2017年にDDTプロレスとアップアップガールズがタッグを組んで結成された「歌って、踊って、闘える」アイドル・アップアップガールズ(プロレス)。結成当初、メンバーとして選ばれた3人も、アイドルとプロレスの両立、というその意味を真に理解していたとは言い難かった。
それでも5年の間、リングとステージに真摯に向き合った彼女たちは確かに人生を変えた。メンバー3人に聞いたそれでもプロレスを続けた理由…1回目は、加入前はプロレスを見たこともなかったという「らく」のインタビュー。

──アップアップガールズ(プロレス)は、2017年8月にDDTプロレスリングとアップアップガールズとのコラボで“歌って、踊って、闘える”最強のアイドルを目指すグループを結成するというオーディションから誕生しました。そもそもらくさんがアプガ(プロレス)のオーディションに応募したきっかけを聞かせてください。

らく ネットでオーディションを見つけたんです。その頃いろんなアイドルのオーディションを受けていて、受かったのがアプガ(プロレス)だったんです。アイドルとプロレスを両方やると書いてあるのはわかったいたんですが、私はプロレス自体を知らなかったんです。

──プロレスの知識は全くゼロでしたか?

らく ハイ。プロレスは見たこともないし、リングで戦うとかも知らなかったんですよ。当時、私は19歳で年齢的にもアイドルをやるのに焦っていて、プロレスをあまり知らずにとにかくやってみようと思って入ったんです。

──それまで運動経験は?

らく 全然やってないんです。小学生の頃からずっとアイドルに憧れて、アイドルになるために人生を送ってきていたので、スポーツも全く興味もなかったんです。
小さい頃は、『きらりん☆レボリューション』の月島きらりちゃんの久住小春さんになりたいと思ってたんです。アニメの世界と現実が混じってて、ゴールが無い状態の子供って感じだったんです(笑)。

──(笑)。当時、歌やダンスはやってたんですか?

らく 小学校中学校と劇団に通っていて、授業でバレエ、ジャズダンス、タップダンスはひと通りやったんですけど、かと言って上手いわけでもなくって感じでした。ただひたすらアイドルが好きって感じだったんです。

──では、実際にアプガ(プロレス)に入ってアイドルとプロレスをやり始めてどう感じましたか。

らく 加入当初はしんどかったです(笑)。最初は何もかわからず、とにかく目の前のことをやるって感じでした。歌もダンスも難しいし、プロレスの練習も大変で全てに必死でした。正直、辞めようってことも考えてましたし、東京女子プロレスの先輩たちにもめちゃ迷惑かけちゃってました。

──でも、辞めずに続けた理由ってなんだったんですか。

らく それが、自分でもなんでかわからないんです。
もともと私は、何かを長く続けられるタイプじゃないんですよ。だから、今にして思うと運命に導かれたのかなみたいに思っちゃいます。神様か何かが、未来を見据えて止めてくれてたとさえ思っています(笑)。親にも辞めるのを止められたんです。「とりあえず3年は続けてみなさい。絶対続けたら何か変わるから」って。それは昔からよく言われていたんですけど、前はそれでも辞めていたんです。なのにアプガ(プロレス)は辞めなくて。だから、親も未来が見えていたのかなって思います。

──アプガ(プロレス)は、まずアイドルとして2017年の8月27日に@JAM EXPOでステージデビューしました。アイドルとして印象に残ってることを聞かせてください。

らく @JAM EXPOは、自分の夢が叶った日でした。
でも振り返ると、パフォーマンスがほんとにヤバくて、当時のことは振り返りたくないなって思います(笑)。あと印象に残っているのは、2018年のTIFに出られたことです。出たかったステージに出られて、ほんとにうれしかったです。

──プロレスでは、いつ頃からやり甲斐を感じるようになったんですか。

らく 山下実優さんとのシングルマッチ(2018年5月19日・北沢タウンホール大会・山下実優vsラク)が初めて組まれたときです。当時団体のチャンピオンだった山下さんに、アプガ(プロレス)の中から初めてシングルで戦わせもらったんです。もちろん山下さんとの試合をがんばるぞって思っていたんですが、普段の気持ち的にはずっと悩んだままの状態だったんです。でも、その試合の入場した瞬間にフワって気持ちが変わったんです。私が先にリングインして、山下さんが入場してくるときにそれを感じました。

