親子丼発祥のお店として、行列が絶えない東京・人形町の「玉ひで」が店舗をリニューアル。3年半の期間を経て2025年11月1日(土)にオープン。

創業は1760年。1891年に親子丼を考案して以来、肉や卵にこだわって常に最良を求める伝統は、海外からも親子丼を食べに来る、日本を代表する名店です。

|東京の郷土料理「親子丼」発祥の店

鷹の訓練師「鷹匠(たかじょう)」として将軍家に仕えていた鐵右衞門が、宝暦10年(1760年)に開いた軍鶏鍋の店が「玉ひで」の始まりです。そして明治24年(1891年)、お客のひとりが軍鶏鍋の残りを生卵で閉じてご飯と食べた様子を参考に、5代目の女将とくが親子丼を考案。高級料理店として人気だった当時、汁かけ飯を出すと店の格が落ちるとして出前でのみ提供していたそうです。

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▲2025年11月1日オープンの新店舗 <画像提供:玉ひで>

1階と2階は旧店舗を思わせる白壁と瓦屋根。3階からの壁の格子は見る角度によって軍鶏の姿が浮かびあがる仕掛けです。11月からは1階でのみ営業を再開し、2階は年内に日本酒をメインにするバーがオープンする予定です。

親子丼発祥のお店。東京・人形町の名店「玉ひで」がリニューアル。こだわりの味が復活

▲玄関にかかる真新しい暖簾

店内には古い梁が象徴的に使われ、“江戸黒” とも称された黒漆喰など伝統的な素材を使いながら、江戸時代の料理屋をモダンに表現しています。

親子丼発祥のお店。東京・人形町の名店「玉ひで」がリニューアル。こだわりの味が復活

▲和モダンな店内

格子窓など木材をふんだんに使ったほっと落ち着く店内。旧店舗では靴を脱いで座敷に座るお店でしたが、インバウンドのお客さんも多いため新店舗では靴のまま利用できるテーブル席になりました。またテーブルの高さは女性客が丼ぶりをテーブルに置いたままでも食べやすい高さに設定しています。

|「元祖親子丼」とは

親子丼の具は軍鶏肉と卵だけで他の具材は一切使わず、スープとお漬物がセットで付きます。人形町に近い日本橋は10月になると江戸時代から続く「べったら市」が開かれる土地柄で、玉ひでの親子丼にはべったら漬けが添えられます。

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▲「元祖親子丼」¥2,800

玉ひでは開業から軍鶏鍋を提供してきましたが、明治時代に闘鶏が姿を消すと軍鶏も減少。現在は東京都畜産試験場が江戸の伝統食のひとつとして改良復活させた「東京しゃも」を使用。闘鶏用の鳥のため筋肉質で、プリっとした歯応えと強い旨味が持ち味です。卵は親子丼用に選ばれた玉ひで専用の品。味つけは宝酒造の「本格米焼酎仕込 寶本味醂」とヒゲタ醤油の高級割烹用「本膳」を合わせた割下だけを使い、砂糖を一切使わず軍鶏と卵の味を活かしています。

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▲お肉もごろごろ入っていました

セットのスープも東京しゃものガラをじっくり煮込み、余計な調味料は使わず鳥出汁をストレートに味わえます。つみれは東京しゃもの旨味が凝縮。奥深い味を堪能しました。

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▲スープは東京しゃもの旨味たっぷり

|親子丼のレパートリー

ランチメニューは「元祖親子丼」、「軍鶏づくし親子丼」、「天然白レバ入り親子丼」、「とく親子丼」の4種類。とく親子丼以外は東京しゃもが使われます。夜は「元祖親子丼(すき焼き重ね)」と「天然白レバ入り親子丼」の2種類の丼メニューのほかに、軍鶏鍋コースを用意します。

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▲烏骨鶏の生卵がつく「軍鶏づくし親子丼」¥3,700

ランチタイムをリーズナブルに楽しめる「とく親子丼」は、八代目の山田耕之亮社長が親子丼のために開発した玉ひでオリジナルの銘柄鶏「赤ろく紡ぎ鶏」を使用。

夜はテイクアウトで購入できます。

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▲「とく親子丼」¥1,900

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▲玉ひでオリジナルの丼鉢

卵を思わせる蓋つきの丼鉢を新調。メニューによって器の色が異なります。赤は「元祖親子丼」、白は「軍鶏づくし親子丼」、黒は「元祖親子丼(すき焼き重ね)」、金色は「天然白レバ入り親子丼」。器の美しさも見どころです。

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▲八代目の山田耕之亮社長

この日のプレス内覧会で挨拶をする玉ひで八代目の山田耕之亮社長。とても探求熱心な方で、鳥肉や卵のクオリティーはもちろん、味醂や醤油までこだわりぬき、料理人としても玉ひでならではの味を守ります。

都内に暮らしている人でも、人形町となると訪れたことのない人が多い街ですが、古くは江戸歌舞伎発祥の地として、今も老舗や名店の多い土地柄です。東京三大たい焼きひとつ「柳屋」や名物の人形焼き「重盛」、1837年創業の甘味処「初音」、大正8年創業のレトロ喫茶「快生軒」など、歴史のあるグルメエリア。ぜひここで「玉ひで」の親子丼を試してみてくださいね。<text&photo:湯川カオル子 予約・問:玉ひで http://www.tamahide.co.jp/>

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