また例年熾烈を極める残留争いでは、一時勝ち点を離されていた最下位の北海道コンサドーレ札幌が直近連勝で一気に上昇気流に乗る気配を見せており、降格する3クラブを決める戦いもまだまだ荒れそうだ。
ここからさらに激しくなるであろう順位争いを前に、この夏も各クラブで積極的な補強の動きが見られた。ここでは、そんな夏の補強を経て戦力アップに成功したと言える3クラブを紹介していく。
※記事内の成績・順位は9月5日時点のデータに基づく
ジュビロ磐田:18位(7勝7分14敗)
新加入選手- DFハッサン・ヒル(イフド・ブネイ・サフニンより完全移籍)
- GK中島佳太郎(栃木SCへの期限付き移籍から復帰)
- MFジョルディ・クルークス(セレッソ大阪より完全移籍)
- FW渡邉りょう(セレッソ大阪より期限付き移籍)
特に目を惹くのが攻撃陣の補強だ。MFジョルディ・クルークスとFW渡邉りょうの獲得に成功している。クルークスは2021シーズンにアビスパ福岡へ加入後、持ち前の高いクロス精度を武器に活躍。昨年はセレッソ大阪へと移籍し27試合で2ゴール2アシストの数字を残していた。渡邉は昨年J2の藤枝MYFCで26試合13ゴールと高い得点力を誇り、夏にセレッソ大阪へと個人昇格を果たしている。今季はFWジャーメイン良がここまで15ゴールと攻撃を牽引し頼れる存在となっているが、2選手の加入によってさらなる得点力アップが期待できる。また、リーグで3番目に多い失点を減らすため、守備陣でもDFハッサン・ヒルを獲得。
エースとして覚醒しつつあるジャーメインの存在、ルーキーMF植村洋斗の活躍など今季明るい話題もありながら低迷が続く磐田。J2へ逆戻りの危機が迫る今、即戦力として期待される今夏の新加入選手たちの働きに注目したい。
京都サンガ:15位(9勝7分12敗)
新加入選手- FWラファエル・エリアス(クルゼイロECより期限付き移籍)
- MF米本拓司(名古屋グランパスより期限付き移籍)
- GK圍謙太朗(ブラウブリッツ秋田より完全移籍)
- DFルーカス・オリヴェイラ(クルゼイロECより期限付き移籍)
- FWムリロ・コスタ(ジル・ヴィセンテより完全移籍)
そんな浮上のきっかけとなっているのが、今夏の新戦力たちの存在だ。FWラファエル・エリアスは加入後6試合に出場。第27節のセレッソ大阪戦ではハットトリックを達成するなど、これまでに6ゴール1アシストと早くもチームへの貢献度は高い。また、MF米本拓司も中盤ハードワークで広範囲に顔を出し攻守両面でチームの勝利に貢献。さらにまだまだ未知数なDFルーカス・オリヴェイラやFWムリロ・コスタといったブラジル人選手もおり、楽しみな要素も残っている。加えてJ2ブラウブリッツ秋田の堅守の象徴的存在であったGK圍謙太朗も獲得。各ポジション選手層が増した印象を受ける。
今季も一時は降格圏まで順位を落としていた京都サンガ。
町田ゼルビア:2位(16勝7分6敗)
新加入選手- DF杉岡大暉(湘南ベルマーレより期限付き移籍)
- FW相馬勇紀(名古屋グランパスより完全移籍)
- MF白崎凌兵(清水エスパルスより期限付き移籍)
- DF中山雄太(ハダースフィールド・タウンより完全移籍)
- GK新井栄聡(大分トリニータより完全移籍)
町田と言えば今季の開幕前、DF昌子源やGK谷晃生といった日本代表経験者を獲得し大きく戦力アップを図ったことで話題となった。そしてこの夏も、補強の話題を総なめにしたと言っても過言ではない。まずはFW相馬勇紀にDF中山雄太と冬に続いて日本代表経験のある選手の獲得が挙げられる。相馬は今夏期限付き移籍先であったポルトガルのカーザ・ピアより名古屋グランパスへ一時帰還し、いきなりのゴールで鮮烈な復帰を果たしたが、その後町田への加入が決まりJリーグファンを驚かせた。中山は町田加入後デビュー戦となった第27節ジュビロ磐田戦でゴールを挙げるなど勝利に貢献しており、悲願のJ1優勝に向けて大きな補強となっていることは間違いない。また、MF白崎凌兵、DF杉岡大暉といった実力者の獲得にも成功。GK新井栄聡も加え、ポジションで見てもバランスよく補強ができたと言える。
FW平河悠をはじめ期限付きが多いものの、昨年のJ2優勝に貢献してきた選手の多くがクラブを離れたことはファンやサポーターにとって寂しい面もあるだろう。