一方で、富山を含めJ2昇格プレーオフへの進出を懸けた争いは大混戦。現時点では、プレーオフ圏の6位から残り試合数以下の勝ち点7差以内には13位のガイナーレ鳥取までが入るという先の見えない戦いが続いている。ここでは、そんなJ3におけるJ2昇格を懸けた争いを展望する。
昇格と優勝目前の首位
大宮アルディージャの残り対戦カード
- 福島、今治、岩手、鳥取、琉球、岐阜、富山
昇格を決めるため残りの対戦では、現時点で2位のFC今治と3位富山との対戦もあるが、7試合で差をひっくり返されることは考えにくい。また、優勝についても最大21ポイントしか積み上げできない試合数まで来ていることから、こちらも逆転の目はほぼ無いと言えよう。とはいえ、上位下位ともに混戦模様の今季においては、相手に関わらず前節の奈良戦と同様思わぬ苦戦を強いられる可能性も高い。昇格と優勝が目前に迫る中、最後まで安定感を保ちつつ来シーズンに向け自信を深める結果で終えられるか注目だ。
白熱の自動昇格圏争い
残りの対戦カード
- FC今治:YS横浜、大宮、岐阜、琉球、鳥取、讃岐、宮崎
- カターレ富山:宮崎、福島、鳥取、相模原、岐阜、八戸、大宮
今治の残りの対戦カードは、大宮を除くすべてがボトムハーフ。今季このカードにおける戦績は4勝3敗とやや不安は残るが、後半戦に入ってからの好調ぶりを見ると十分に勝ち点の積み上げが図れそうだ。
一方の富山は、上位から下位まで幅広く対戦を残す。ただし、今治と比べて残りのカードにおける今季の戦績は1勝5分1敗と勝ちきれていないゲームが多く、引き分けた相手に対しどれだけ勝利を挙げられるかがカギとなる。また、最終節で大宮との対戦を残していることから、そこまでに自動昇格枠を確定させるか最低でも今治との勝ち点差を3に広げて2位につけていなければ厳しくなると言わざるを得ない。
当然と言ってしまえばそれまでだが、前節の直接対決を引き分けで終えたことが最終順位を左右する分岐点となり得る。見た目の勝ち点差こそ3のまま、得失点差もほぼないことから1試合でひっくり返る状況だが、残りの対戦カードにおける優位性は今治に分がある。4位以下の猛追やここに来ての今治と富山の連敗がなければ、順位をそのままに終える可能性が高いだろう。
プレーオフ圏を守りたい3クラブ
残りの対戦カード
- ギラヴァンツ北九州:八戸、FC大阪、金沢、沼津、讃岐、長野、YS横浜
- アスルクラロ沼津:讃岐、金沢、長野、北九州、宮崎、福島、松本
- 福島ユナイテッド:大宮、富山、相模原、奈良、金沢、沼津、岩手
これだけ勝ち点の少ない中に多くのクラブがいると、当然残りの7試合で直接対決も増える。その分、この状況が最終節まで続いた場合には最後の最後で大きく順位の入れ替わるドラマチックな展開も容易に想像できてしまう。
わずかな差ではあるものの、富山を除いたプレーオフ圏内にいる3クラブのうち、残りのカードで最も勝ち点の積み上げに苦労しそうなのは6位につける福島ユナイテッドか。次節は首位大宮との対戦が組まれており、さらにその次も富山との対戦。ここで連敗となれば一気に順位を下げる危険性もある。2つのカードとも今季の対戦では大きな差を見せられてはいないが、自動昇格のかかったゲームになる相手のため苦戦は必至だ。
一方で、残る2クラブも今季の戦績を見ると楽観視はできない。終盤下位との連戦になる北九州は、7つすべてが前半戦で勝てていない相手。苦手意識とまでいかずとも、先制される展開ともなればメンタル面で一気に不利になる恐れがある。沼津についても7つのカードの戦績は2勝1分4敗。現時点で下位に沈むカマタマーレ讃岐やAC長野パルセイロにも前半戦では敗れており、ここを勝ち点に結び付けられるかがプレーオフ圏に生き残れるかの分水嶺になるだろう。
虎視眈々とプレーオフ圏入りを狙う7クラブ
残りの対戦カード
- FC大阪:奈良、北九州、宮崎、岐阜、YS横浜、相模原、八戸
- 松本山雅:金沢、鳥取、YS横浜、宮崎、岩手、琉球、沼津
- SC相模原:琉球、YS横浜、福島、富山、奈良、FC大阪、鳥取
- ヴァンラーレ八戸:北九州、奈良、琉球、讃岐、長野、富山、FC大阪
- ツエーゲン金沢:松本、沼津、北九州、岩手、福島、鳥取、奈良
- FC琉球:相模原、長野、八戸、今治、大宮、松本、岐阜
- ガイナーレ鳥取:岩手、松本、富山、大宮、今治、金沢、相模原
残りの対戦カードから、最も勝ち点の積み上げが難しいと見られるのが13位ガイナーレ鳥取。上位3クラブすべてと対戦が残っており、いずれも残り5試合以降の対戦になることから、特に富山と今治は自動昇格に向けて是が非でも勝ち点3が欲しい状況でのゲームとなるはずだ。一方で、下位勢とのゲームが最も多いのはFC大阪。単純に順位を見れば優位に思えるが、最下位のいわてグルージャ盛岡を除き下位も14位FC岐阜から19位奈良クラブとの勝ち点差が6と僅差。19位のクラブは日本フットボールリーグ(JFL)2位クラブとの入れ替え戦にまわる可能性もあることから、対戦するタイミングとその際クラブが置かれている状況によっては、決死の覚悟で臨んでくることも考えられる。つまり、中位というものが存在しない今季のJ3においては、やや抜け出た上位3クラブとの対戦を除き残りのカードにおける優位性を示すことは難しいと言えよう。
残る対戦カードにおける今季の戦績を見ると、最も厳しいのはやはり鳥取だろう。7つのうち白星はいわてグルージャ盛岡戦の1つのみとなっており、プレーオフ圏以上を目指すライバルたちには1分5敗。引き分けた金沢戦も序盤から失点を重ねたゲームであり、プラスの要素は少ない。ただし、直近5試合の戦績は4勝1敗とリーグで最も多くの勝ち点を積み上げた結果になっており、勢いがあることは言い添える必要がある。反対に残りのカードで最も勝ち点を挙げているのは松本山雅。
プレーオフ圏をめぐる争いが大混戦となっている現時点では、対戦カード、今季の戦績、直近の勢いなどを考慮すると大きな差があるとは言い難い。とはいえ、今季1年でのJ2復帰を目指しほぼ向かうところ敵なしで突き進む大宮をはじめ、昨年昇格に肉薄した今治と富山の3クラブとのゲームを残しているクラブほど遅れを取る可能性は高い。まったく先の見えないリーグ終盤の昇格プレーオフをめぐる争いから引き続き目が離せない。