
中国政府と国連が先日、中国の電子商取引大手アリババの本社からほど近い中国・杭州市に、国連初のビッグデータ研究所を設置する協力意向書に調印した。
専門家は、これを「中国が国連の看板を利用し、グローバル監視網を拡大する」と懸念している。
「米国政府が中国への情報の流れを制限する中、ニューヨークの国連事務局は、北京と協力して、世界規模の合同データハブを中国国内に構築する予定だ」と米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は「ウォール・ストリート・ジャーナル」に最近掲載されたハドソン研究所の研究員クローディア・ロゼット(Claudia Rosett)氏の寄稿文を引用して報じた。
同計画は国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の一環。国連加盟諸国のデータを分析するための研究センターや、中国の偵察衛星を利用する地理空間情報の研究センターの設立を含む。
2019年6月に、中国国家発展改革委員会副主任の寧吉喆氏と国連の劉振民事務次長らが上海で同計画の「協力意向書」に署名した。中国の元外交副大臣だった劉氏は現在、国連経済社会局の局長を務めている。2007年以降、中国政府の高官が同局の局長の座についている。
習近平国家主席は9月22日の国連総会のビデオ演説の中で、「中国は国連の地球規模地理空間情報イノベーションセンターと持続可能なビッグデータ国際研究センターを開設する」と同合意を宣言した。
地理空間センターは、浙江省徳清県に作られる予定であり、ビッグデータ研究センターは地理空間センターから車で1時間もかからない杭州市に作られる予定となっている。