──今はまだ2人のことを知らない人が多いと思います。それぞれアイドルを目指すようになったきっかけから教えてください。
太田 私はもともと小さい頃からアイドルになることが夢で……。
──「アイドルになる」のが夢になったのはなぜ? きっかけは?
太田 え~、そんなこと考えたこともなかったです。でも、一番最初はアニメの『プリキュア』だったかもしれない。親によると、当時の私はプリキュアのエンディング曲を真似しながら歌って踊っていたらしいんですよ。たぶんそれが幼稚園くらいの頃だと思います。あと、うちはお母さんがモーニング娘。さんのDVDを観ることが多かったんです。
──お母さんもアイドル好き?
太田 モーニング娘。さんの直撃世代ですから。私も一緒になってよく観ていました。その流れで、2016年にハロプロ研修生北海道を受けたんです。HTB(北海道テレビ)さんの『イチモニ!』でオーディションのことを知って、お母さんが応募しました。
──まだ太田さんが小さかったから、代理でお母さんが手続きしたということですか?
太田 いや、全然違います。お母さんが私に黙って勝手に出したんですよ。あとから「こういうの、出しておいたんだけどさ。大丈夫?」って聞かれたから、「うん、大丈夫」って答えましたけど。
──自分の意志じゃなかったと?
太田 でも私もモーニング娘。さんやハロー!プロジェクトが好きだったから、「勝手なことをしないで!」という感じでもなかったです。「ありがとうね」って思いました。
──伊勢さんの場合は?
伊勢 私はアイドルを目指していたわけではないんです。目指していたのは宝塚だったんですよ。ただ、ご存知のように宝塚というのはものすご~く狭き門なんですね。だから目指しつつも、「たぶん難しいんだろうな」って自分でも冷静に見ている部分があったんです。で、そんなときにお姉ちゃんが私の名前で勝手にオーディションに応募していたんですよ。お姉ちゃん、自分がハロプロ大好きなものだから。
太田 れらたん(伊勢)も私も「家族に巻き込まれた」っていう意味では共通しているんです(笑)。
伊勢 はーちゃん(太田)は自分も好きだったからまだいいですけど、私の場合は正直そこまで詳しくなかったし……。お姉ちゃんが応募したやり方もかなり強引で、「写真撮るから」「えっ、何に使うの?」「いいから、そこに立って!」みたいな(笑)。それでいつの間にか書類審査が通っていたみたいで、2次審査の手紙が家に届いたんです。そのタイミングで、ようやく自分がハロプロを受けていたことを知るわけですけど。
──お姉さんは、なぜ自分でオーディションを受けなかったんですか?
伊勢 お姉ちゃん、アイドルは大好きなんですけど、自分はプロデューサー志向なんですよ(笑)。
──メンバーの顔と名前も分からない。曲すらも分からない。そんな状態でハロプロに入ったら、人一倍苦労しませんでした?
伊勢 すごく苦労しました! 中学1年生のとき、モーニング娘。さんのコンサートに行ったことはあるんですよ。それもお姉ちゃんに連れられてなんですけど。だからモーニング娘。さんは分かるんですけど、それ以外のグループはほとんど知らなかったです。最終審査のときに「さすがにこれはマズいな」と思い、慌ててハロプロの勉強を始めまして……。そのとき、一番カッコいいなと感じたのがアンジュルム。
──そもそも(伊勢さんが受けた)“ONLY YOU”オーディションは、BEYOOOOONDSの追加メンバー募集的な意味合いでしたよね?
伊勢 だから当時は自分がアンジュルムに入るなんて想像もしていなかったです。「BEYOOOOONDSじゃないんだ!?」って驚きましたし。
──伊勢さんはなぜ自分がアンジュルムに選ばれたのだと思いますか?
伊勢 アンジュルムってワイワイにぎやかなイメージがあるじゃないですか。まだ私は殻を破ったとは言えないけど、学校ではわりとふざけ系のキャラなんですよ。キャラというか、素がワイワイしているんでしょうけど。そういうところを見てくれたのかもしれないですね。
──太田さんはオーディションではないんですよね。
太田 違います。私はハロプロ研修生北海道で2年半頑張ってきたんですけど、研修生だから当然デビューしたいと思っているわけじゃないですか。
──人数も少ないし、ハロプロ研修生北海道は結束が固い?
