高齢化社会の今、だれもが望むのは、「100年使える脳」。開頭手術やMRIの画像診断などを含め、1万人以上の脳を診てきた“脳の名医”が、実際に診療室で患者にアドバイスし、自身も実践中である「脳のメンテナンス法」を提案する『100歳まで冴える脳習慣10』(著者:石川久/主婦と生活社)から一部を抜粋して紹介します。


今回のテーマは『歯周病が脳梗塞のリスクを高めることも予防的に歯科に通って歯茎の健康を保つ』。
○歯周病が脳梗塞のリスクを高めることも予防的に歯科に通って歯茎の健康を保つ

脳梗塞の隠れたリスク要因として、近年注目されているのが「歯周病」です。これまでのさまざまな研究で、歯周病のある人は、ない人に比べて、1.4~2.8倍も脳梗塞になりやすいと報告されているのです。

その具体的な仕組みは明らかになっていませんが、歯周病を引き起こす歯周病菌が関係しているのは確かでしょう。歯みがきが不十分だと歯に歯垢が残ったままになりますが、歯垢はいわば歯周病菌の巣です。この歯周病菌が口内に増えると、歯茎が炎症を起こして歯を失う原因になるだけでなく、リンパ節に発生する炎症が隣接する動脈に炎症を起こしているのではないかと考えられています。

実際に頸動脈の手術をすると、頸動脈の周囲にリンパ節が多発していることがありますし、頸動脈は位置的にも頸部リンパ節に近いので、少なからず影響がありそうだというのは理解できます。

歯周病については、心疾患の発症率を高めるとか、糖尿病を悪化させるなど、さまざまな報告があります。歯周病ケアが、これまで以上に重要であることがわかってきているのです。日々の歯みがきはもちろん、歯科を定期的に受診して歯垢を取り除いたり、指導を受けたりするのも健康長寿の秘訣でしょう。

○『100歳まで冴える脳習慣10』(著者:石川久/主婦と生活社)

記憶力、集中力、思考力が落ちたと感じたら始めどき!もの忘れ、認知症、脳卒中、脳動脈瘤を防ぐ全身管理術。ドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」医療監修者、ベストセラー『1日1問解くだけで脳がぐんぐん冴えてくるドクターズドリル』著者が実践する、「脳に効く」生活習慣を公開。
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