こぶしファクトーメンバーの井上“玲”音と“和”田桜子。ハロー!プロジェクトが誇る“令和コンビ”が、アンジュルム・佐々木莉佳子をゲストに、新元号の幕開けに相応しい座談会をお届けします。
同じ2001年生まれだからこそ語り合える「出会った日のこと」「後輩のこと」「自分の成長のこと」。
──来てしまいましたね、令和が。

和田 来ちゃいましたね~。その点、こぶしファクトリーは強いですよ。何せ井上「れい」に「和」田桜子ですから。ハロー!プロジェクトが誇る令和コンビ(笑)。


井上 ブログのコメント欄に祝福メッセージが届きました。「いよいよ2人の時代だね」とか。あの……1人称が「私」じゃなくて、下の名前で呼ぶ人っていません?

佐々木 あぁ、いるよね。和田(彩花)さんも、たまに「あやは~」とか言うことあるし。

井上 私が自分のことを「れいは~」とか言う人だったらよかったんですけどね。いちいち元号に引っ掛けて自分語りができるから(笑)。
今から頑張る? ……いや、でもやっぱりダメだな。照れくさくて、どうしても「私は~」になっちゃいます。

──ところで3人は同世代ですけど、ハロプロ研修生時代から絡みは多い方だったんですか?

和田 私が研修生になった直後に、莉佳子ちゃんが入ってきたんですよ。当時、研修生の間で話題になっていましたからね。「今度来る子、めちゃくちゃ可愛いんだよ」って。

佐々木 嘘だ~(笑)。


和田 いや、ホントだって! 岸本ゆめの(こぶしファクトリー)ちゃんが動画を検索しながら、「ほら、観て! この子!」って興奮しながら私に教えてくれたの(笑)。

佐々木 れいれいとは、ハロコンのときに2人ユニットで松浦亜弥さんの『トロピカ~ル恋して~る』を歌わせてもらったことがあります。というのも私たちは同じ年で、あの曲がリリースされた2001年に誕生したんですよ。

──あやや全盛期に生まれた世代! 典型的な平成ガールズですね。

佐々木 平成ガールズか……。そう考えると、私もアンジュルムでは後輩の方が多くなってきたんですよ。
新しく入ってきた子には教えたり、怒ったりすることもあるし。

和田 想像つかない! 莉佳子ちゃんが説教とかするの?

佐々木 そりゃ、しますよ~! 場位置の修正とか、人って指摘されないと分からないから。

井上 結構、厳しい感じで?

佐々木 いや、それはないかな。言われた方の立場になって考えると、厳しい口調で責められると落ち込んじゃうだろうし。リハーサル中、みんながいる前で注意したらその子も傷つくだろうから、終わってからこっそり伝えるようにしています。「あの……すいません。
あそこの振り、たぶん違うと思うんですが……」みたいな感じで。

井上 それはそれで下手に出すぎな気もするけどね(笑)。

──一方、こぶしファクトリーには後輩が入ったわけではないけれど、ハロプロ全体ではBEYOOOOONDS勢が加わりました。

井上 私が後輩メンバーと絡むってことは、ほぼ皆無ですね。もちろん嫌いというわけではないんだけど、必要を感じないというか……。向こうの後輩サイドからも特に求められていないと思うし(苦笑)。
だから逆に佐々木さんとかを見ていると、人付き合いが上手すぎて驚いちゃいますよ。この前もBEYOOOOONDSの平井美葉ちゃんと遊びに行ったみたいなんですけど、「距離を詰めるのが早すぎでしょ!」と思って。

佐々木 アハハ! 行った、行った。確かに速攻で遊びに行った!

井上 ちなみに平井美葉ちゃんのことは、何を隠そう、この和田桜子ちゃんも好きなんですよ。

和田 だけど、こっちは「一緒にごはんに行こうね」って口約束しただけで、実際はモジモジしちゃってアクションが起こせない(笑)。こぶしファクトリーは、リーダーの広瀬彩海ちゃん、それから野村みな美ちゃんはまだ外交的だけど……基本は人見知り集団ですから。

井上 あやぱん(広瀬)の場合は外交的というより、単なるファン目線でしょ(笑)。「あの子、可愛い!」とかいつも言っているし。

和田 莉佳子ちゃんはいつも元気いっぱいだから、後輩からしても「仲よくなりたい先輩」だと思うのね。だけど私の場合、こぶしファクトリーの中ですら「何考えているのか全然分からない」とか言われるくらいだから。どう対応していいのか、後輩も戸惑うんじゃないかなって思っていて……。

佐々木 え~!? それはさすがに考えすぎじゃないですかね(笑)。

和田 でも私、1つだけ心がけていることがあるんですよ。それは、いつも笑顔でいること。せめて自分の方から「話しかけやすいオーラ」を作っていこうと考えています。

佐々木 でも優しい感じがするから、話しかけやすいと思いますよ。

──現在は和田さんが18歳。佐々木さんと井上さんも間もなく18歳になろうとしています。「大人っぽさ」を意識する年齢では?