太田 仲はすごくいいです。今でも連絡を取り合っていますし、お泊り会もしょっちゅうしていましたし。正直、かなり寂しいです。去年の11月23日、パシフィコ横浜で私たちのお披露目をやったんです。その前日に私は北海道に帰って、みんなにアンジュルムのことを伝えました。みんな、泣いていましたね。
──別れたくないという涙?
太田 それもあるだろうし、「自分は選ばれなかったんだ」という悔しさもあるだろうし……。
──切ないなぁ。話を戻すと、合格発表自体は和田彩花さんが北海道まで来て行ったんですよね。
太田 そうですね。サプライズでした。和田さんから「あなたはアンジュルムとしてこれから活動していきます」と聞いたときは、ビックリしすぎて頭が真っ白になりました。
伊勢 その北海道での発表は、私も一緒にいたんです。私も私でサプライズを仕掛けられていて、「“ONLY YOU”オーディションの最終審査は札幌で行います」と聞いていたんです。「へっ? いきなり札幌? 今までずっと東京だったのに?」と不思議な気はしたんですけど(笑)。それでも最終オーディションだから緊張しつつ会場に向かったら、見覚えがあるモデルさんみたいな綺麗な方と、「誰だ、これ?」みたいな子がいたんです。それが和田さんと、はーちゃんだったんですけど。
太田 ちょっと待ってよ! 何なの、その格差は? 「誰だ、これ?」じゃなくて、もうちょっと説明の仕方があるでしょ(笑)。
伊勢 はーちゃんのことは、かすかに記憶があったんですよ。というのも中1のときに観たモーニング娘。さんのオープニングアクトに、はーちゃんも出ていたから。和田さんのことはライブ映像で知っていたんですけど、まだすぐに名前が出てこなかったです。当時はアンジュルムが好きになったばかりなので、まだメンバーの顔と名前が分からなくて。
──2人の、お互いの印象は?
伊勢 最初は、すごく大人っぽく感じましたね。はーちゃんとは同じ年ですけど、ハロプロ研修生北海道では最年長としてみんなを引っ張っていたと聞いていたので。それに加えて2年半の経験があるけど、こっちはゼロからのスタートですから。「同期」というより、「先輩」という感じで見ていましたね。同時に「負けられない」とも思っていました。
──ライバル意識があった?
伊勢 はい、最初は。
太田 えっ、最初だけ? 何気に私、ひどいこと言われてる(笑)。
──伊勢さんは、歌やダンスは完全に未経験なんですか?
伊勢 バレエは6年間習っていましたけど、それだけですね。ただ、歌うことは好きだったんですよ。宝塚を目指していたこともあって、よくカラオケに行っていました。宝塚のスターの方になり切って、ずっと1人で歌っていたんです。
太田 でも、私もれらたんに対してライバル意識は持っています。自分の中で戸惑いがあるんですよね。こういうタイプに会ったことなかったので。新たな人種に遭遇したというか……。同じ北海道の人とは思えないところもありますし。
伊勢 いきなり私のことを変わり者扱いしないでよ(笑)。
太田 何て言うのかな……。れらたんは都会の香りがするんですよ。しゃべり方もそうだし、ファッションもそう。私は北海道の中でも田舎の出身なので、仲よくなれるか不安でしょうがなかったです。
伊勢 嘘だ~。そんなこと言ってるけど、初対面のときにいきなりハグしてきたじゃない。「新たな人種に遭遇した」っていうのは、こっちが言いたいセリフだよ(笑)。
太田 いやいや、違う! あれは「こういうところから少しずつ仲よくならなきゃダメだな」と思ったの!
──でも、出会って5カ月とは信じられないくらい息はピッタリです。
太田 今は2人とも歌やダンスを覚えるのに必死だから、そこで助け合ううちに仲よくなった部分は大きいですね。れらたんとは、一緒にやっていてビックリすることが多いんです。だって、まだ始めてから5カ月くらいしか経っていないんですよ? それなのにみんなについていけるって、すごいと思うんです。成長率がハンパじゃない。だからこそ、私もライバル心が出てくるんですよ。
──先輩メンバーに追いつくため、2人だけでダンスレッスンを受けたりしているんですか?
