【写真】この日の私服Tシャツは、ヤクルトファンの間で話題になったあの助っ人外国人Tシャツ
――ご自身のSNSでも、野球の登場頻度がかなり高めですよね。野球好きはいつ頃から?
田名部 物心ついたときにはもう、って感じでしたね。ただ、父はもともと阪神ファンで、母は先祖代々巨人ファンみたいな家系の出身なので、家のなかでもわりとバチバチで(笑)。晩ごはんとかも、巨人が勝てばおかずが豪華。阪神が負けたら精進料理……みたいな、毎日そんな日々でしたね。
――92年生まれということは、ちょうど阪神が暗黒期唯一のAクラスになった“亀新フィーバー”の年ですよね。
田名部 そうなんです。自分ではもちろん記憶にないですけど、甲子園デビューも生後3ヵ月とかでしちゃってて。トラ柄のいろんなもの着せられた写真が残ってますし、ちっちゃい頃は半強制的に阪神ファンって感じでしたね(笑)。
――にもかかわらず、現在の推し球団は阪神でも巨人でもない、東京ヤクルトスワローズ。それはまたなぜでしょう?
田名部 AKB48に入るまでは、プロ野球に対する熱もそんなに高くはなかったんですけど、上京してから、空いた時間に高校野球や大学野球を観に、神宮球場には好きでよく行ってて。その流れで、たまたま友達とヤクルト阪神戦を観に行くことになったんです。そしたら、ヤクルトの応援がすごく楽しくて、試合にもボロ勝ちして。それと何より球場で飲むビールがめちゃくちゃ美味しくて(笑)。「私も大人になったんだなぁ」と実感すると同時に、生まれて初めて、自分から「応援したい」と思えるチームに出会えた気がしたんです。
――幼少期の日常だった、殺伐とした“伝統の一戦”とはまた違う野球が、そこにはあったと。
田名部 なんか平和でいいなぁ、って。とくに、ヤクルトがリーグ優勝した2015年なんかは、チームもノリに乗っていたし、文句のつけようがないくらいに球場に行くのが楽しみで。気がついたら、自然と通いつめるようになっちゃってましたね。ちなみに、「本当に面白いから一回行こうよ」って両親のことも連れていったら、そこでまんまと彼らもハマってしまって。

この日の私服。着ているTシャツもヤクルトオフィシャルグッズ。2015年に発売されたヤクルト助っ人外国人4人によるアビーロード風Tシャツ。
――見た目にもやさしいあの“応燕カラー”が、家族の絆まで深めてしまったわけですね。
田名部 なんですかね。勝っても負けてもメンタルを保てるっていうか、今年みたいにチームが好調なときでも、必要以上に調子に乗らないで済むっていうか。もちろん、負けて悔しかったり、さびしかったりはするんですけど、「次もまた来てちゃんと応援しよう」って気持ちに自然となれる。そういう居心地のよさは、たぶん他の球団よりもあるのかなって。
――それこそ甲子園なんかは、スタンドの雰囲気もある種、独特ですもんね。
田名部 AKB48時代に大阪で握手会があったときに、甲子園でヤクルト戦を観たことがあったんですけど、そのとき阪神ファンの方から、こっちにまで聞こえる声で「はよ、東京帰れや」みたいなことを言われたことがあって……。子どもの頃はなんとも思ってなかったけど、そのとき初めて実感しましたもんね。
――とはいえ今年は、阪神も巨人も、そしてヤクルトも好調です。比較的、周囲も平和なのでは?
田名部 そうですね。普段だったら、普通に話しているときでも、だんだんヒートアップしちゃったり……ってことが多々あるんですけど、今年に限ってはみなさん温厚で(笑)。なので、ここ最近はとにかく野球を観るのが楽しいです。このままシーズン終盤まで好調が続いていけば、また違う欲も出てきちゃうのかもしれないですけどね。(後編につづく)
(取材・文/鈴木長月)
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▽田名部生来◎たなべ・みく
1992年12月2日生まれ。滋賀県出身。柏木由紀、渡辺麻友らと同期の元AKB48、3期生。17年の卒業後は舞台を中心に女優、タレントとして活躍する。野球のほか、アニメ・漫画にも造詣が深く、とりわけ『ドカベン』が「殿堂入り」の愛読書。大の酒好きとしても知られる。

この日、持参してくれた私物のオフィシャルグッズ。