佐々木 それはありますね。自分で言うのもアレですけど、私ってアンジュルムに入ったばかりの頃と今では全然パフォーマンスが違うと思うんですよ。前はライブをひたすら楽しんでいただけだったんですけど、去年の春くらいからかな、ステージに対する考え方が大きく変わったんです。「自分はこのままでいいのかな?」と少し迷っていた時期に、韓国のアーティストさんとかを意識するようになって。それで方向性が少しずつ見えてきたというか。

──具体的にどういうところが変わったのでしょうか?

佐々木 たとえば曲を歌っているときは、どうしても歌うという作業に集中しがちになるんですよ。だけど、やっぱり同時に表情だったり手の動きだったりも注意しないとダメなんですよね。じゃないと、観ている方が飽きちゃうので。ファンの方の立場で考えられるようになったということなんだと思います。

井上 それは深いなぁ……。

佐々木 言い方は悪いかもだけど、前は一生懸命ピョンピョン跳んでいただけだった気がするんです。今はライブが終わるたびに「これでよかったのかな?」って、すごく悩む。すごく考える。終着点はないなって、しみじみ思います。

──なるほど。令和コンビはどうですか?

井上 こぶしファクトリーは「オイ! オイ!」って煽る曲が多いんですけど、当然そうじゃない曲もやるんですね。じっくり聴かせる曲、セクシーに魅せる曲……そんなとき、お客さんに「俺たちの出番ないじゃん」ってガッカリさせたらダメじゃないですか。そこで「いかに飽きさせないで観てもらうか?」っていうのが課題になってくるんですけど、私が参考にしているのが℃-uteさんのライブ映像。心が浄化されるだけじゃなく、技術的にもすごく参考になるんですよ。

──具体的に、どういうところが?

井上 たとえば「ここ、カッコいい!」と思う場面があるとしますよね。「じゃあ、何で私はカッコいいと思ったのか?」と冷静に分析するんです。もっと具体的に言うと『を起こすんだ Exciting Fight!』の間奏前。そこの萩原舞さんの振り。

佐々木 細かいなぁ(笑)。

井上 そこで萩原さんが前に出てきてバウンスするんですけど、それがあまりにもカッコいいから私もこぶしファクトリーのライブで真似してみたんですね。だけど、なんか上手くいかない。首が揺れちゃってコントみたいになっちゃう(笑)。いや~、本当に課題ばかりですよ。

和田 煽るタイプの曲じゃないときのパフォーマンスについては、実は私もよく考えますね。いろいろ試行錯誤した中で気づいたのは、思いっきり感情移入して歌うと伝わるものがあるなということ。歌詞に没頭することが大事なんです。だけど入り込みすぎると、今度はステージの途中で泣けてきちゃうんですよ。それもマズいじゃないですか。

──感極まってピッチがくずれてしまうのも、観ている方としてはエモいですけどね。

和田 それがツアー千秋楽とかだったら分かりますよ。でも意味もなく泣いていたら、「ひょっとして誰か卒業しちゃうのかな?」とか無駄な心配をファンの方にさせてしまうことになるので(笑)。

──さて、改めて平成女子3人から令和の世に訴えたいことをアピールしてください。

井上 今、渋谷駅って改装中じゃないですか。あの駅の地下から地上に上がるエスカレーターって乗ったことありますか?

佐々木 あるとは思うけど、あまり印象に残っていないな。

井上 あのエスカレーターって、スピードがめちゃくちゃ速いんですよ! 「おじいちゃん、おばあちゃんは大丈夫かな?」って毎回通るたびに心配になります。

和田 優しいな~。私がどうかと思うのは、キラキラネームについて! なぜキラキラネームをつけるのか、その意図が分からない。

井上 前に楽屋で「キラキラネーム一覧表」みたいなサイトをで見て盛り上がったことがあったよね。

和田 最近の名前は本当にすごいんですよ! キラキラネームって、そもそもは「可愛い自分の子供は、他の子と違う名前で目立たせたい」という目的があったと思うんです。だけどこうもキラキラばかりだと、むしろそれが当たり前になってしまっているじゃないですか。子供の名前は大喜利じゃないんだから、別に漢字や読み方がありきたりでもいいと私は思うんです。

佐々木 なるほどね。私が物申したいのは、テレビの野球関連ニュースについて! 私、楽天イーグルスのファンなんですよ。

──佐々木さんは宮城県の気仙沼市出身ですからね。

佐々木 夜、結果が気になってテレビをつけるじゃないですか。どういうわけか、楽天の試合は30秒くらいしか流されないんです。下手したら、結果を文字で流すだけ。「何で!?」って思いますよ。今、めちゃくちゃ調子いいのに! 西武ライオンズから浅村栄斗選手がやってきました。そこは結構どの番組も時間を割いてくれるんですよ。だけど(ゼローズ・)ウィーラー選手がホームランを打ったとか、そういう部分はスルーされる傾向があって。

──いや、でも昔はもっとあからさまに巨人偏重でしたよ。それに比べたらマシになったのでは?