伊勢 いや、ダンスレッスンは特にないんですよ。リハーサルまでに先輩の振り動画を観ながら家で練習して、当日のスタジオで位置を指定してもらう形です。だから、自主練がすごく大事になってくるんですよね。
太田 家で練習といっても、当然分からないことも出てくるじゃないですか。そういう場合、れらたんと2人で確認するんです。あとはマネージャーさんに連絡して、自主練できるスタジオを手配してもらったり。
──そこは先輩に頼らない?
伊勢 それはさすがに申し訳なくて……。結局、できないのは自分たちのせいですから。
──いや~、ここまで大変でしたね。
伊勢 アンジュルムに入って最初の活動はハロコンだったんですけど、そのあと、アンジュルムでライブハウスツアーがあったんです。これが、めっちゃ大変でした。
太田 ハロコンはいろんなグループが出ているから、やる曲も少ないんです。ライブハウスツアーはワンマンなので、15曲くらい覚えなくちゃいけなかったんですよね。
伊勢 リハーサルのたび、この2人だけ怒られるんですよ。先生から呼び出されて、「何で覚えてこないの!」って。もう何度泣いたか分からないです。特にヤバかったのが『愛さえあればなんにもいらない』という曲。あれ、ものすごく振りが細かくて。今、当時のリハーサル動画を観ると、2人だけ関係ないところで動いているから、「まぁこれは怒られて当然だよな」って(笑)。
太田 アンジュルムの振付って特殊で、全員で揃えて踊るというより、1人ひとり別の動きをするところが何カ所もあるんですよ。慣れるまで、すご~く苦労しました。というか、今でも苦労しています(笑)。
──今後、どういうアイドルになりたいと考えていますか? 唯一のオリジナルメンバーでリーダーの和田さんの卒業も控え、グループとしても大変な時期だと思いますが。
太田 ホールツアーの初日、和田さんにこう言われたんです。「自分がしたいことをして。そして、それをパフォーマンスとして見せて」って。それで私、考え込んじゃったんですね。「自分がしたいことって何だろう?」って。正直言って私、今の段階ではまだその「自分がしたいこと」が見つけられていません。和田さんが卒業する6月18日までに、何とかそれを見つけたいと思っているんですけど。安心して卒業していただきたいですから。
伊勢 和田さんは「自分が作ってきたアンジュルムを継続させる必要はない。それより新しいアンジュルムを作ってほしい」ってよく言うんです。もちろん話としては分かるんですけど、「じゃあ新しいアンジュルムってどういうもの?」って考えたとき、何も思い浮かばなくて……。私はまだ至らぬところばかりだし、まずは和田さんが作り上げてきたアンジュルムの形をしっかり支えられるメンバーになりたいです。
──アンジュルムでは、どういうキャラでいきたいと考えています?
太田 ハロプロ研修生北海道ではムードメーカーって呼ばれることもあったんです。でも、アンジュルムにはいっぱいいるじゃないですか。竹内朱莉さん、室田瑞希さん、佐々木莉佳子さん……。今さら私が出る幕もない気がするんですよ(笑)。でも、どうなんだろうな。キャラって自分では見つけられないかもしれないですね。他人に指摘されて、初めて気づくような気がするんです。
伊勢 キャラというよりは姿勢の問題として、私は川村文乃さんみたいになりたいと思っています。ファンの方はもちろん、メンバーやスタッフさんに対しても常に丁寧な態度で接していますから。人間として素晴らしいなと思うし、少しでも近づけたらって考えています。
▽太田遥香(おおた・はるか)
2003年10月21日生まれ、北海道出身。B型。ニックネームは「はーちゃん、はち」。2018年11月23日にパシフィコ横浜 国立大ホールで行われた秋ツアー『電光石火』公演にて、アンジュルム7期メンバーとしてお披露目された。ハロプロ研修生北海道からデビューするのは太田が初。
▽伊勢鈴蘭(いせ・れいら)
2004年1月19日生まれ、北海道出身。A型。ニックネームは「れいら、れらたん」。2018年11月23日にパシフィコ横浜 国立大ホールで行われた秋ツアー『電光石火』公演にて、アンジュルム7期メンバーとしてお披露目された。4期メンバー・上國料萌衣ぶりに一般オーディションからのグループ加入となる。

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