ここまでは、直近7連勝で一気に勝ち点を積み上げてきたサンフレッチェ広島が首位を走り、それを昨年J2を制し今季クラブ史上初のJ1へ臨んでいる町田ゼルビアと昨2023シーズンの王者ヴィッセル神戸が追う展開となっている。
熾烈な順位争いが繰り広げられている中、1つでも上の順位を目指すべくこの夏多くのクラブが新戦力を迎え入れた。そんな新加入選手たちの中には、移籍後間もないにも関わらず、すでにチームにとって欠かせない存在となっている選手も多い。ここでは、残りのシーズンで注目の新戦力を4名紹介していく。
トルガイ・アルスラン(サンフレッチェ広島)
今夏の移籍で、昨年はチームの主軸として活躍し日本代表へ初選出も果たしたMF川村拓夢がオーストリアのレッドブル・ザルツブルクへ移籍。さらに冬に加入したばかりにも関わらず22試合で11ゴールとチームトップの得点数をマークしていたFW大橋祐紀もイングランドのブラックバーン・ローヴァーズへ移籍と主力選手が相次いで流出したサンフレッチェ広島。戦力ダウンの懸念もあったが、新加入選手の活躍によって不安は一気に解消されたと言っていい。特にMFトルガイ・アルスランは直近の連勝にも大きく貢献し、すでにチームにとってなくてはならない存在となっている。加入後出場2試合目となった第26節のセレッソ大阪戦では、途中出場から2ゴールを挙げチームに勝利をもたらすと、第29節のFC東京戦ではハットトリックを達成。エリア内で冷静さとシュート技術の高さを見せつけ、5試合5ゴールと大暴れで広島の首位浮上の立役者となっている。
直近2シーズンはいずれも3位でフィニッシュしている広島。主力の流出を払拭するような新戦力の存在が、近年足りなかったあと一歩をもたらし9年ぶりのJ1優勝へ導くものとなるか。残りのシーズン、トルガイの活躍から目が離せない。
中山雄太(町田ゼルビア)
J1初年度ながらもここまで快進撃を続け、堂々優勝争いを演じている町田ゼルビア。冬の移籍でも、GK谷晃生やDF昌子源といった日本代表経験者を獲得していたが、この夏も代表経験のある選手の複数獲得に成功している。加入後出場したゲームはまだ3試合だが、いずれもフル出場を果たしており、うち2試合ではクリーンシートに貢献。町田での初陣となった第27節ジュビロ磐田戦ではいきなり初ゴールも挙げるなど、すでに大きな存在感を放っている。
この9月に行われた北中米ワールドカップアジア最終予選のメンバーにも招集されており、町田の新たな守備の要の1人として能力の高さは疑いの余地がない。現時点でリーグ最少タイの失点数と堅守を誇る町田にとって、さらに勝ち点を伸ばしていくことに直結する補強となったと言えよう。J1初昇格で即初優勝という偉業達成に向け、中山のさらなる活躍に期待したい。
ラファエル・エリアス(京都サンガ)
2022年のJ1復帰後、二桁順位の苦しいシーズンが続く京都サンガ。今季も一時は降格圏まで順位を落としていたが、中盤から終盤戦へとシーズンが移行するこの時期にきて浮上の兆しを見せ始めている。そんな好調の一因となっているのが、この夏新たに加入したブラジル人ストライカーFWラファエル・エリアスの存在だ。6月の加入から第23節の浦和レッズ戦で初出場。加入後2試合目となった第24節ジュビロ磐田戦で初ゴールをマークすると、第27節のセレッソ大阪戦でのハットトリックを達成するなど、ここまで6試合で6ゴールを挙げる活躍を見せている。
FW原大智、FWマルコ・トゥーリオといったタレントも健在であることから、エリアスの加入によって一気にリーグ屈指の破壊力を誇る攻撃陣へと進化を遂げた。今季は得点数、失点数ともに課題のあった京都。
大﨑玲央(北海道コンサドーレ札幌)
今季開幕から5連敗を含む6戦未勝利と大きく出遅れた北海道コンサドーレ札幌。その後も連敗がありJ2降格も現実味を帯びてきていたが、直近は3連勝とようやく調子が上向き残留に向けて希望が見えつつある。そんなチームを好調に転じさせた要因の1つがDF大﨑玲央の加入だ。6月にチームへと加わりここまで9試合に出場。ゴールやアシストといった得点に直接絡む場面こそないが、後方からのつなぎに安定感をもたらし相手の背後を突くようなパスでチャンスメイクするなど早くもチームに与える影響は大きなものとなっている。
また、ここ数年札幌の悩みの種であった守備面も、大﨑の対人の強さや経験値の高さによって改善される見込みは大いにある。残留に向けてまだ勝ち点差に開きはあるが、頼れるベテランの影響力でさらにチームに勢いをつけたいところだ。