*12:22JST 日経平均は反発、新年度入り後に見える風景は?
 日経平均は反発。148.53円高の19233.50円(出来高概算6億6000万株)で前場の取引を終えている。


 30日の米株式市場でNYダウは反発し、690ドル高となった。新型コロナウイルスのワクチン開発への期待からジョンソン・エンド・ジョンソンが大きく買われたほか、月末とあってリバランス(資産構成の調整)目的の買いが散見された。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで96円高からスタートしたが、2月の有効求人倍率が2年11カ月ぶり低水準となったことが嫌気されるなどし、朝方はマイナスへ転じる場面もあった。しかし、中国国家統計局などが発表した3月の製造業・非製造業購買担当者景気指数(PMI)が急回復したことを受け、日経平均は一時19336.19円(251.22円高)まで上昇すると、その後も100円を超える上昇で推移した。

 個別では、新型コロナウイルス治療を巡り期待が高まる富士フイルムが6%超高と大幅続伸。本日は抗インフルエンザ薬「アビガン」で新型コロナを治療する臨床試験を始めると報じらている。
その他売買代金上位ではソフトバンクG、任天堂、ファーストリテなどが堅調。中小型株ではテレワーク関連のブイキューブが引き続き賑わっており、ヒトコムHDやエアトリはストップ高水準で前場を折り返した。一方、リクルートHDが3%超下落したほか、トヨタ自やメガバンク株が軟調。今期業績予想を非開示としたしまむらも売られた。また、MUTOHーHDなどが東証1部下落率上位に顔を出した。

 セクターでは、石油・石炭製品、鉱業、精密機器などが上昇率上位。
半面、鉄鋼、銀行業、卸売業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の53%、対して値下がり銘柄は44%となっている。

 前日の米株高や中国企業の景況感改善を支援材料として、日経平均は3ケタの上昇で前場を折り返した。セクターや個別株の動向としては、米株高や中国の景気持ち直しの恩恵が期待できる銘柄の買いのほか、東京原油の反発に伴う関連セクターの上昇、さらに香港株高に連動しているとみられる日経平均型銘柄の上昇が確認できる。とはいえ、前引けで日経平均が+0.78%となったのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+0.29%にとどまっている。業種別騰落率では景気敏感セクターの一角の軟調ぶりが目立ち、世界経済の先行きに対し懸念が和らいだ印象は乏しい。


 本日は3月期末となるが、既に新型コロナの影響による事業環境悪化や商品市況の下落などにより多額の損失を計上する見込みの企業が多いだけに、株式の評価損を少しでも軽減する「対策」への思惑が出てきそうだ。昨年3月末の日経平均は21205.81円、TOPIXは1591.64ptで、現在値はともに1割弱下回る水準にある。ただ、日経平均が19000円を上回る場面では直近の戻りを演出した「公的資金の買い」の再来は期待しづらいだろう。TOPIXの伸びの鈍さもこれを裏付けるものとなる。

 本日まずまず堅調に推移して取引を終えたとして、明日から名実ともにスタートする新年度相場はどういったものになるか。市場では19000円水準で日経平均の戻りは頭打ちとなり、二番底を模索するという弱気な見方が少なくない。
TOPIXの伸びの鈍さの背景には、こうした見方に沿った海外投資家のTOPIX先物売りが続いていることがあると考えられる。弱気な理由として挙げられている点はおおむね共通しており、決算発表に向けた企業業績の悪化懸念、ドル逼迫が和らいだことによる円安進行一服、新年度入りによる年金基金等のリバランス買い一服、などである。

 新型コロナを巡っても、東京都内では食品等の買い占めの動きが再び強まっており、都市封鎖(ロックダウン)への懸念が根強いことが窺える。新年度入り後に見えてくる風景はどういったものか、慎重に検討したうえで相場に取り組む必要がありそうだ。(小林大純)
《AK》