ここからさらに激しくなることが予想される上位争いや残留争いに向け、J1クラブ同様J2の各クラブもこの夏戦力補強の動きが多く見られた。
ここでは、今夏の補強によって戦力アップに成功し終盤戦での躍進が期待できるクラブを3つ紹介していく。
※記事内の成績・順位は8月23日時点のデータに基づく
ベガルタ仙台:4位(13勝8分6敗)
新加入選手- FW梅木翼(レノファ山口より完全移籍)
- DF實藤友紀(横浜F・マリノスより期限付き移籍)
- DF奥山政幸(町田ゼルビアより期限付き移籍)
そんな仙台はこの夏、J1昇格をさらに近づけるため実力者の補強に成功している。まず守備陣ではDF實藤友紀、DF奥山政幸といった2名のベテラン選手を迎えた。實藤は加入後早速4試合に出場しており、守備の新たな中核として終盤戦に向けその経験値が活きる場面も多そうだ。奥山は昨年町田ゼルビアのJ1初昇格に貢献しており、實藤と同様守備にさらなる安定感をもたらす働きが期待できる。また、攻撃ではFW梅木翼を獲得。今季ここまでレノファ山口では3ゴール2アシストをマークしているほか前線で起点となる働きもできるため、個人だけでなくMF相良竜之介やFW中島元彦といった選手たちのさらなる得点力アップにつながる活躍にも注目だ。
昨年は9月以降の10試合でわずかに2勝と苦しい終盤戦を過ごした仙台。だが、今季はここまでの好調ぶりに加えこの夏チームをさらに安定させられる補強は叶ったと言える。
徳島ヴォルティス:11位(10勝6分11敗)
新加入選手- MF岩尾憲(浦和レッズより完全移籍)
- MFターレス(名古屋グランパスより完全移籍)
- MF鹿沼直生(ジュビロ磐田より完全移籍)
- DF山口竜弥(愛媛FCより完全移籍)
- FW村上悠緋(横浜F・マリノスより期限付き移籍)
そしてこの夏はさらに上位を目指すべく、J1とJ2の各クラブから積極的な選手獲得に動いた。まず、ファンやサポーターにとっても嬉しいニュースとなったのがMF岩尾憲の帰還だろう。岩尾は過去徳島に在籍していた2016~2021シーズンの間はリーグ戦ほぼ全試合に出場。特に2020シーズンは42試合に出場し6ゴール3アシストと昇格に大きく貢献していた。それだけに、チームをさらに上昇気流に乗せる働きが大いに期待されることは間違いない。また、同じく中盤ではJ1クラブよりMFターレスとMF鹿沼直生も獲得。開幕後に失った戦力の補填はできたと言えよう。守備陣では、今季攻撃面での活躍も大きかったDF橋本健人がJ1アルビレックス新潟へ移籍した一方で、愛媛FCよりDF山口竜弥を獲得。重要な戦力の流出もあったが、伸びしろに期待できる補強はできたと言える。そして最前線には横浜F・マリノスよりFW村上悠緋という期待の若手を加えた。
選手の退団や監督交代と序盤戦でチーム内に混乱はあったものの、ここまでの戦績は10勝6分11敗とほぼ五分の状態にまで持ち直した徳島。かつての中心選手の帰還も含め、この夏戦力の充実も図れた。ここから上位勢との連戦も控えているが、新戦力の働きで終盤戦台風の目となれるか注目したい。
モンテディオ山形:10位(10勝6分11敗)
新加入選手今季開幕前、MFチアゴ・アウベスやDF野田裕喜ら複数の主力選手がチームを離れた一方で、MF氣田亮真やMF坂本亘基などJ2で確かな実績を持つ即戦力を数多く迎えていたモンテディオ山形。2シーズン連続でプレーオフへ進出したクラブとしての経験や自信を持って、今季は開幕からスタートダッシュを期待されたが第3節から3連敗。5月にも3連敗があるなど、なかなか順位が上がらず現状はプレーオフ圏外の10位につけている。
そんな山形は昨年と同様終盤ブーストを掛けて上位争いに加わっていくため、この夏即戦力の補強に成功している。まず、J2全体で見ても目玉補強の1つとなったMF土居聖真の獲得が挙げられる。土居は2011年のプロ入りからこれまで鹿島ひと筋、長きにわたって攻撃の中心選手として活躍してきた。山形へ加入後はここまで3試合に出場し2ゴールと早くもその能力を発揮しており、ますます期待を寄せられていることは間違いない。また、同じく攻撃陣では湘南ベルマーレからFWディサロ燦シルヴァーノも獲得。ディサロは2022シーズンにも1度清水エスパルスから期限付きで在籍しており、その際は17試合で8ゴールを挙げる活躍で山形のプレーオフ進出に大きく貢献している。
冬の補強時に活躍が期待できる戦力を多く獲得しながらも昨季と同様序盤戦で躓いてしまったことは悔やまれる。しかし、今季も再浮上が可能な位置につけており、プレーオフ圏入りに向け夏の補強も万全を期すものとなった。戦力アップを経て、上位勢と比較しても引けを取らない攻撃陣がどこまでチームを引き上げられるか。今季も終盤戦でドラマを生むのは山形になるかもしれない。