2月23日に開幕戦を迎える2024明治安田J1リーグ。参加クラブは昨2023シーズンから2つ増え、全20チームが優勝や残留を争うこととなる。
このシリーズでは、今シーズンJ1リーグで戦うクラブの補強に注目。今冬の移籍市場(1月23日時点)における戦力変化について相対評価5段階(A:大きくプラス、B:プラス、C:ややプラス、D:マイナス、E:大きくマイナス)で4クラブずつまとめていく。なお、順位予想やクラブ全体の戦力診断ではなく、移籍状況による戦力評価ランキングとなっている。
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4位:FC東京
移籍・加入による戦力評価:B
主な移籍選手(OUT)
- GKヤクブ・スウォビィク(コンヤスポルへ完全移籍)
- DF木村誠二(サガン鳥栖へ期限付き移籍)
- MF塚川孝輝(京都サンガへ期限付き移籍)
- MF内田宅哉(名古屋グランパスへ完全移籍)
- MFアダイウトン(ヴァンフォーレ甲府へ完全移籍)
- MF渡邊凌磨(浦和レッズへ完全移籍)
主な加入選手(IN)
- GK波多野豪(V・ファーレン長崎から復帰)
- MF高宇洋(アルビレックス新潟から完全移籍)
- MF原川力(セレッソ大阪から完全移籍)
- MF遠藤渓太(ウニオン・ベルリンから期限付き移籍)
- MF荒木遼太郎(鹿島アントラーズから期限付き移籍)
- FW小柏剛(北海道コンサドーレ札幌から完全移籍)
4位は、近年積極的な補強を敢行しているFC東京。今回の移籍市場でも中盤より前に多数の即戦力を加えた。ボランチにはアルビレックス新潟からMF高宇洋を獲得し、セレッソ大阪から期限付きで加入していたMF原川力を完全移籍に移行した。
MFアダイウトンやMF渡邊凌磨を失った2列目には、ドイツからMF遠藤渓太、北海道コンサドーレ札幌からFW小柏剛、鹿島アントラーズからMF荒木遼太郎を獲得した。また、ヤクブ・スウォビィクが退団したGKにはV・ファーレン長崎の守護神となっていた波多野豪を復帰させており、穴らしい穴はない。
主力の移籍はあったが、単純な戦力は確実にアップしたといえるためB評価では最上位とした。ただし、積極的な補強とは裏腹に新シーズン開幕後は上位争いと無縁になるケースが続いているのも事実。ハイラインハイプレスの攻撃的なサッカーを志向するピーター・クラモフスキー監督のもと、今年こそ上位争い、さらには優勝争いに絡むことができるだろうか。

3位:町田ゼルビア
移籍・加入による戦力評価:A
主な移籍選手(OUT)
主な加入選手(IN)
- GK谷晃生(ガンバ大阪から期限付き移籍)
- GK山口瑠伊(水戸ホーリーホックから完全移籍)
- DF昌子源(鹿島アントラーズから完全移籍)
- DFドレシェヴィッチ(ファティ・カラギュムリュクから完全移籍)
- DF林幸多郎(横浜FCから完全移籍)
- MF柴戸海(浦和レッズから期限付き移籍)
- MF仙頭啓矢(柏レイソルから完全移籍)
- FW藤本一輝(大分トリニータから完全移籍)
- FW荒木駿太(サガン鳥栖から完全移籍)
- FW藤尾翔太(セレッソ大阪から完全移籍)
- FWナ・サンホ(FCソウルから完全移籍)
3位は、2023シーズンのJ2で優勝し初のJ1昇格を達成した町田ゼルビア。19人を加えた昨シーズン前と同様、今冬の移籍市場でも退団12人、新加入19人と大胆な選手の入れ替えを敢行した。
上位にランクインしたクラブほどではないものの、各ポジションに知名度と実力を兼ね備えた選手たちを加えスケールアップ。新守護神候補にはGK谷晃生とGK山口瑠伊、センターバックにはDF昌子源とDFドレシェヴィッチ、サイドバックにはDF林幸多郎、ボランチにはMF柴戸海とMF仙頭啓矢、左サイドハーフにはFW藤本一輝、最前線にはFWナ・サンホ。期限付きから完全移籍に移行となったFW荒木駿太とFW藤尾翔太を加えれば、昨シーズンのメンバーから総入れ替えも可能なほどで、単純な戦力の増減で見れば間違いなく大幅なプラスだ。
ただし、38人を抱える大所帯となったことでマネジメントの難易度は高くなる。序盤戦で出場機会を得られなかった選手が不満を抱える恐れもあり、シーズンを通して安定感ある戦いをできるかは、青森山田高等学校で大人数をまとめていた黒田剛監督の手腕にかかっている。

