物語が折り返し地点に差しかかりながらも、いまだ多くの謎を残しているドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)。主人公・九条里奈(松岡茉優)を殺したのは一体誰なのか、ネット上にさまざまな考察があがる中、最近は意外な人物にまで黒幕説が浮上している。
松下洸平演じる九条蓮だ。

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そもそも同作は、生徒たちと本気で向き合う女教師を主人公に据えた学園ドラマ。まるで『ごくせん』(日本テレビ系)の熱血教師・ヤンクミや『3年B組金八先生』(TBS系)の坂本金八を彷彿とさせる教師像だが、もともと主人公の九条里奈はそこまで生徒思いの教師ではなかった。むしろ生徒たちと寄り添うことを諦め、卒業式には少しの涙も流さないような教師だったのだ。

そんな彼女が大きく変わるきっかけとなったのは、卒業式の日のこと。突然誰かに突き落とされた里奈は、気づけば一年前の始業式に戻っていた。いったい彼女の身に何が起きたのか、なぜ殺されなければならなかったのか。わかっていることはただ一つ。里奈を殺害したのは、自身が受け持っていたクラス――3年D組の「誰か」ということだった。

ここから里奈は自分の死の未来を変えるために、生徒たちと本気でぶつかっていくようになるのだが、いまだに犯人の目星はつけられていない。

現在ネット上には、クラスのリーダー格である相楽琉偉(加藤清史郎)、彼とともにクラスを牛耳る西野美月(茅島みずき)、謎多き哲学的な生徒・星崎透(奥平大兼)など、さまざまな犯人候補があがっている。

作中や公式サイトでも「生徒に殺された」とある以上、そこがブレるわけにはいかないので、里奈を殺した犯人は3年D組の誰かでほぼ間違いないのだろう。
しかしその生徒を裏で操っている人物がいたとしたら……。もし本当の黒幕が里奈を殺すようそそのかし、1年後の卒業式でそれを決行したのだとしたら……。

黒幕が3年D組の誰かだとは限らない。里奈のタイムリープを知っており、誰よりも近くで彼女を支えている夫の九条蓮が“黒幕”である可能性も十分あり得るのだ。

ドラマを視聴し、蓮の人柄を知っている人からすればあまりにも突飛な考察に思えるかもしれない。だが彼に黒幕説が浮上した背景には、もちろんいくつかの理由が存在する。

<その1>里奈のタイムリープに対してそこまで驚かない
例えば蓮は、里奈がタイムリープしているという事実をなんの疑いもなく受け入れていた。どれだけ信頼している人でも「実は人生2周目なんだ」と言われたら、少しくらい戸惑ってしまうものだろう。

しかし蓮の反応は「OK、わかった」のひと言だけ。タイムリープのことを打ち明けた里奈のほうが戸惑ってしまうほど、やけに状況を理解するのが早かったのだ。

元々彼は人を疑うことをしない人間で、里奈のことも心から信用していた……と言われればそれまでの話だが、仮に蓮が黒幕だとすれば話はだいぶ変わってくる。すでにこのときタイムリープの存在を知っていたか、あるいは蓮自身もタイムリーパーだったのもしれない。
だからあっさりとした反応を見せたのだと考えた方が、辻褄が合うのではないだろうか。

<その2>いまだはっきりしない離婚の理由
蓮は伴侶に理解のある良き夫のように思えるが、実は第2話で一度、里奈に“離婚”を切り出している。その理由については「ずっとこの日々が続くのが怖くなったのかもしれない」と曖昧な回答しか出しておらず、いまいち本心が見えてこない。

タイムリープの話をされても一切疑わないほど、里奈を心から信頼している夫がはたしてそんなフワフワとした理由で離婚を切り出すだろうか。里奈に伝えるとまずい理由だったからこそ、曖昧な態度しか取れなかったのではないだろうか。

結局物語終盤で里奈が本音を語り、それに心動かされた蓮が考えを改める形に落ち着いたが、まだ二人の離婚問題は終わってないようにも感じる……。

<その3>里奈の友人の「こいつが裏切らなければな」発言
8月19日に放送された第6話「拝啓、今を生きるすべての貴方へ」では、里奈の誕生日を祝うために友人の勝見夏穂(サーヤ)や早乙女智美(森田望智)が自宅にやって来た。もちろん誕生日会には蓮も参加していたが、そこで今年の抱負を語る里奈に対して夏穂が「こいつが裏切らなければな」と発言する場面が――。

恐らく彼女自身は、蓮が一度離婚を切り出したからこそ「こいつが裏切らなければな」と発言したのだろう。だが蓮が本当に黒幕だった場合、夏穂の発言は今後の行く末を暗示する伏線になっているとも考えられる。

<その4>文化祭で鵜久森に声をかけたワケ
蓮が疑いの目を向けられている最大の理由が、第5話で開催された文化祭での一件だ。彼は文化祭にわざわざ足を運んでおきながら、里奈に会いにいくわけでもなく、3年D組を訪れ、里奈の教え子の一人である鵜久森叶(芦田愛菜)に声をかけていた。


だがなぜ彼女に声をかけたのか、今のところ明らかになっていない。そして第6話で鵜久森もまた里奈と同じタイムリーパーであることが判明し、物語終盤で何者かに呼び出され、そのまま命を落としてしまう。

その何者かと対峙した際、鵜久森は「あなたがこんなこと……」と怪訝な表情を浮かべていた。彼女の発言から察するに、そこには意外な人物が待ち受けていたのだろう。だとすれば鵜久森をいじめていた相楽や西野では辻褄が合わないし、そもそも同級生に対して「あなたが……」と仰々しい言い方をするだろうか。

もちろんここまでの話は推測の域を出ないので、蓮がまったくの無実という可能性も大いにあり得る。だがこのようにさまざまな考察ができるのも、『最高の教師』を見るうえでの一つの楽しみ方だろう。物語が第2章に突入した今、どのような真実が明らかになるのか、今後の展開も見逃せない。

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