高齢化社会の今、だれもが望むのは、「100年使える脳」。開頭手術やMRIの画像診断などを含め、1万人以上の脳を診てきた“脳の名医”が、実際に診療室で患者にアドバイスし、自身も実践中である「脳のメンテナンス法」を提案する『100歳まで冴える脳習慣10』(著者:石川久/主婦と生活社)から一部を抜粋して紹介します。


今回のテーマは『「アルツハイマー型」「脳血管型」を防ぐ 忙しくても続けられる「食べ方の工夫」』。
○「アルツハイマー型」「脳血管型」を防ぐ 忙しくても続けられる「食べ方の工夫」

「アルツハイマー型認知症」にしても「脳血管型認知症」にしても※、共通しているのは、予防のためには血糖やコレステロール、血圧のコントロールが重要だということです。そのためには、「食生活と運動習慣を改善しましょう」という話になるわけですが、特に、「アルツハイマー型」の大きなリスク要因の一つである糖尿病を防ぐためにも、まず食事のとり方からスタートすることをおすすめします。

いくつか例を挙げると、

ゆっくりと時間をかけて、よく噛んで食べる。
昼食だけダイエット食にする。
もう一口食べようかどうかと迷ったら食べない。
ご飯の量を、一口分減らす

などポイントを絞って実践すると無理なく続けやすいと思います。

ご飯を一口分といっても、エネルギー量にすれば、30kcalほど。1日3食、ひと口ずつ減らせば、それだけで1日に100kcalを減らすことができます。もちろん、お代わりをしていた方は、それをやめるだけで、1食で150kcal分の減量になり、その分、血糖値の上昇を抑えられます。

食事を減らすと、食間にお腹がすきますが、そのときは少しだけ間食を食べるとよいと思います。極端な飢餓状態になってから次の食事を食べると、そこで血糖値が急上昇してしまうからです。
一般にはダイエットのためには、「間食を控えて」といわれますし、もちろん、食べすぎるとてきめんに肥満のもとになります。でも、血糖値の上昇と下降をおだやかにするために、食間に少量をタイミングよく食べるのは、一つの血糖コントロールの知恵です。

※「アルツハイマー型認知症」→「アミロイドβ」と呼ばれる老廃物、いわば「脳のゴミ」ともいえる物質が、脳内に蓄積されることが原因の一つとされている認知症
※「脳血管型認知症」→脳梗塞や脳出血によって脳の神経細胞がダメージを受けることによって起こる認知症
○「早食い」は血糖値スパイクを引き起こす諸悪の根源

ここで挙げた血糖値対策のなかでも、私が特に効果的だと思うのは「ゆっくりと時間をかけて、よく噛んで食べる」こと。つまり、早食いを避けることです。その理由にも脳の働きが関係しています。

脳の視床下部には、満腹になったことを感知して食欲を抑える指令を出す「満腹中枢」があります。早食いをすると、その満腹中枢に「もう十分に食べた」という情報が伝達される前に、どんどん箸が進み、結果的に食べすぎてしまいます。

また、容易に想像できるように、早食いすると血糖値は急上昇します。すると、おすすめなのは、すい臓はインスリンを大量に出そうとがんばるわけですが、それが食事の度に起こると、すい臓は疲弊してしまいます。その結果、インスリンを出す力が弱まって、糖尿病を招くことにもなります。ですから、時間をかけて食べることは、一時的な血糖値スパイクを防ぐだけでなく、糖尿病を遠ざけるためにも大切なのです。

さらに、よく噛めば、その咀嚼の刺激によって、ヒスタミンという神経伝達物質が増え、そのことも満腹中枢を刺激して満腹感につながります。
家族や友人と食事をしていると、自分だけ先に食べ終わってしまうという方は要注意です。
○脂は調理のひと手間で効率よく減らす

糖と並んでもう一つ、摂りすぎると動脈硬化を引き起こす原因になるのが動物性脂肪です。植物性脂肪でも食べすぎれば肥満のもとになりますが、より悪玉度が高い肉類の脂質をターゲットにすると効率的に脂を減らせます。

おすすめなのは、

脂質のかたまりである肉の脂身や鶏皮は取り除いて食べる。
肉類は、網焼きにする、蒸す、ゆがくなどして脂を落とす。

など、調理法でひと工夫することです。

たとえば鶏皮は、1枚40gとして186kcalあり、おにぎり1個分ほどに相当します。脂質の含有量は19.2gで、これはラード大さじ2弱に含まれる脂質と同じくらいの量です。たしかに、焼き鳥でも照り焼きでも、カリッと焼けた鶏皮はおいしいのですが、ときどき楽しむ程度にしておいたほうがよさそうです。

また、ダイエットの基本としては「牛や豚は脂肪の少ない赤身肉を」といわれていますし、もちろんその通りです。でも、豚ロース肉の脂身を、調理前にカットするだけでも、かなり脂質を減らすことができます。

私自身、料理をするのは好きで、たまの休日には家で食事を作ったり、人を招い料理をふるまったりすることもあります。
そんなときの脂対策としては、たとえばかたまり肉を自動調理鍋と呼ばれる調理器具で、じっくりと加熱して脂を落とすようにしたりもします。自動調理鍋は、肉と調味料を入れて、スイッチを入れてほったらかしにするだけで、脂を減らせるうえに、脂っこさもなくなって口当たりもよくなるので重宝しています。

○『100歳まで冴える脳習慣10』(著者:石川久/主婦と生活社)

記憶力、集中力、思考力が落ちたと感じたら始めどき!もの忘れ、認知症、脳卒中、脳動脈瘤を防ぐ全身管理術。ドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」医療監修者、ベストセラー『1日1問解くだけで脳がぐんぐん冴えてくるドクターズドリル』著者が実践する、「脳に効く」生活習慣を公開。
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