佐々木 いや、認められないですね。私からすると、まだまだパ・リーグが軽く見られている気がしますし。プロ野球は12球団あるんですから。令和時代は、すべてが平等に扱われるべきだと思います!

和田 野球のことは分からないけど、すべてを平等にっていうのはその通りだよね。改めて新しい時代が平和になりますように!
▽井上玲音(いのうえ・れい)
2001年7月17日生まれ、東京都出身。O型。ニックネームは「れいれい」。小さな顔と長い手足という類まれなるスタイルが武器のこぶしファクトリー最年少メンバー。どっしりとした伸びのある歌声はデビュー当時から絶賛され、現在もグループのボーカル面における支柱となっている。最近ではボイスパーカッションという新たな武器も手に入れ、魅力が倍増中。

▽和田桜子(わだ・さくらこ)
2001年3月8日生まれ、愛知県出身。B型。ニックネームは「わださく、さこ、ちゃあこ」。最近ではアカペラをグループの武器として鍛えているこぶしファクトリー。和田は主にコーラスやラップを担当しており、特にラップは、歌割だけでなく自作のものもイベント等で披露するなど、こぶしファクトリーの名物と化している。

▽佐々木莉佳子(ささき・りかこ)
2001年5月28日生まれ、宮城県出身。A型。ニックネームは「りかこ」。アンジュルム3期メンバーとして加入・長い手足を存分に生かしたダイナミックかつ色気のあるダンスが魅力。『Seventeen』で専属モデルを務めるほどの整ったビジュアルに加え、トーク面では子供心も忘れないお茶目さもあり、男女問わず愛されるメンバー。
Information
井上玲音&和田桜子&佐々木莉佳子「成長したからこそ知ったライブの難しさと奥深さ」

こぶしファクトリー最新シングル 『Oh No懊悩/ハルウララ』好評発売中

「こぶしファクトリー ファーストコンサート2019 春麗 ~GWスペシャル~」5月3日(金・祝) 15:00~/18:30~の2公演が中野サンプラザにて、5月6日(月) 14:30~/18:00~の2公演がNHK大阪ホールにて それぞれ開催!

井上玲音&和田桜子&佐々木莉佳子「成長したからこそ知ったライブの難しさと奥深さ」

アンジュルム最新シングル『恋はアッチャアッチャ/夢見た 15年(フィフティーン)』好評発売中
井上玲音&和田桜子&佐々木莉佳子「成長したからこそ知ったライブの難しさと奥深さ」

アンジュルム最新アルバム『輪廻転生 ~ANGERME Past, Present & Future~』 5月15日(水)発売

3人の座談会は、前ページまでで終わりだが、このページではボーナストラックとして3人が「私の心に残る『出会い』と『別れ』」をそれぞれに語ります。

井上玲音の場合
芸能界とは関係ないところで、「本当の親友」と断言できる存在がいるんです。その子との出会いは宝物だと思っていますね。1歳の頃から家族ぐるみの付き合いを続けていて、昔はよく一緒に旅行にも出かけたんですよ。今はさすがに頻繁に会うこともなくなりましたけど、それでも私が悩んでいるときはタイミングよく連絡をくれる仲。「ありがたや~」って、いつも感謝しています。デビューする前から私が出るライブには来てくれましたし、今度やる初の単独ホールコンサートにも来てくれるんですよ。ずっと私のことを応援し続けてくれていたから……彼女が観てくれるかと思うと、より一層、気合が入ります!

佐々木莉佳子の場合
私がハロー!プロジェクトに入った理由は、はっきりしているんです。工藤遥さんの可愛さにやられたから。あれは小5のときだったと思うんですけど、本当に運命を変えるくらい衝撃的な出会いでした。その後はまだ研修生の身なのに工藤さんと一緒にグラビア撮影をしていただいたこともあって、本当に舞い上がりました。とにかく隣にいる工藤さんが可愛すぎて、まぶしすぎて……。そのとき、工藤さんは私に気軽な感じで話しかけてくれたんです。それが私は本当にうれしかった! 今、私が後輩たちに対して積極的に話しかけるようにしているのは、そのときの工藤さんの影響がすごく大きいと思うんですよね。

和田桜子の場合
岸本ゆめのちゃんと出会っていなかったら、私の人生はどうなっていたんだろうって思うことがあります。何ならハロプロ研修生の頃は、あの子としか話さないくらい仲がよかったですから。研修生に入った頃は私も小学生だったし、「お仕事」という感覚は一切なかったんです。ただ、ゆめと一緒にいたいからレッスンに行くというだけ。性格的にはバラバラなんですよ。私は何も考えないで毎日を楽しむタイプ。ゆめは、いろんなことをじっくり考えて言葉を発するタイプ。全然違うからこそ、いつも「すごいな」と思って見ていました。グループが離れ離れになった今も、特別な存在であることに変わりはないです。

(『月刊エンタメ』2019年6月号掲載)