現在放送中のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』。一人の少女が梅丸少女歌劇団(USK)に出会い、“福来スズ子”としてスター歌手になるまでの人生が描かれている。
現在はブギの女王としてすっかり貫禄のあるスズ子だが、USK時代のおてんばな姿が印象に残っている視聴者も多いだろう。『ブギウギ』には、かつて笠置シヅ子さんが所属していたOSK日本歌劇団の劇団員が多数出演している。今回、制作統括・福岡利武チーフプロデューサーに、現役劇団員を起用した理由や、撮影時のエピソードを聞いた。

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「『ブギウギ』において歌劇団というのはとても大切な場面だったと思います。スズ子にとって大事な人たちと出会う場所ですし、子役から本役につなぐのも歌劇団の場面でした」

少女期のスズ子を演じたのは、子役の澤井梨丘。顔立ちや雰囲気が「趣里さんとそっくり」と話題になった。そして、USKに入団したスズ子をビシバシと指導したのは、OSKの男役スター・翼和希が演じる橘アオイだった。

OSK日本歌劇団は、1922年(大正11年)に松竹楽劇部として創設。「ダンスのOSK」として注目を集め、今もラインダンスが名物の一つとなっている。

「OSKの方に入っていただくことで、舞台人としての関係性や舞台人としての心意気を、より感じられるんじゃないかと思ったんです。思った以上に上手くコミュニケーションをとって、団結できたと感じています。趣里さんや他の出演者の皆さんも本当の歌劇団のメンバーになるために努力してくださいました。
OSKの皆様の力をお借りして、歌劇団としての説得力や空気感を作れたんじゃないかと思います」

“女性のみで構成される歌劇団”という特殊な組織をリアルに描くには、その環境で日々活動している劇団員の力が必要だったというわけだ。

また福岡チーフプロデューサーは、スズ子が“歌劇団出身”の歌手であることを丁寧に描きたかったと話してくれた。

「スズ子が歌劇団で苦労してきたことや、踊りから歌の時代に移り変わるところも描ければと思っていました。そのためにOSKの方たちと、お辞儀の練習や挨拶の練習をしたんです。喋っている先輩がいたらその人の顔をしっかり見て聞く、といった舞台人の基礎をしっかり教えてくれました」

一致団結し、お互いに切磋琢磨した撮影現場は、まさに歌劇団そのものであったことだろう。

「OSKの皆さんからは、笠置シヅ子さんを含む先輩方に対するリスペクトをすごく感じました。『OSKを絶やしてはいけない』という使命感もあるのだと思います。そんな思いの中で『ブギウギに出られて良かったです』と言ってくださる方が多くいらっしゃったのが印象的でした。ドラマの撮影期間とOSKの公演の合間が上手く重なって撮影を進めることができ、良い出会いのタイミングを感じました」

『ブギウギ』をきっかけに注目度を高めたOSK日本歌劇団。息を合わせたラインダンスの場面や、圧巻の「桜咲く国」のステージに、多くの視聴者が心震わせたことだろう。スズ子の行く末を見守ると共に、今後のOSKの活躍も楽しみに期待したい。

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