中国南部・広州に勤務していた米国政府職員が「奇妙な音」を受け体調不良を訴えていた件で、帰国後の精密検査の結果、軽度の脳損傷を負っていたことが分かった。米国務省が5月23日に発表した。事態を受けて、在中米国大使館は駐留する米国人に、奇妙な音に警戒するようメールを送信している。
米国務省ナウアート報道官によると、この職員は2017年12月から2018年4月にかけての在勤中に、聴覚や気圧感覚の変化など様々な異常を体験した。精密検査のため帰国し、病院で検査したところ、軽度外傷性脳損傷と診断された。一般的には脳震盪(しんとう)と呼ばれる。
この事件を受けて、在中国米国大使館は政府職員に23日、メールを送信している。「米国政府は深刻に受け止めており、中国にいる職員たちに通知する」と記されている。
ワシントンで外交委員会の会議に出席していたマイク・ポンペオ国務長官は、奇妙な音による被害について、2017年にも在キューバ米国公館職員にも起きていたと語った。
FOXニュースによると当時、その音を聞いたことのある20人以上の米国大使館職員と家族は、吐き気、めまい、聴覚障害などに苦しんだ。AP通信によると、現在も一部の人々は発語の困難など後遺症がみられる。体験者によると、その奇妙な音は「強烈な振動」「大きな音」「金属が粉砕した音」と例えられ、部屋のごく一部でしか聞き取れないものだという。
米国務省は当時「原因不明の病気から米市民を守ることは難しい」と判断し、同年10月までに非常勤職員と家族をキューバから出国させた。