日本では未だに偏見のある「タトゥー」だが、最近では海外での定着からもファッションとして捉えられ、これまでの認識とは少しずつ異なるものへと変化してきた。サッカー界ではタトゥーの入った日本人Jリーガーはまだ少ないが、海外サッカー選手と言えば全身タトゥーだらけの者も多い。
海外では、日本語や漢字のタトゥーも1つのスタイルとして定着している。日本人からするとその意味に首を傾げてしまうものや、おもしろタトゥーとして話題になることもあるが、それぞれのより自由な解釈が込められているようだ。ここでは、日本語のタトゥーが入った海外サッカー選手6人をまとめた。
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アントニオ・カッサーノ「安東尼奥」
現役時代にレアル・マドリード(2006-2008)、ミラン(2010-2012)、インテル(2012-2013)などでプレーした元イタリア人FWアントニオ・カッサーノ(2018年に引退)。自分の名前「アントニオ」を当て字にした「安東尼奥」が腕に刻まれている。
確かに音読みでは「安(あん)東(とう)尼(に)奥(おう)」と読めないこともない。当て字は意味に関係のない漢字並びのため、日本語というより中国の言葉に見える。
カッサーノがインテルでプレーした時代、長友佑都(2011-2018インテル所属)ととても仲が良かったことは有名な話だ。長友に影響を受けてこのタトゥーを刻んだ可能性も考えられるだろう。
エデン・アザール「ジャンニス」
チェルシーのエースストライカーとして活躍(2012-2019)後、2019年6月にレアル・マドリードへ移籍したベルギー代表FWエデン・アザール。左わき腹に「ジャンニス」というカタカナが彫られている。
これは2010年にまだ19歳だったアザールと妻のナターシャ・バン・ホナッカーの間に生まれた長男の名前だというが、名前の由来を確認すると、スペルが間違っている可能性がある。
アザールの長男の名前は、フランスのリールの下部組織(2007-2012)時代の友人、ヤニス・サリビュル(現在トルコ1部ファティ・カラギュムリュク所属)に由来する。サリビュルが「アザールの長男は僕と同じヤニスという名前で、僕の長男は彼と同じエデンという名前なんだ」とコメントしており、正しいカタカナ名は「ヤニス」だと思われる。
セルヒオ・ラモス「狼」
レアル・マドリードのディフェンスの柱として15年間以上(2005-2021)活躍し、2021年7月にパリ・サンジェルマンに移籍したスペイン代表DFセルヒオ・ラモス。全身に多くのタトゥーを入れているなか、首元に「狼」の漢字が確認できる。
なぜ「狼」の漢字を選んだのかは謎のまま。しかし、右肩には大きめの狼の顔と、満月の夜に吠える小さな狼の姿も刻まれており、ラモスはこの動物に特別な感情を持っている可能性が高い。
ケヴィン=プリンス・ボアテング「家族、健康、愛、成功、信任」
欧州各地でプレーし、2021年6月に古巣のヘルタ・ベルリン(ドイツ1部)に復帰した元ガーナ代表MFケヴィン=プリンス・ボアテング。脇腹には「家族、健康、愛、成功、信任」の漢字が刻まれている。
現在、ボアテングはまさにそれら重要な言葉たちを自分の人生に取り戻そうとしているようだ。まず、近年関係悪化が噂された妻のメリッサ・サッタ(イタリアの女優)とは離婚し、現在はインフルエンサーのヴァレンティーナ・フラデグラダと新たな「愛」を育み「家族」を作ろうとしている。
そしてタバコやお酒などを控えずプロに相応しくない生活を送ってきたことで知られるが、数年前に断って「健康」を。そのことで失った「信任」を。1部クラブからのオファーが届かなくなり、2020年モンツァ(イタリア2部)での経験をきっかけに取り戻すことを決意したという。「成功」への道は、再び開かれるのだろうか?
ラジャ・ナインゴラン「イーヴ」
インドネシア人としての誇りを有し、イタリアとベルギーの国籍も持つ元ベルギー代表MFラジャ・ナインゴラン。2021年8月に長らくプレーしたセリエAを離れ、現在は日本代表MF三好康児も所属するロイヤル・アントワープ(ベルギー1部)でプレーしている。
金髪のモヒカンヘアーと全身のタトゥーがトレードマークとなっているナインゴランだが、右腕に刻まれているのは謎のカタカナ「イーヴ」だ。その意味は未だ明らかになっていない。
人の名前にも思えるが、妻はクラウディア、娘はアシャであり、家族にはそう名乗っている人物が存在しないと思われる。ちなみにナインゴランの名前「ラジャ」はインドネシア語で「王」を意味。自身はオランダ語、英語、フラマン語、イタリア語を話せて、フランス語も理解できる。
ボージャン・クルキッチ「一期ー会」
バルセロナの下部組織で育ち、ローマ(2011-2012)やミラン(2012-2013)などでのプレーを経て、2021年8月にヴィッセル神戸に移籍したスペイン人FWボージャン・クルキッチ。2021年10月に自身のSNSで日本語のタトゥーを入れたことを報告したばかりだ。
刻まれたのは「一期ー会」という四字熟語。「一期一会は、過去や未来に囚われることなく、今という特別な瞬間に集中することを教えてくれる」と、ボージャンはこの語を選んだ理由を説明している。
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