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5話では、九条里奈(松岡茉優)が勤務する鳳来高校が文化祭に向けて準備する生徒達の様子が描かれる。里奈は体育館で行われるダンス大会の責任者として瑞奈ニカ(詩羽)を指名。瑞奈はプロのミュージシャンとして活動しており、学校外では高い人気を得ている。その一方で、学校内ではその人気に対する嫉妬だけでなく、また瑞奈自身が個性的な性格のために「変わっている」「調子に乗っている」といった視線を向けられており、クラスに馴染めているとは言い難い。
実際、ダンス部に所属する生田やよい(莉子)から「有名人風吹かせて、私達の青春をぶち壊すのだけはやめてね」となかなか厳しい言葉をぶつけられるなど、瑞奈も当初責任者になることに否定的だった。それでも、里奈や里奈の友達・智美(森田望智)から説得を受けて快諾。それからはクラスメイトと仲良く文化祭に向かって準備を進めていた矢先、文化祭の8日前に何者かの手によって文化祭の準備物を壊されてしまう。
この事態にクラスメイトは「有名人である瑞奈が文化祭に関わったことで襲撃されたのでは?」と考えており、それは瑞奈自身も同様。教室を飛び出して「私がこの学校の生徒だからこんなことが起きちゃった」と罪悪感を口にする。しかし、里奈に背中を押されて再び教室に戻ると、生田から「まず、謝罪はないんですか?」と糾弾される。
ただ、里奈は生田をはじめ生徒に対して「今回の事件が瑞奈さんではない生徒が、何者かに標的にされ、行われたとしましょう」「ですが、何も悪いこともせず、ただ被害に遭ったその人に『お前が調子に乗っていたせいだ』と追い打ちをかけますか?」と話した。
今現在、著名人の“お騒がせ”に関する謝罪を見聞きすることが増えた。
その背景には「調子に乗っているから、有名だから、人と違うから責められても仕方がない」「被害者だったとしても、そういう人間は謝罪しなければいけない」といった認識が根強いことが挙げられる。
加えて、何かしらの謝罪が連日報じられており、“謝罪”が日常的になってしまい、謝罪本来の意味を私達が見失っているからではないか。SNSの影響によって謝罪を何かにつけて要求する人が増加した昨今、謝罪とはどういうものなのかを考えるキッカケを与えるシーンのように感じた。
ちなみに謝罪に関して言及されるシーンは5話だけではない。3話冒頭では教室の黒板に「九条里奈を殺害する」と書かれていたことを受け、職員室で九条は他の教師達に「お騒がせしてしまい申し訳ありません」と頭を下げる。
その後、里奈と鵜久森叶(芦田愛菜)が一緒に昼食をとっている際、その様子を見ていたという鵜久森は「なんで辛い目に遭った人がみんなの前で謝らなきゃいけないのかって」「よくネットとかでも『お騒がせしてすいません』って傷ついている人が謝るのを見て、いつも納得いかなくて」と口にする。
この言葉を聞いたことにより、里奈が3年D組の生徒から“担任変更の嘆願書”を出されたことを教師陣から聞かされた時、「また、お騒がせしてしまい」と謝罪しようとした瞬間に鵜久森の言葉を思い出して、謝罪の意を飲み込む。そして、「申し訳ないことをしてしまったのかは、どうかみなさんにも公平な目で見てもらえるとありがたいです」と発言した。
謝罪を要求する空気感も強く、そのうえ厄介事を避けるために「とりあえず謝っておこう」という気持ちについついなりやすい。そんな中、簡単に謝罪することを思い留まらせてくれるエピソードが続いており、相変わらず『最高の教師 1年後、私は生徒に□された』では潜在化した深刻な違和感を鮮明にしてくれる。6話以降でもどういったストーリーを見せるのか楽しみだ。
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