三陽商会が2021年2月期第1四半期の決算を発表した。売上高は57億5300万円(前年同期は161億1400万円)、営業損益は28億5000万円の赤字(同2億4500万円の黒字)だった。

新型コロナウイルスの影響による店舗の臨時休業に伴う関連費用等として特別損失11億9800万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純損益は42億8400万円の赤字(同400万円の黒字)に沈んだ。

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 業績不振の理由として同社は、新型コロナウイルスの影響でインバウンド需要や輸出が大幅に減少したことなどを挙げた。外出自粛によりEC販路は順調な売上高を確保したが、緊急事態宣言発令に伴い主要販路の百貨店を中心に運営する実店舗で約2ヶ月休業したことが痛手となり売上高は大幅に落ち込み、また給与手当などの固定費等のコストがかさみ営業損失は拡大した。

 同社は2015年に英国バーバリー社とのライセンス契約が終了して以降、業績不振が継続。実店舗とECを連動させたシームレスな購買体験を提供するなどデジタル技術を積極的に取り入れたほか、新ブランドの立ち上げや、大型直営店と運営セレクトショップのリニューアルなどに投資したものの2016年度から4期連続で赤字決算となっている。これを受けて今期は事業改善を目的に新たに掲げる再生プランを推進。

社長就任からわずか4ヶ月で中山雅之氏を副社長に降格させ、ゴールドウインを再建させた大江伸治氏を新社長に任命し、新体制で動き出したばかりだった。なお、時価総額は6月26日の取引終了時点で100億円を下回った。

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 2021年2月期通期連結業務予想については、新型コロナウイルスの終息時期が不透明であることから業績への影響額の算定が困難であるため、引き続き「未定」としている。