2位:浦和レッズ
移籍・加入による戦力評価:A
主な移籍選手(OUT)
- DF岩波拓也(ヴィッセル神戸へ完全移籍)
- DF荻原拓也(GNKディナモ・ザグレブへ期限付き移籍)
- MF明本考浩(OHルーヴェンへ期限付き移籍)
- MF柴戸海(町田ゼルビアへ期限付き移籍)
- MF平野佑一(セレッソ大阪へ完全移籍)
- FWホセ・カンテ(引退)
- FWキャスパー・ユンカー(名古屋グランパスへ完全移籍)
主な加入選手(IN)
- DF井上黎生人(京都サンガから完全移籍)
- DF佐藤瑶大(ガンバ大阪から完全移籍)
- DF石原広教(湘南ベルマーレから完全移籍)
- MFサミュエル・グスタフソン(BKヘッケンから完全移籍)
- MFオラ・ソルバッケン(ASローマから期限付き移籍)
- MF渡邊凌磨(FC東京から完全移籍)
- FW前田直輝(名古屋グランパスから完全移籍)
- FWチアゴ・サンタナ(清水エスパルスから完全移籍)
2位は、新指揮官とともにJ1優勝を目指す浦和レッズ。15人がチームを離れ11人が加入と多くが入れ替わったなか、ほとんどのポジションで戦力アップに成功した。唯一気になるのは、MF明本考浩とDF荻原拓也が欧州に移籍した左サイドバックだろう。
外国籍選手2人が君臨するセンターバックでは、DF井上黎生人やDF佐藤瑶大が新たなライバルとなり、FWホセ・カンテが引退しFWキャスパー・ユンカーが名古屋グランパスへ移籍したストライカーには2022シーズンのJ1得点王FWチアゴ・サンタナを獲得。また、両ウイングには2023シーズンのJ1最優秀ゴール賞を受賞したMF渡邊凌磨とオランダ1部でのプレー経験もあるFW前田直輝を確保した。
なかでも最大の目玉はMFオラ・ソルバッケン。現役ノルウェー代表にしてASローマが保有権を持つ大物で、パスセンスに秀でた左利きの選手だ。

1位:ヴィッセル神戸
移籍・加入による戦力評価:A
主な移籍選手(OUT)
- GKフェリペ・メギオラーロ(横浜FCへ完全移籍)
- DF大﨑玲央(エミレーツ・クラブへ完全移籍)
- MFフアン・マタ(契約満了に伴い退団)※去就未定
- MF泉柊椰(大宮アルディージャへ期限付き移籍)
主な加入選手(IN)
- GKオビ・パウエル・オビンナ(横浜F・マリノスから完全移籍)
- DF岩波拓也(浦和レッズから完全移籍)
- DF広瀬陸斗(鹿島アントラーズから完全移籍)
- MF齊藤未月(湘南ベルマーレから完全移籍)
- MF井手口陽介(セルティックから完全移籍)
- FW宮代大聖(川崎フロンターレから完全移籍)
1位は、2023シーズンに初のリーグ戦王者に輝いたヴィッセル神戸。AFCチャンピオンズリーグエリート参戦を見据え、戦力を維持しつつ層を厚くすることに成功した。ある程度の出場時間を得ていた選手でチームを離れたのはDF大﨑玲央(836分)のみ。2023年9月に加入し注目を集めた元スペイン代表のMFフアン・マタは、公式戦わずか10分間のみの出場で退団となった。
GKには各年代別日本代表を経験したオビ・パウエル・オビンナ、やや層の薄かったサイドバックには両サイドバックを担えるDF広瀬陸斗を獲得。中盤には元日本代表でセルティックからアビスパ福岡に期限付き移籍し主力を担っていたMF井手口陽介を完全移籍で獲得し、昨季に期限付きで加入し中盤の軸となったが8月に全治約1年という大怪我を負ったMF齊藤未月は完全移籍へと移行した。
FWにも川崎フロンターレで8得点を挙げていた宮代大聖を獲得しており、戦力では文句なしの1位だろう。この「2チーム分」ともいうべき戦力を、優勝監督となった吉田孝行氏がどのようにやりくりするのか注目したい。