として演奏しながら歌うという楽しさも実感できたようで、「続けていきたい」と今後もドラムへチャレンジする意欲も語ってくれた。

「歌」という、ずっと続けたいと思うものに出会えた幸運を語る武藤。「みんなと一緒にもっと大きなステージに行きたい」という想いも口にし、「ひとりでも私の歌を聴いてくれる人がいれば、いつでもどこでも歌いたい」と決意を新たにした。無観客がゆえの「お客さんのありがたみ」も実感した武藤は、「次回は絶対皆さんの前で歌いたい」という願いを一層強くしたようだ。

ラストナンバーは、この日配信スタートしたばかりの新曲『今夜のキスで忘れてほしいの』だ。大人っぽい恋愛ワードをさらりと表現できるようになった武藤の姿を眩しく感じた。

「お知らせ」の映像を挟んで、アンコールのため再登場した武藤。6月10日に行われる初のFCイベントを告知すると、最後の一曲『マーマレード』がスタート。歌詞同様、オレンジ色のライトに照らされる中、歌いきった武藤の表情は晴れやかな笑顔に包まれている。「次は必ず会いましょう」と、次回こそは“有観客”でという想いは、すべてのファンも同様に願っていること。そして来年の4月29日こそは、ハッピーバースデーも歌え、バースデーライブでは恒例となった“年の数だけのジャンプ”もできる、武藤とファンにとっての日常が戻っていることを願わずにはいられない。

~ライブ終演後の武藤彩未のコメント~
●本日のライブを終えての感想は?

「急遽配信ライブになってしまいましたが、歌えることの幸せを噛み締めてました。画面越しでしたが、皆さんに私の思いが伝わっていたら嬉しいです!そして次回こそは有観客ライブを!」

●先日行われた、筒美京平さんトリビュートコンサートに参加した感想を教えてください。

「本当に夢のような2日間でした。改めて筒美京平さんの名曲の数々に驚きましたし、その素晴らしさを語り歌い紡ごうと思いました。私の憧れの人たちと同じステージに立てたことは私のこれからの糧にします!!!」

●25歳になった抱負を聞かせてください

「私がこれまでやってきたレトロポップ。25歳は今まで以上にそれをしっかり形にして、私にしかできない音楽を確立したいです!」

セットリスト
1.MY WINGS
2.Flower
3.ミルクコーヒー
4.tsubaki
5.風のしっぽ
6.FRIENDS
7.センチメンタルスカイ
8.oshan
9.会いたいが言えない
10.ワケナイ
11.RUN RUN RUN
12.A.Y.M.
13.ベティ
14.今夜のキスで忘れてほしいの
アンコール
15.マーマレード