ゴールドウインと、人工合成クモ糸繊維の開発で知られるバイオベンチャー企業のスパイバー(Spiber)が、微生物を由来に開発した構造タンパク質素材を使ったTシャツ「プラネタリー・エクイリブリアム ティー(Planetary Equilibrium Tee)」を発表した。ゴールドウインが展開する「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」とスパイバーのコラボレーションプロジェクト「THE NORTH FACE sp.」から2019年8月下旬に発売される。
両社は2015年、人工合成クモ糸素材「クモノス(QMONOS®︎)」を使用し共同製作した「ムーン・パーカ(MOON PARKA)」のプロトタイプを発表。当初は2016年9月の発売を予定していたが、量産体制や、水に濡れるとゴムのように伸びてしまうといった品質の問題から製品化を延期していた。
【あわせて読みたい】"クモの糸"を衣服の素材に ザ・ノース・フェイスが初採用今回のTシャツは、スパイバーが4年をかけて開発し188件の特許申請中の新しいタンパク質素材によって、品質の安定性が向上したことから商品化が決定した。プラネタリー・エクイリブリアム ティーは、植物由来のセルロースであるコットンと、スパイバーが開発した微生物由来のプロテイン ブリュード・プロテイン(Brewed Protein)を82.5:17.5の割合で配合した素材で製作。比率は地球上のバイオマス重量を植物が82.5%、微生物と動物が17.5%であるという生態系のバランスを参考にしており、ヘビーウエイトで厚みがありながら、しっとりとした滑らかな肌触りに仕上げた。ボディには栄養成分表示をモチーフにしたタグが付けられ、生態系のバランス数値が表記されている。
また、発売を延期していた「ムーン・パーカ」も、11月に製品化されることが決定。同アイテムについては8月に製品情報を発表するという。
なお、スパイバーは2021年の商業生産開始を目指してタイで工場の建設を進めており、スパイバー代表執行役 関山和秀によると、工場が稼働すると生産枚数を増やし生産コストを下げることができるという。ゴールドウイン 副社長執行役員 渡辺貴生は「アウトドアにとって大事な地球環境をより良いものにしていくために、構造タンパク質素材をTシャツやパーカだけでなくアウトドアに関わる全てのアイテムに広げたい」とし、アウターウェアやバックパック、フットウェアといった様々なアイテムの製作を進めていると話した。
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