今年はU-23日本代表がAFC U-23アジアカップで優勝。パリ五輪でもグループリーグを全勝で突破するなど、日本サッカーの次代を担う選手たちが国際大会で存在感を見せた。また、A代表でも9月と10月に行われたFIFAワールドカップ26(北中米ワールドカップ)アジア最終予選にパリ五輪で活躍したDF高井幸大(川崎フロンターレ)やDF関根大輝(柏レイソル)、町田の躍進を支える大卒ルーキーのDF望月ヘンリー海輝といった選手が初招集され、若手選手に注目が集まるシーズンとなっている。
だが、今なお代表へ招集され続けるDF長友佑都(FC東京)やJ1連覇を狙うヴィッセル神戸のFW大迫勇也といったベテランたちも若手に負けず劣らずの活躍を見せている。そして、そのベテランたちよりもさらに上の世代、40歳を超えた選手たちもまた豊富な経験を武器に存在感を放っている。ここでは、今季のJ1リーグで輝きを放つ40代の選手を3名紹介していく。
中島裕希(町田ゼルビア)
昨2023シーズン、クラブ史上初のJ2優勝とJ1昇格を決めた町田ゼルビア。今季はJ1初挑戦ながらも序盤戦から上位争いを繰り広げ、この終盤に来ても3位で優勝争いを演じている。そんな町田を2016シーズンから長く支えてきたのがFW中島裕希だ。加入初年度から2桁ゴールをマークし、続く2017~2018シーズンも2桁ゴールを挙げてチームの攻撃を牽引。残念ながら2022シーズン以降は出場機会を徐々に減らしているが、出場すればゴールへの期待感を漂わせている。今季も序盤は出番がなかったが、第30節以降は毎試合スタメンあるいはベンチ入りを果たし、リーグ戦5試合で1ゴール1アシストと結果も残している。後半戦に入ってチームの勝ち点が伸び悩む中での起用は、昨季よりチームを率いる黒田剛監督からの信頼の表れとも言えよう。高い得点力が武器だが、40歳とは思えない運動量も大きな魅力。スペースへのランニングでチャンスに絡み、前線から猛然とプレスをかける献身性も見せる。直近の4戦未勝利で上位との勝ち点差はやや開いたが、まだ5ポイント差と逆転優勝のチャンスを残す町田。J1昇格即優勝の偉業達成のため、後半戦チームを引っ張る中島のさらなる活躍に期待だ。
川島永嗣(ジュビロ磐田)
2010年に海外へ渡り、ベルギーやフランスでプレーしたGK川島永嗣は今季ジュビロ磐田で久々のJリーグ復帰を果たした。磐田のGKといえば、磐田一筋だったGK八田直樹が昨シーズンをもって現役を引退。2021シーズン以降は出場機会こそ限られていたが、精神的支柱とも呼べる存在を失っていただけに代表での経験も豊富な川島の加入は極めて大きな意味のあるものだったと言えよう。磐田加入後は開幕戦からスタメンに名を連ね、ここまで27試合に出場。残留争いに巻き込まれる苦しいチームを最後列から支えている。神がかったセービングは今なお健在。強烈なシュートへの反応速度やエリア内へのラストパスに対する飛び出しの判断力といった技術の高さを見せている。直近の第34節セレッソ大阪戦では、終了間際に与えてしまったPKのピンチでビッグセーブを披露。勝負強さを見せつけチームに勝ち点3をもたらした。
菅野孝憲(北海道コンサドーレ札幌)
今年の5月で40歳を迎えたGK菅野孝憲。今季同ポジションのGK高木駿をはじめ多くの怪我人を抱え、順位もシーズン序盤から降格圏に沈む苦しいチームにあってここまで32試合に出場し、昨年と違い得点力不足に悩むチームに勝ち点をもたらすべく、ゴールを守る番人として奮戦している。相手との1対1やサイドを崩された場面といった絶体絶命のピンチで全身を使いセーブするなど見せ場も多く、終盤戦に入ってからはクリーンシートも増えた。攻撃陣もシーズン前半はあまりなかった複数得点を挙げられるゲームが増え、攻守がかみ合いつつある。シーズン途中には、一時残留圏はおろか1つ上(19位)との勝ち点差も2桁に広がるなどもはや降格は免れないと思われた札幌。しかし、終盤にきて下位勢との直接対決で連勝するなど勝ち点を積み上げ、現時点で残留圏である17位柏レイソルとの勝ち点差7のところまで迫っている。残り4試合であることを踏まえると残留が厳しいことに変わりはない。それでもシーズン半ばの絶望的な状況から考えれば、むしろ逆転残留に向けて士気は高まっていることだろう。そんなチームをさらに後方から鼓舞するためにも、残り4節守護神菅野には引き続きゴールを死守する気迫あふれるプレーを期待したい。