日経平均は3日続伸。428.38円高の23272.34円(出来高概算7億412万株)で前場の取引を終えている。
前日12日の米国株式相場は反発。ダウ平均は289.93ドル高の27976.84ドル、ナスダックは229.42ポイント高の11012.24ポイントで取引を終了した。最近の好調な経済指標や四半期決算を受けて、経済活動の再開にともなう回復期待が広がったほか、追加財政策を巡る議会折衝も時間の問題との楽観的な見方から上昇して寄り付いた。昨日は大きく下落したハイテク株にも買いが広がり、引けにかけて上げ幅を拡大した。
米国株高を受けた今日の東京株式市場は買い優勢の展開となった。日経平均は寄り付き段階で約2カ月ぶりの23000円台乗せとなり、その後、新型コロナで急落する前の水準(2月21日の23386円)に接近した。
個別では、感染管理事業拡大で20年12月期(9カ月決算)業績予想を上方修正した大幸薬品、4-6月期連結税引前損益が前年同期の0.47億円の赤字から1.63億円の黒字に転じたアステリアが20%近い大幅高となり、また、20年12月期上半期(中間期)連結営業利益が従来予想の29.81億円を上回り33.44億円となったJACR、今期業績予想を上方修正した住友林業、チェンジ、パーソルHDが10%を超す上昇となり、20年6月期連結営業利益が前期比20.4%増で21年3月期も同1.3%増予想と連続最高益予想と発表したパンパシHDが上げた。
また、昨日の米国市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3%を超す上昇となったことを受け、東エレク、レーザーテックなどの半導体関連株も堅調だった。
一方、今期業績見通しが市場予想を下回り減益と発表したCKD、第3四半期連結営業利益が前年同期比20.4%減と中間期段階の同3.7%減から減益率が拡大したフィックスターズ、21年3月期は1000億円の事業赤字予想と発表したJFE、20年12月期は300億円の営業赤字予想と発表した昭和電工が下落した。
セクターでは、精密機器、ガラス土石製品、電気機器、医薬品、金属製品などが上昇率上位。
このところ市場では「グロース(成長)株かバリュー(割安)株か」といった議論が活発だ。もちろん重要な議論だが、グロース株、バリュー株を横断したもう一つの視点も必要かもしれない。業績という視点だ。今週で4-6月期決算発表が一巡する。
だが、個別銘柄に目を移すと「無事」とは言えない。いくつか見てみる。まず、以前当欄でも取り上げたアドバンテスト。
また、7月28日に20年12月期連結営業利益が前期比74.2%減の予想と発表したキヤノンは急落し7月31日に安値を付けた。
一方、8月3日に4-6月期連結営業利益が前年同期比44.7%増加したと発表したイビデンは決算発表後昨日まで20%を超す上昇となり、同様に好決算を発表した日本電産は10%超、DeNAは40%近い上げとなった。その後も高値圏で堅調で、イビデンとDeNAは昨日年初来高値となり、日本電産は今日も年初来高値を更新した。また、4-6月期営業黒字を確保したトヨタは今日まで8日続伸だ。
決算発表を受けた株価が明暗を分けるのはいつものことだが、この4-6月期決算は、いつにも増して上昇銘柄と下落銘柄が鮮明になっているようだ。コロナ禍の中で各企業が何をしていたか、ウィズコロナやアフターコロナに向け何をしてきたかが問われたのが今回の決算なのだろう。
さて、後場の東京株式市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。市場にはリスクオンムードが広がっており、下値は売りにくい。一方、今週に入って今日前場までの日経平均の上げ幅は900円を超しており、上昇ピッチが速すぎるとの見方も多い。今晩は米国で新規失業保険申請件数の発表を控えていることもあり、高値圏ながらやや様子見ムードが広がりそうだ。
《AK》