──どんなことに気づけたんですか。

らく 何もできない自分がチャンピオンと戦って、それにお客さんがお金払って見に来てくれてるって状況にハッと気づいて、夢から覚めた!って感じになったんです。あ、生きてる!って思えたんです。
まさか、こんなに変わるとは思ってなかったです。

──そこで、自分の状況を自分の中でしっかり捉えられたのかもしれないですね。

らく そうですね。プロレスデビューのときのことはよく覚えてないですけど、そのときのことはすごく覚えてます。それからも辛いことはあったけど、試合は向上心を持ってやれるようになったし、試合する面白さを掴めていきました。

──らくさんが感じる試合の面白さはどんなものですか?

らく お客さんの声援、応援ですね。お客さんと一緒に夢を掴んでいく物語がすごくいいなと思います。コロナ禍になる前は声援とか紙テープもあったので、それをすごく感じられました。私はずっと連敗してる弱キャラみたいな感じで、自力で勝利をしたことがなかったんです。なので、自力勝利に向かってがんばるって感じでした。

──らくさんの初勝利はいつでしたか。

らく コロナになる寸前、2020年の2月の6人タッグマッチ(2020年2月11日・北沢タウンホール大会・伊藤麻希&らく&原宿ぽむ vs 辰巳リカ&渡辺未詩&鈴芽)です。
当時、伊藤麻希さんとタッグを組ませていただいてて、その試合は伊藤さんとぽむとのチームで初勝利できたんです。

──初勝利の感想は?

らく ウォーッて感じでした(笑)。伊藤さんが飛びついて喜んでくれて、それがうれしかったです。プロレスでは、入場のときにファンの方が紙テープを投げてくれるんですけど、タイトルマッチとか重要な試合で勝ったときにも紙テープを投げてもらえるんです。そしたら、私が初勝利したときにたくさんの方が紙テープを投げてくれたんです。そのときに、こんなにも私の勝利を祝ってくれる人がたくさんいるんだって気持ちになってすごくうれしかったです。

──まさに、プロレスはお客さんと一緒に夢を掴んでいくものだっていうのを実感したと。

らく ハイ、それをすごく思いました。

──アプガ(プロレス)で約5年間活動してきましたが、その中でらくさんが得られた大きなものはどんなことですか?

らく ずっと死んでた人生が、やっと生きられた、生きてるって感覚です。私は前は、この先どうやって生きていくんだろうとか思いながら生きてたんですよ。目標だったり未来の希望に向かって生きられるようになったのは、アプガ(プロレス)に入れたからだっていうのはほんとに思います。人生が丸ごと変わった感じがします。


──アプガ(プロレス)ならではのよさは、どんなところにあると感じてますか。

らく やっぱり、アイドルとプロレス両方できるところです。リング内にとらわれず、アイドルイベントにも出れるし。ひとつの夢だけじゃなく、2つの夢を追えてるところですね。

──今のらくさんの思い、目標を聞きたいです。

らく 目標は、私は電車が好きなので、電車の中で試合する電車プロレスをやりたいです。あと、海外で試合したいです。東京女子のアメリカ興行がコロナ禍で中止になってしまったので、いつかできたらいいなと思います。今の思いとしては、最初の頃はいろいろ考えたけど、今は入ってよかったなと思ってます。まだまだ追う夢はいっぱいあるので、オーディションで入ってくれる新メンバーとともに、より高いところを目指していきたいです。

──では、オーディションでアプガ(プロレス)にどんな子が入って欲しいですか?

らく 夢を探している人だったり、この先の人生どうしようって思っている人ですね。オーディションとなると、やっぱり当時の自分と重ねちゃうんです。この先どうしようって考えている人に、プロレスと出会ってもらって新しい人生になって欲しいから、夢に迷ってたらとりあえず挑戦してみて欲しいです。そこから先はどうなるか、どう感じるかはその人次第だと思うけど、少なくとも私はプロレスは面白いと思えたので。ぜひアプガ(プロレス)に、何も知らないでもチャレンジして欲しいなって思います。

▽アップアップガールズ(プロレス)2022 新メンバーオーディション
プロレスラーとして日本武道館メインイベント、アイドルとして日本武道館単独公演を目指すアプガ(プロレス)が初の新メンバーオーディションを開催。応募締切:2022年4月17日23時59分まで。詳細は(https://www.yum-audition.jp/)まで。

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