17日(月)、日本武道館で開催されたJuice=Juiceリーダー宮崎由加の卒業コンサート。宮崎が「この先もみんなならJuice=Juiceを最高にしてくれるって、もう分かります」と語った通り、そこで繰り広げられたのは、実力派メンバーによる圧巻のステージングだった。


これほど悲壮感とは無縁の卒業公演も珍しいのではないか。卒業する宮崎由加本人が「この先もうまくいくと思います、私なら」と力強く宣言したことに加え、Juice=Juice新体制が無限の可能性に満ち溢れていたからだ。

コンサート終盤ではメンバーが涙で顔を曇らせる場面もあったが、最後のナンバー『未来へ、さあ走り出せ!』では大はしゃぎで破顔一笑。立錐の余地もないほど埋まった日本武道館の大観衆も、宮崎を含めた11人の新たな旅立ちを後押しするようにエールを送っていた。

Juice=Juiceの無限の可能性。まずは圧倒的な歌唱力。
歌の上手なメンバーが数名いるグループはよく見かけるが、Juice=Juiceは全員が歌えるクイーンやビートルズのような集団なのだ。武道館のような大会場だと、後方の座席からはダンスの揃い方などが伝わりづらいことが多い。しかし、歌声はどんなにステージから離れていても伝わってくるのである。

高木紗友希の黒っぽい本格派ボーカル、宮本佳林の大向こう受けを狙ったようなアイドルボイス、金澤朋子のセクシーかつアンニュイな歌唱法、段原瑠々の硬軟織り交ぜたテクニシャンぶり……卓越したスキルに裏打ちされた個性たっぷりの歌を浴びていると、多種競技ともされるアイドルの本質はやはり歌なのではないかと再確認させられる。

そしてビジュアルである。ルックスは個人の趣味で左右する要素も多いので断言することは難しいのだが、それでも「可愛い」と断言したくなってしまうのがJuice=Juiceだ。
「美人」という単語を具現化したような植村あかり、童顔でありつつコケティッシュな魅力も振りまく稲場愛香……。スタイルも圧巻で、ズラリとステージに並んだときの洗練された立ち姿はデビュー当時の少女時代を想起させる。

Juice=Juiceの歴史を振り返ってみると、2017年6月に大きな転換点を迎えたことがわかる。梁川奈々美と段原の加入である。

グループはこれまでメジャーでシングル(配信限定を除く)を12枚リリースしているものの、このうち9枚は5人時代。ファンの間でも「Juice=Juiceは5人」というイメージは確固なものになっており、メンバー加入と卒業を繰り返す
に関するニュース">モーニング娘。/アンジュルム型ではなく、解散(活動休止)するまでメンバー加入をしないBerryz工房℃-ute型で突き進むと信じられていたのだ。

それだけにJuice=Juiceの取った方針はリスキーなものだった。

だが蓋を開けてみたら、この采配が見事に的中。2人は組織内に新風を吹き込み、グループ名の由来となっているフレッシュさも倍増させた。パフォーマンス面でもキャラクター面でも魅力が増したのは明らかで、メンバーもファンも「これは!」という手応えを掴んだのではないか。


その後は梁川が学業のために卒業するものの、武道館公演の5日前には工藤由愛と松永里愛の新加入を発表。2人は今年5月の「Hello! Project 研修生発表会2019 ~春の公開実力診断テスト~」でもダンス賞とベストパフォーマンス賞を獲得するなど、研修生ながら超即戦力と期待されている人材だ。その上、キャラクターも際立っている。

今のJuice=Juiceに死角はまったく見当たらない。「リ―ダー・金澤/サブリーダー・高木」という新人事もすでに申し分なく機能しているようだし、段原や稲場と同様、工藤と松永の人気に火がつくのもさほど時間はかからないと予想される。

宮崎が安堵の表情を浮かべながら最後のステージを終えたのは、未来のJuice=Juiceに対する信頼感の証ゆえだったはず。
これから迎えるJuice=Juiceの黄金時代を初代リーダーは「みなさんと仲間、オタクの立場」で見守っていくことになる。