なかでも印象的だった選手の1人が、大会メンバーで最年少となったDF高井幸大だ。19歳とは思えないほどの落ち着いたプレーで存在感を放ち、この9月のFIFA北中米ワールドカップのアジア最終予選ではA代表にも初招集され初戦(中国戦)で堂々デビューを飾った。
そんな次世代の担い手たちが国内外で活躍する昨今、国内2部のJ2リーグにも、まだ若手ながらチームにとって重要な選手は多い。ここでは、今季のJ2で大きな存在感を放っている20歳以下の選手を4名紹介していく。
西原源樹(清水エスパルス)
昨年惜しくもJ1復帰を逃した清水エスパルス。FWチアゴ・サンタナやMF中山克広ら主力選手が流出しつつも新戦力の活躍もあり、今季は序盤戦から大きく躓くこともなく現在優勝争いを演じている。そんな清水で注目を集めているのが、ユース出身の新星MF西原源樹だ。2種登録で開幕を迎えた今季、開幕戦(ロアッソ熊本戦2-1)でいきなりデビューを飾ると、以降持ち前のドリブル突破で魅了。第11節ベガルタ仙台戦(3-2)ではエリア内での見事な突破から初ゴールを挙げるなど、出場すれば必ずと言っていいほど見せ場を作っている。スタメンでの起用はわずかに1試合と少ないが、短い時間で結果を出していることから指揮官の信頼は十分に勝ち得ていると言えよう。
6月にはプロ契約も結んでおり、今後ますますチームを引っ張る活躍が期待される。ポジションを争う存在としては、背番号「10」を背負う主軸の1人FWカルリーニョス・ジュニオがおり定位置確保は容易ではないだろう。
保田堅心(大分トリニータ)
今季を迎えるにあたり、かつて一時はJ3へと沈んだクラブをJ1まで導いた片野坂知宏監督が3年ぶりにチームへ復帰。J1昇格に向けて心機一転スタートを切った大分トリニータだが、ここまでは苦しい戦いが続く。開幕直後は5試合で2勝2分1敗とまずまずの滑り出しだったが、5月以降は9戦未勝利などで勝ち点が伸び悩み、現在は降格圏と勝ち点6差の16位に低迷している。それでも、GKから最前線まで各ポジションに伸び盛りの若手有望株が複数揃っており、今後の楽しみが多いクラブであることも間違いない。なかでも今季活躍の光るのはMF保田堅心。安定したパス捌きはもちろん、ここまで4ゴール1アシストと決定力の高さも誇る。また、推進力も高くワンタッチで相手を剥がしながら前を向きボールを前進させられることも大きな武器。密集地帯でもフィジカルとテクニックを駆使してチャンスメイクを計れるのが魅力だ。
リーグでも2番目に少ない得点数が苦境の一因になっている大分にとって、得点力も含め保田の攻撃への貢献度は計り知れない。まずは残留争いから明確に抜け出すためにも、若き大型ボランチへの期待は大いに増していくことだろう。
神代慶人(ロアッソ熊本)
開幕前、昨年チームを牽引していたMF平川怜、MF島村拓弥といった主軸をJ1クラブへ引き抜かれていたロアッソ熊本。そんなチームにとって、下部組織出身の16歳ルーキーFW神代慶人の存在はまさに希望と言えるだろう。スタメン出場は少ないものの、ここまで5ゴールは堂々チームトップの数字。うち4ゴールはシーズン序盤の3試合連続ゴールでマークしており、さらにそれらを挙げた相手はジェフユナイテッド千葉、レノファ山口、V・ファーレン長崎と現在上位争いを繰り広げているチームばかり。今季J2の中で確かな力を誇るチームを相手に結果が出せることを証明している。
残念ながらチームは現在暫定17位と苦しい状況にある。降格圏から勝ち点4差と残留に向けてここからさらに1試合の重みが増していく中においては、たとえ少ない出場時間であっても結果を出せる神代の存在もますます大きなものとなるだろう。2022シーズンにはプレーオフ進出も果たした熊本。主力の流出で辛いシーズンが続く中、ユース出身のストライカーに懸かる期待は日増しに大きくなっているに違いない。
南野遥海(栃木SC)
現在18位と昨年に続いて残留争いに巻き込まれている栃木SC。5月には監督交代で立て直しを図るも、大きく勝ち点を積み上げることはできず苦しい状況に置かれている。そんな栃木でここまでチームトップスコアラーとして攻撃を牽引しているのが、ガンバ大阪より期限付き移籍中のFW南野遥海だ。昨2023シーズンはJ3のテゲバジャーロ宮崎に所属し2桁ゴールをマークしたストライカーは、今季J2へカテゴリーを上げて武者修行を継続中。
リーグでもっとも失点数の多い栃木にとって、勝機を手繰り寄せる得点源として南野の存在は大きく、期限付きとはいえ今季の結果に関わらず来季もチームに残ってほしい選手の筆頭だろう。直近は5戦未勝利と苦しい戦いの続く栃木だが、残留圏との勝ち点差は暫定ではあるがわずかに4と決して遠くはない。来季もJ2を戦うために、今後南野がどこまで攻撃で持ち味を発揮できるかが重要となる。