佳境を迎えている2022FIFAワールドカップ・カタール(カタールW杯)のアジア最終予選。日本代表は現在グループ2位と予選突破圏内につけるが、余談を許さない状況が続いている。

残る2試合(3月24日オーストラリア戦、29日ベトナム戦)の結果次第で、本大会への出場如何が決まる。

自国開催だった2002年大会を除き、過去5大会のW杯予選も決して簡単だったわけではない。それだけに、出場が決まった試合でゴールを決めた選手は一躍「時の人」となる。この記事では、そんなW杯過去5大会の最終予選において、日本代表を本大会へ導くゴールを決めた選手たちをまとめてみよう。

1998年W杯フランス大会出場

決定ゴール:岡野雅行

日本代表の記念すべきW杯初出場となった1998年のフランス大会。最終予選で最後のゴールを決めたのは、それまで出場機会がなかった岡野雅行だった。アジアの第3代表決定戦として挑んだイラン戦(1997年11月16日)。

岡野はゴールデンゴール(サドンデス)方式となる延長戦から、最終予選で初めてのチャンスを掴んだ。

ヒーローとなる瞬間までは過酷なものとなる。日本代表は中田英寿を中心に、延長戦でも多くのチャンスを演出。しかし、決定的なシーンでのシュートミスやパスの選択をする岡野に対して、当時の指揮官、岡田武史監督が頭を抱えるシーンもあった。そんな中、中田がエリア外から打ったシュートのこぼれ球を岡野が押し込み、歓喜の瞬間を迎えた。

本大会では残念ながら出場機会も少なく目立った活躍はできなかった岡野だが、日本代表を初めてW杯へ導くゴールを決めた選手として、これから先もそのゴールシーンは見られ続けることだろう。

歴代日本代表、W杯出場を決定づけるゴールを挙げた選手たち

2006年W杯ドイツ大会出場

決定ゴール:柳沢敦

”神様”ジーコ監督が日本代表を率い、小野伸二稲本潤一ら黄金世代の集大成として臨んだ2006年のW杯ドイツ大会。本大会への切符を手にすることとなった北朝鮮戦(2005年6月8日)で、柳沢敦と大黒将志の得点が生まれている。

1次予選・最終予選でそれまでゴールがなかった柳沢は、試合67分、稲本が大黒へパスしこぼれたボールをシュートし先制点を挙げた。待望の得点がW杯本大会へ導くものになるという勝負強さを見せた。

さらに2点目を挙げて試合を決定付けた大黒は、ホームで大苦戦を強いられた最終予選初戦(2005年2月9日)の北朝鮮戦(2-1で勝利)でも決勝点を挙げている。このことからドイツ大会の最終予選においては、大黒の活躍の方を覚えているサッカーファンが多いのではないだろうか。

2010年W杯南アフリカ大会出場

決定ゴール:岡崎慎司

今でこそ日本代表における歴代得点ランキングでも上位に位置する岡崎慎司。しかし、2010年のW杯南アフリカ大会へ導くゴールを決めた最終予選ウズベキスタン戦(2009年6月6日)のときには、まだまだ代表戦士としては駆け出しだった。

岡崎にとってW杯予選では初先発となったこの試合。前半早々(開始9分)のチャンスを生かした得点が、結果的には決勝点となった。中村憲剛のパスに抜け出した岡崎が左足でシュートし、GKに弾かれたところを再び頭で押し込んだ。

W杯本大会では、岡崎は4試合すべてに途中出場。デンマーク戦(2010年6月25日)ではゴールも挙げ、日本代表のベスト16に大きく貢献している。

歴代日本代表、W杯出場を決定づけるゴールを挙げた選手たち

2014年W杯ブラジル大会出場

決定ゴール:本田圭佑

自ら得たPKになった瞬間ボールを抱え、中央に蹴り込む本田圭佑の姿。2014年のW杯ブラジル大会への出場を決めた最終予選オーストラリア戦(2013年6月4日)のゴールシーンは、本田メンタルの強さを象徴する。

それまでのW杯最終予選とは違い、勝利で本大会出場を決めることは叶わなかった同試合。しかし先制点を許し敗戦かと思われたところ、最終盤に1-1のドローに持ち込んだこの本田のゴールで安堵したサッカーファンは多いに違いない。

当時の日本代表には、本田(ミラン)長友佑都(インテル)香川真司マンチェスター・ユナイテッド)など、欧州のビッグクラブに所属する選手が多くいた。期待とプレッシャーも相当なものだったことは、想像に難くない。ド真ん中真っ向勝負した本田の姿は、今後もサッカーファンの記憶に残ることだろう。

2018年W杯ロシア大会出場

決定ゴール:浅野拓磨

同レギュレーションで行われたアジア最終予選において、初戦が敗戦のチームの突破率0%。

そんな中で2018年のW杯ロシア大会への道は、絶望的なスタートとなった。苦境に立たされながらも勝ち点を積み上げ、迎えたオーストラリア戦(2017年8月31日)。本大会出場への決定的なゴールを上げたのは、浅野拓磨と井手口陽介だ。

日本、サウジアラビア、オーストラリアの3チームが予選上位で熾烈な争いを繰り広げる中、勝てば本大会出場が決定するこの試合。大舞台にも関わらず当時の指揮官ヴァヒド・ハリルホジッチ監督は、まだ若い浅野と井手口をスタメンで起用。試合の序盤から両選手ともに積極的なプレーを見せた。

浅野は、試合41分に裏への抜け出しからの貴重な先制点。ラインの死角を突く得意の形から生まれたこのゴールが、結果的にW杯出場を決定づけるものとなっている。

後半は日本キラーとして知られるティム・ケーヒルの投入など、攻勢を仕掛けてきたオーストラリア。そんな相手にとどめを刺したのは82分の井手口の得点だ。日本のサッカーファンには井手口のゴールの方が印象深い方も多いだろう。

歴代日本代表、W杯出場を決定づけるゴールを挙げた選手たち

カタールW杯のアジア最終予選では、残り2試合で誰がゴールを決めてくれるのか。そして誰のゴールが日本代表を本大会へ導くのか。ブラジル大会、ロシア大会に続いて、3度目のオーストラリア相手の最終予選突破をは決められるか。注目の一戦は3月24日の目前に迫っている。